5-6 神様の加護は、意外と限定的
リアが悶絶地獄から復帰したので、弁当を片付け32階の薬草採集に向かうオレたち。
「一回ギルドまで戻るってのが面倒だよなあ」
「仕方ないよ、詰所どうしはつながってないんだし」
まあここは21階の詰所のすぐそばだから、言うほど面倒なわけでもないんだけど。詰所に着くとちゃっちゃとゲートをくぐってギルドに戻り、そこからあらためて31階行きのゲートに向かう。ゲートを抜けて31階の詰所に出ると、テーブルを囲んでいた連中がこちらに気づく。この前の騒動はどこへいったのか、今日はずい分積極的にステラに声をかけてくるな……主に男どもが。
「よお、久しぶり」
「ステラちゃん、だっけ? 今日もカワいいねー」
「あ、ありがとうございます……」
周りの男どもにチヤホヤされて、戸惑いの表情を浮かべるステラ。いやいや、ここはオレがマネージャーとしてステラを守らねば。
「おい、お前ら! ステラはシャイなんだから、そんないっぺんに寄んな!」
ステラをかばうように、オレはヤローどもの前に立ちはだかる。
「大体お前ら、なんで急にステラに声かけちゃってるんだよ? 今までだってステラはこの詰所使ってたんだろ?」
オレの疑問に、男たちが口々に答える。
「いや、だってちょっと怖かったし……」
「あの斧だもんな……」
「しゃべってる所も見たことないしさ、やっぱおっかねえよ」
そういうもんなのか? まあでも、考えてみたらウチの大学でもそういう事あったわ……。話してみないとわからないってのは、どこの世界でも同じなのかね。
そんな感じでしばらくわいわいやってると、ゲートの方から新たな一団がやってきた。ん? なんか剣士も僧兵も妙に宗教じみたカッコしてんな。あのバッテンって教会のマークだろ? 一行と軽くあいさつを交わしたリアに、ちょっと聞いてみる。
「なあリア、今の連中はなんなんだ? なんかの宗教?」
「ああ、今のはテンプルギルドのメンバーだよ」
「テンプルギルド?」
「そう、教会のお抱えギルドみたいなものだよ。規模は一番ちっちゃいんだけど、なんせバックに教会がついてるからね。発言力は大きいらしいよ」
へえ……。やっぱ宗教って力あるのね。まあ、今日もオレら聖水準備してるくらいだしな。
「あのギルドの場合、教会の仕事が多いからなかなか見かけることは少ないんだよね」
「ああ、なるほど。それは生活も安定してそうだな」
「でも、入る条件が結構厳しいんだよねー」
「ていうと?」
「キチンと教会に通ってるとか、お勤めに励んでるとか」
「あー……」
なるほど、信者向けギルドなのな。オレやリアには絶対ムリそうだ。
「やっぱり、例の一件に関係あるんでしょうか?」
「ああ、ゾンビ? そうかもね」
ゾンビの処理か……。イヤな仕事だな。
「なあ、僧兵ってなんかアンデッドに強いとかあるのか? 祈りで成仏させるとかよ」
「え? ないない、地道に殴るしかないよ」
切ねえな僧兵! それぐらいの特典はあってもバチはあたらんだろうによ! しかしそうなると、ますますもって出くわしたくないな、ゾンビの群れ……。
それはリアやステラも同じらしく、用意した聖水を取り出すと武器や衣類に丁寧に塗っていく。ま、これだけ準備もした事だし、ゾンビどもに出くわす事もないだろうさ。準備を終えると、オレたちは32階に向かうべく詰所を後にした。
ファンタジー作品であれば、やっぱり宗教も絡ませていきたい所。
もっとも、今の所あまり設定は詰めておりません(笑)。
とりあえず、この国の宗教は一神教です。多分。




