5-4 いろいろ試してはみたけれど……
21階、地下だというのになぜか明るく、ちょっとした草原が広がるフロア。その中でも結構開けたエリアでオレたちはいろいろと試していた。さっきから歌いっぱでノドがヤバいぜ……。
歌の効果なんだが……う~ん、どうだろ? ハッキリわかった事と言えば、歌わないと体が普段どおりにしか動かないって事くらいか。だから歌に身体能力を上げる効果があるのは確かなようだ。
「やっぱルイは歌ってナンボだよ」
「私も素敵だと思います」
「いやー、テレるなあ」
「ここで調子に乗らないヤツだったら、彼女の一人や二人とっくにできててもおかしくないのにねー」
「ほっとけ!」
それはむしろこっちのセリフだ! 余計な一言を言わなけりゃコイツはカワいいのによ! だから男の一人もできねえんだよ!
「いえ、でも本当に素敵ですよ?」
「え、あ……サンキュ……」
ステラは逆にそんなに気を遣わなくていいから! オレ褒められ慣れてないからリアクションに困るって!
「でも、ホント体が軽くなるんだよねー」
「はい、ルイさんの歌を聴いていると、どんどん力がみなぎってきます」
実験ではリアとステラにその辺の木の棒で模擬戦をやってもらってるんだが、その凄まじい事凄まじい事。リアが残像できるくらいのスピードで切り込んだかと思えば、ステラの一撃が地面に大穴開けるんだぜ? 一体どんな威力なんだよ! てかそれに耐える木の棒もどうかしてんだろ!
「これでどの歌でどのステが上がるのかまでわかれば、いろいろと戦略の幅も広がるんだけどなあ……」
「すて?」
「力の強さとか素早さとか、そういう各能力の事だよ。固い敵なら力上げるとか、ノロマ相手ならスピード上げて完封狙うとか」
ウィンドウ開いて各ステータス数字で確認とかできればわかりやすいんだが、そんな便利なモンはない上に、歌で強化されてるのはオレじゃなくリアたちだもんなあ……。そのリアたちが「なんかちょっとは違うかもー」とか「あまり変わらない気がします」とかあやふやな事しか言わないんだから、オレには判断のしようもないわけだ。
「あー、それは確かに便利だね。それと、そういうのは戦略じゃなくて戦術って言うんじゃない?」
知るか! オマエは国語の先生かよ! てか戦略と戦術って何がどう違うんだよ!
「まーでも、どの歌でもすっごく体が動きやすくなってるよ」
地面に腰を下ろしたリアが、後ろに手をつきながら言う。
「あ、でも自分の名前が歌に出てきた時はさらに力が湧いてくる気もするかな」
「え、マジで?」
それがホントなら凄い発見じゃないか? それって歌詞によって効果が変わってるかもしれないって事だろ? まあ単に気のせいなだけかもしれないが、試しに速くなりそうな単語盛り込みまくった曲とか作ってみるかね……。
「まあ、さすがにラブバラードだと他の曲より体は動かないように見えたけどな。歌によって強弱もあるっぽいか」
オレがバラードに話題を移すと、二人の顔が赤くなる。
「あ、あれは力がみなぎると言うより、なんかヘンな気持ちになるんだよ……」
「そ、そうですね……」
そうなのか? て事は精神に作用するとかそういう特殊効果もあるって事? なるほど、一応歌によっても違いはあるみたいだな。もっとも曲のどの要素に関係してるのかが今イチわからんけど。まあ、とりあえずいろんなジャンルの曲を試す必要がありそうだな……。もっとマジメに音楽勉強しとけばよかったわ。
それにしても、二人ともなんでそんなに赤くなるのかね……。やっぱシスヤンのラブソングは、国境(?)の壁に関係なく女の子には鉄板って事なのか?
シスターヤングメン、恐るべし。
考えてみると、こうして模擬戦できるようになっただけでもステラの加入は大きいですね。
次回はリア充回です(笑)。




