5-1 あの人だかりは、もしや……
ステラを正式にパーティーに迎えての初クエストの日。オレとリアはいつものようにギルドへと向かっていた。
「今日はなんか楽しみだねー」
リアの声が心なしか明るく弾む。
「ステラ、本気出したらどのくらい強いのかなー」
「ああ、それは確かに楽しみだな」
「レベル37なんて、Bランク一歩手前だもんね」
今日は薬草集めの前に、21階で軽くオレの歌を実験する手はずになっている。例の演歌モドキも作ってきたが、ホントに効果なんてあるのかねえ……。ま、この世界どんな歌がウけるかもわからんし、それを確認できるだけでもよしとするか。
「今日はステラ、あのカッコで来るんだよな」
「あ、そうだよね」
「あれじゃ目立ってしょうがないだろうな……」
「そりゃあね……」
さすがに苦笑するしかないリア。
「そういや、聖水はどうなった?」
「ああ、ちゃんと準備したよ」
「それって高いのか?」
「三人分で30リルだよ」
「高いんだか安いんだか……」
ギルドに近づくと、入り口のあたりに何やら人だかりができているのが目に入った。どうも男ばっかな気がするんだが……。
「何だろ? あの人だかり」
「ああ、何だろな」
オレには何となく思い当たるフシがあるんだが……。人ごみをかき分けていくと、その先には壁際にたたずむ一人の女性の姿があった。
「あ……」
「やっぱり……」
予想通りというか、そこにいたのはビキニアーマーに身を包んだステラだった。あまりの肌色率の高さに、「包む」って表現に違和感を感じてしまうが。それを遠巻きに取り囲んで無遠慮に凝視する男ども。連中の熱視線に、ステラは恥ずかしそうに身を縮こまらせている。おい、オマエら! 見せモンじゃねーぞ! リアが慌てて駆け寄っていく。
「おまたせ、ステラ!」
「あ、お、おはようございます……」
蚊が鳴くような声でステラが返事する。オレもヤローどもの視界を遮るようにステラの前に立った。
「ごめんね、もっと目立たない場所で待ち合わせればよかったね」
「いえ、だ、大丈夫です……」
「こんな早くに来てると思わなかったから、すまん……」
「そんな、ルイさんが謝るような事じゃないです……」
そうか、この前遅刻したから今日は早めに来てたのか……。それにしても、まさかここまで露骨に男どもが群がってくるとは……。
「おい、その姉ちゃん、リアの知り合いなのか?」
野郎の一人がリアに声をかける。リアは怒気をみなぎらせて男どもに言い放った。
「そうだよ、ステラは私のパーティーのメンバーなんだから! アンタたち、今度この子に妙なマネしたらタダじゃおかないからね!」
リアの剣幕に、男どもが気圧されたかのように一歩、二歩と後ずさる。てか、こ、怖えぇ……。
「そ、そうか……。これからよろしくな」
「悪気はなかったんだ……。すまんかったな」
ヤローどもは口々に謝罪やらなんやらつぶやくと、散り散りになってそそくさ去っていく。やっぱリアって影響力あるんだな、このギルドで。まだ騒がしさの残る入り口前を後にし、オレたちはギルドへと入っていった。
前回の失敗を反省してちょっと張り切りすぎたステラさん。
リアちゃんも、いつものノリで待ち合わせ場所を決めちゃったのは失敗でしたね。
次回、まさかのビキニアーマーにあの人も驚愕……?




