4-4 新人さん、やってくれます
結論から言うと、ステラはまだ来てなかった。それどころか教会の鐘が鳴ってもまだ来ない。おい! キャラと行動が一致してねえじゃねーか!
「あのコ、なかなかやってくれるね……」
「ああ……」
左手を腰に手をあてながら、リアが右手で頭をかく。おいおい、純白ワンピでそのカッコはないだろうによ。
「ヒマだね……」
「ああ……」
「お店、入りたいね……」
「ああ……」
あまりのヒマさにテキトーなあいづちを打ち続ける。人を待つって、こんなにヒマなのね……。今までずっと待たせる側だったから知らんかったわ……。
「遅刻したら先に入るって事にしておけばよかったよなあ、今思えば」
「そうだね……」
別に鐘が鳴ってからそんなに経ってはいないんだが、30分ほども前にモンベールに到着してたオレたちとしては、もうずい分と待たされているような錯覚に陥っていた。
「ねえ、しりとりでもするー?」
「いや、ガキじゃねえんだから」
「だよねー」
いよいよヒマなのか、右足で地面によくわからない四つ足の生き物を描き始めたリア。おいおい、大丈夫かコイツ? あー、オレもスマホで動画でも見てー。そんな事を思い始めていたその時。
「すみませーん」
ちょっと鼻にかかったアニメ声。振り返ると、ステラが小走りにこちらに駆け寄って――!?
ちょっ、何アレ!? クリーム色っぽいセーターに包まれた胸の膨らみが、一歩踏み出す度にまるでバスケットボールのように上下にばうん、ばうん……。案の定周りの男どももみんな足を止めて凝視してるじゃねーか!
「ちょっ、ルイ、何見てんのさ!」
「ぐへぇっ!?」
だから脇腹殴るのはやめろ! あんなの見せつけられたらしょうがねえだろうによ! オレが苦悶してる間に、ステラがオレらの所までやってきた。
「遅れて、すみませんでした……」
少々息を切らしぎみにステラが謝罪する。正直オレは待たされた事にちとイラッとしてたんだが、さっきの猛ドリブルを目にしてそんなのはすっかりふっとんでしまった。てか、これ下着着けてないんだよな……。むううっ、ぽっち見えろ、ぽっち……。
「いいっていいって、私たちもさっき来たばっかりだから」
いや、どう考えてもウソだろそれ! せめて足元の落書き消してから言えよ! バレバレじゃねえか!
「待ち合わせなんて久しぶりだったんで、おめかししてたら遅れてしまって……」
ああ、わかるわかる。オレもみんなに失礼がないようにと身支度整えてたら、つい遅刻しちゃうんだよね。決して少しくらい待たせたっていいじゃんとか思ってるわけじゃないから。
「おっけ、それじゃ仕方ないよ。じゃあさっそく、中に入ろ!」
「はい!」
「おう」
こうしてようやくオレたちは庶民憧れのおしゃれスポット、喫茶モンベールに入店できたのだった。
意外と常識知らずだったステラさん。
いや、斧兵選ぶような子だから当然か……?
次回、やっとお店に入ります。




