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1-3  初めてのバトル、そして現実




 そんな事を考えながら、しばらく歩いていると。


「来たよ、ルイ」


 リアが低い声でつぶやき、小剣に手をかけた。お、もしかしてこれは敵とのエンカウント? と思った矢先、洞窟の陰から棍棒を持った小さな犬男が二匹現れた。コボルドか。群れてなければ楽勝だ。


 現実では殴り合いのケンカすらした事のないオレだが、夢だとわかっているせいか恐れみたいなものは全然感じない。よっしゃ、ザコどもはオレが蹴散らしてやるぜ!


「よし! リア、こいつらはオレにまかせろ!」


「はぁ? 何言ってんの?」


「はぁ? じゃねえよ! オレが一掃してやるっつってんだよ!」


「バカ! できるわけないでしょ!」


 ……は?


「だいたい武器持ってないのに、どうやって戦うつもりなのさ?」


「そ、それはオレが聞きてえよ!」


「いいからアンタはいつも通り離れて応援歌歌ってて!」


 はあぁぁぁぁ?


 応援歌ぁぁぁ!?


 なんじゃそりゃぁぁぁぁあ!



「ほら、わかったらさっさと離れて!」


 リアが剣を抜き放ち、左手でオレをしっしと追い払う。おい、何だよこの扱い! おかしいだろ!


「早く歌ってよ!」


「いや、この状況で歌えとかムチャぶり過ぎんだろ!」


 てか詩人ってマジで歌うだけなのかよ! クソゲーにも程があるだろうがぁぁぁあ!

 ええい、もうヤケだ! うちの高校の校歌でも歌ってやんよ!


「せーかいにひーらくぅー はーまのーみーなとーぉ」


 おい! もう一匹、オレの方に向かってきやがったぞ! どうすりゃいいんだよ!


「ほら、ボーっとしてないで逃げないと! ちゃんと歌っててね!」


 歌はやめちゃダメなのかよ! うわぁ、こっち来んな!


「つーどいーしーせーんのぉー わーこうーどーよぉー」


 だからこっち来んな! うおお、誰かオレを助けろおぉぉぉ! こんな命がけの追いかけっこがあるかぁ! リアル鬼○っこかよ!


 そこで繰り広げられているのは、少女が戦うそのまわりで魔物にひたすら追い回されながら歌い続けるオレ、というあり得ないほどカオスな光景。てか笑い事じゃねーぞ! 何でオレがこんな目に合わなきゃなんねえんだよ! 全力疾走しながら歌うとか正気の沙汰じゃねえだろが! あと歌はこんなテキトーでいいのかよ! 




 結局、戦闘自体はリアが一匹目を一撃で仕留め、オレを追っていたヤツも投げナイフで足を止めてサクッと始末しやがった。てか足止めできるんなら初めからそうしろよ! コイツ絶対オレが逃げ回んの楽しんでるだろ!


「はぁ、はぁ……」


「お疲れさん、がんばったね」


 お疲れさん☆ じゃねーよ! 半分お前のせいだろうが! コイツは息切れ一つしてねえし!


「ところで、だ」


「なになに?」


「オレが歌うのに何か意味あんのか? ステータスが上がるとかさ」


「ステータス? 何それ?」


「ああ、なんか身体が軽くなるとか、力がみなぎるとかさ」


「ルイの歌で? あっはは、そんなのあるわけないでしょ~」


「ねえのかよ!」


 ふっざけんな! 意味ねえんじゃねえか! 歌い損かよオレ! 


「てかだったらなんで歌わせたんだよ!」


「何でも何も、詩人にできる事ってそれしかないでしょ?」


 救いなさ過ぎだろ詩人! タダのお荷物じゃねーか!


「やってられるか! もう歌わんからな!」


「ダメだよ、ちゃんと歌わないと成長遅れるから」


「マジかよ!?」


「そ。だから、サボっちゃダメだよ?」


 おいおい、ウソだろ……? この後も、戦闘のたびに猛ダッシュしながら歌わなきゃならないのか……?


 頼む、お願いだから早く覚めてくれ、オレの夢……。




 そんなオレの願いも空しく、薬草をゲットするまでに二回、帰りにも二回敵とエンカウントするハメにあった。しかも最後のはまたしてもコボルドが二匹。カンベンしてくれよ! 二匹だとどう転んだって片割れにオレが追い回されるんだっつーの! てかこの階モンスター複数で出すぎだろ! 


 ちなみにリアは、やっぱりコボルドの足を止めてはくれなかった。コイツ、絶対ガキの頃アリの巣穴に水流し込んで遊んでたタイプだろ。




現実ってこんなもんだよね。ルイ君、早くも人生詰んだ予感……。

頼むルイ、オレの小説がキーワード詐欺になるか否かは君の頑張りにかかっている(笑)!


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