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4-1  ある日の日常




 あの理不尽な石運びクエストの翌日。ヤバい。体が動かない。完全に筋肉痛だ。当たり前だよ! あんなに石担いでて筋肉痛にならない方がどうかしてるわ! ああ、ツれぇ……。


 しっかしこの部屋で目覚めてからもう三週間近くになるのか……。結局今オレはどうなってんだろうな。意識不明で長い夢を見てるのか、すんごいハイスペックなVRMMOのテスターをやっててゲームに没頭してるのか、それともホントに異世界にトリップしたり転生や憑依でもしてるのか……。あー、ネット見てえ……。



 さーて、諸君。朝飯は何を食ったかね? 今日はオレの料理講座だ。用意するものはこちらのお鍋。フタを開くと、アラ不思議、おいしそうなポトフが! ……ああそうだよ、昨日の残り物だよ! しかもポトフなんてリッパなモンじゃねえよ! こんなモン、タダの塩茹でだよ塩茹で! 入ってるのもイモと玉ねぎとニンジンだしな! 味噌や醤油をくれとまでは言わんから、せめてコショウくらいは使わせてくれよ! 


 食材と言えば、以前肉や魚が全部干物状態だって話はしたけど、野菜もひっでえんだよな。てか基本イモや玉ねぎくらいしか出回ってないし、葉物があると思って見てみたら、それもう腐ってんじゃね? ってレベルの鮮度だったし。そういや前たまたま見かけた生肉も緑色になりかけててハエたかってたわ。あんなの誰が買うんだよ! 


 まあ、その場で鳥をシメて解体する店ってのもあったんだけど、そこの肉の高い事高い事。てか、一人暮らし用のサイズじゃないんだよな。冷蔵庫ないからすぐに使い切らなきゃならないし。オレみたいな一人暮らしのDランクプレイヤーがおいそれと手を出せる食材じゃないわ。


 そんなわけで、オレはこの野菜の塩茹でスープをあっためてパンといっしょに食うことにする。これでもパンはちょっとだけいい物を買う事にしてるんで、何とか食える。みんな、主食だけはある程度の物を買うようにするべきだぞ。ああ、カップメン食いてえ……。




 ふー、メシも食ったし、また曲の詩でも考えるか。ペンと紙、っと。しっかしちゃんと紙とペンのある世界でよかったわ。これが石版や木の板だったらと思うと、気軽にメモの一つも書いてられねえぜ。ま、紙って言ってもなんかよくわからんゴワゴワした皮みたいなヤツなんだけどな。トイレットペーパーってマジ人類の宝だわ。


 机に目をやると、紙の横にペンダントが転がってた。どうやらこのルイってヤツには、兄貴がいたみたいなんだよな。しばらく前にこのペンダント見つけた時、例の記憶再生だかチュートリアルだかで思い出したんだけどさ。で、これはその形見の品らしい。彼女か誰かからのプレゼントだったのかね? もっとも、兄関連の記憶はあんまり思い出せないんだよな。このペンダントにしてもそうなんだけど。コイツ、兄貴にいじめられでもしてたのか? 明日リアにでも聞いてみるかね。




 ……ああ、ようやく昼飯の時間か。なんていうか、娯楽のない世界ってすごいよな。みんなどうやってヒマつぶしてんだろ? 普通は働いてるからそもそもヒマなんてないのかね? そう考えると、ここってニートには拷問みたいな世界だな。ネットやゲームで時間つぶす事もできないんだから。オレ曲がりなりにもバンドマンでよかったわ。竪琴いじってればヒマつぶせるし。そう考えると、詩人ってのもそう悪くないのかもな。


 さて、じゃあ昼は外で食ってくるか。肉って外食じゃないと中々食えないし。ああいう所ってのはたくさん仕入れるから、ある程度安くふるまえるんだろ? ま、クエストこなしたばっかだし少しくらい贅沢してもいいだろ。そうと決まれば肉だ、肉! うおぉぉ、食うぞぉぉぉお!




 ちなみに、夜は再びパンと干し肉とマッシュポテトもどきだった。うう、ちゃんと家事の手伝いするから母ちゃんのメシ食いたいよ……。




「新章では女の子とキャッキャウフフ」と予告しておきながら、新章第一話はルイのぼっち回でした。誰得回、再び。

せっかくの異世界生活ですが、現代っ子のルイ君(中の人)は元の世界が恋しいようです。

次からは女の子出てきますので、どうかお赦しください(笑)。

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