3-12 やっぱり歌は効果アリ?
「いやー、疲れた疲れたぁ」
ゲートのある詰所へ向かう帰り道。一仕事終えたとばかりにリアが声をあげた。
「何も持ってないヤツは楽でいいよな」
リアのお気楽な声に、げんなりしてオレが毒づく。そりゃお前は石持ってないんだからいいだろうがよ、石運んでるオレたちはギルドに着くまでが仕事なんだよ! だいたいステラに手伝ってもらってるとは言え、オレは多分20キロ以上も石背負ってるんだぞ! これホント、ステラがいなかったらどうなってたんだよ!
「何さー、その分私が敵を追い払ってんじゃない。さっきだってちゃっちゃと片付けたでしょ?」
「あーそうですねー」
棒読みで生返事しておく。まあ、確かにバトルでも逃げ回らずに済んでるけどさ。
「でもさステラ、バトルの時、すごいでしょ?」
オレなど存在しないかのごとく、リアはステラに話題を振った。
「は、はい! あんな感覚、初めてでした」
「でしょう。ルイの歌聴くと、なぜかすごい体が動くんだよねー」
そうなのだ。あの後三回ほどバトルがあったんだが、リアはいつもの事として、ステラの強い事強い事。さっきなんてリザードマンが八匹というありえない数で出てきたんだが、トカゲ人間の首を斧の一振りでまとめて三つぶっ飛ばした時には唖然とした。木こりが使いそうな柄の長い両手斧を片手で軽々と振り回しているビキニちゃんの図ってのは、天国なのか地獄絵図なのかオレにはもうわからん。
「てか、ステラはいつもあの位強いんじゃないの?」
「いえいえ! 私あの斧片手でなんて振るえませんよ!」
「じゃあやっぱりルイの歌が原因だろうね」
やっぱそうなのか? 今までは確信が持てなかったが、リア以外の第三者もそう言うんならそうなのかもしれないな。
「ルイさんの歌って、私たちの力を増してくれるんですか?」
ステラが驚きの表情を浮かべながらオレを見る。
「いや、まあ、多分なんだけどな」
てか、オレも今の話を聞いてそう思った所なんだが。
「ルイさん、すごいです……」
ちょっ!? 何でそこで顔赤くしてオレを見つめる? やっぱこのコ好感度MAXになってね? オレ心の準備ができてないっての!
「えー、コホン」
「あ、す、すみません……」
わざとらしくリアが咳払いをする。遠慮したのか、ステラがオレから少し離れた。ほっ、助かったぜ……。今回に限ってはナイスなタイミングだったわ。
オレも空気を変えようと話題を振る。
「じゃあ次回はいろいろ試してみようか」
「お、ルイにしてはいい事言うね」
よかった、ヘソを曲げているわけじゃなさそうだ。てかこれからはリアのご機嫌も考えていかなきゃならないのかよ……。マジで大変だ。女ってマジでわからねえ……。
ルイ君、新たな苦労のタネが増えましたね。
女心ってのはわからないものです。
次回、女性陣のトークはまたあらぬ方向に……。




