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【ゲームの作り方講座】クロスプレデーションビーストの設計図

掲載日:2026/03/16

■はじめに

 コンピュータRPG「クロスプレデーションビースト」のアーク設計図と実際にゲームに読み込ませているスクリプト脚本を公開します。

 これを見ればどのようにRPGのシナリオを作っているのかの参考になるかもしれません。

 踏み込んだ話をすると、ゲーム脚本を作るうえでキャラクターアーク先行で練り、それを元に背景事情を回想シーンで描写するなどして、レベル上げのモチベをけん引するクリフハンガーを多用した技法になります。

 私自身、キャラクターアークとしては、次の6フェイズアークを提唱しています。


■6フェイズアーク

・バックグラウンド

 キャラクターの背景事情が描かれるフェイズ。


・スタグネーション

 キャラクターが背景事情を理由に、現状と本当にありたい姿の間で揺れ動きつつ、一歩踏み出せない停滞が描かれるフェイズ。


・ターニング

 致命的な失敗や会心の発見などをきっかけに、キャラクターが本当にありたい姿に気づく出来事が描かれるフェイズ。


・アドバンス

 キャラクターがありたい姿に向かってそこへ突き進む努力が描かれるフェイズ。


・ディサイション

 この物語を通してのキャラクターの心情の変化が顕れる決断が描かれるフェイズ。


・エフェクション

 キャラクターの決断による結末と余韻が描かれるフェイズ


■備考

 キャラクターアークは、キャラクターの心情変化の軌跡です。

 これに対してストーリー構成は実際の描写順となります

 キャラクターアーク、即ちキャラクターの心情変化の軌跡とストーリー構成、即ち実際の描写順は異なります。

 特に、キャラクターの背景事情となるバックグラウンドは後に回想シーンで描写することで、Why dunnit型(なぜ、そうしたのか?)のミステリー要素を醸し出し、この謎をクリフハンガーとして用いることが可能です。

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はじめに

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■はじめに

 コンピュータRPG「クロスプレデーションビースト」のアーク設計図と実際にゲームに読み込ませているスクリプト脚本を公開します。

 これを見ればどのようにRPGのシナリオを作っているのかの参考になるかもしれません。

 踏み込んだ話をすると、ゲーム脚本を作るうえでキャラクターアーク先行で練り、それを元に背景事情を回想シーンで描写するなどして、レベル上げのモチベをけん引するクリフハンガーを多用した技法になります。

 私自身、キャラクターアークとしては、次の6フェイズアークを提唱しています。


■6フェイズアーク

・バックグラウンド

 キャラクターの背景事情が描かれるフェイズ。


・スタグネーション

 キャラクターが背景事情を理由に、現状と本当にありたい姿の間で揺れ動きつつ、一歩踏み出せない停滞が描かれるフェイズ。


・ターニング

 致命的な失敗や会心の発見などをきっかけに、キャラクターが本当にありたい姿に気づく出来事が描かれるフェイズ。


・アドバンス

 キャラクターがありたい姿に向かってそこへ突き進む努力が描かれるフェイズ。


・ディサイション

 この物語を通してのキャラクターの心情の変化が顕れる決断が描かれるフェイズ。


・エフェクション

 キャラクターの決断による結末と余韻が描かれるフェイズ


■備考

 キャラクターアークは、キャラクターの心情変化の軌跡です。

 これに対してストーリー構成は実際の描写順となります

 キャラクターアーク、即ちキャラクターの心情変化の軌跡とストーリー構成、即ち実際の描写順は異なります。

 特に、キャラクターの背景事情となるバックグラウンドは後に回想シーンで描写することで、Why dunnit型(なぜ、そうしたのか?)のミステリー要素を醸し出し、この謎をクリフハンガーとして用いることが可能です。

 次のページからは実際の設計図と、脚本を貼っていきます。


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設計図

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■世界設定

 獣人はマナと呼ばれる栄養素からエネルギーを獲得でき、食べ物を摂取する必要すらなくなっていた。

 けれども、獣人はDNAメチル化によってモンスターになる運命にある。

 DNAメチル化というのは、ATCGのCシトシンがメチルシトシンに置き換わる現象だ。

 DNAはたんぱく質の設計図だ。

 シトシンがメチルシトシンに置き換われば対応するたんぱく質が生成できなくなってしまう。

 そうなってしまえば、マナを分解する酵素が生成できなくなってしまう。

 即ち、獣人を喰らい、すでに分解済みのプレデトースを喰らうほかない。

 そうなってしまった存在こそモンスターだ。


■主人公1アーク

▼バックグラウンド

 親友がモンスターになった。

 狩人としてその人を狩った主人公1。

 けれども、それ正しかったと思えない。

 けれども正しかったと思わなければ、この苦しみから逃れられない。


▼スタグネーション

 モンスターを狩り、それを正義だと自分に言い聞かせることで、親友を狩った罪悪感から逃れていた。

 そんな中モンスターに襲われていた一人の獣人を助けた。

 助けた獣人が「付いて行きたい」というと主人公は2つ返事で引き受けた。


▼ターニング

 付いてきた獣人に裏切られる。

 その獣人は元々親友の弟子であり、復讐にやって来たのだった。

 主人公1同様、彼はまだモンスターにはなかっていなかった。

 そればかりか、親友の弟子はメチル化を促進させる毒薬『メチル化促進剤』を持っており、主人公1をモンスター化させる計画だったようだ。


▼アドバンス

 しかし、自らが倒した弟子と対面したことで、罪悪感に苛まれていく。

 主人公1はメチル化を自分に投与しようとするが、酒場のマスターに止められる。

 しばらく休暇を与えられた主人公。

 投獄された親友の弟子。

 主人公は親友の弟子に会いに行く、そこで聞かされたのは親友の生き様だった。

 狩人に所属するモンスターが増えれば、狩人に所属するモンスターに取って狩る対象がいなくなってしまう。

 だから自分は狩人にはならず、狩人に所属するモンスターを狩るんだと。

 狩人であるモンスターとそうでないモンスターの相互間引きを伝聞で聞かされた主人公。


▼ディサイション

 主人公1はまだモンスターになっていないが、モンスターになったら親友の意思を継ぐことを決意し、主人公1は狩人をやめた。

 本当は急いてメチル化促進剤を打ちたい気分だったが、それでは今まで狩ってきたモンスターたちに示しがつかない。

 だから今は『精一杯獣人として生きよう』そう決意するのであった。


▼エフェクション

 それから約十年半後、モンスターとなった主人公1はとある獣人に狩られた。

 それは狩人となった親友の弟子だった。


■主人公2(親友の弟子)アーク

▼バックグラウンド

 師匠を狩人(主人公1)に殺された!


▼スタグネーション

 モンスターに襲われる振りをして主人公1に接近する。

 モンスターは打ち倒されたいと願うモンスターをそれなら、最後に役に立ってと利用していた。

 復讐に失敗し、捕縛される。

 主人公に師匠の生きざまについて問われ戸惑う。

 出所してから狩人になった主人公2は、主人公1がモンスターになったことを聞かされる。

 復讐の続きをしようと主人公1と対峙する。


▼ターニング

 主人公1と対峙して聞かされたのは、主人公1が師匠の意思を継いだという話だった。

 主人公2は戸惑いながらも、主人公1がモンスターとして精一杯生きようとしつつも、どこか、打ち倒されようとしていることに気づく。


▼アドバンス

 一度は復讐をやめようとするも、師匠の親友だったことを知り、主人公1の罪悪感の正体を知る。

 主人公2は、それを終わらせようと復讐を続行する決意をし、そのために修行を重ねる。


▼ディサイション

 主人公2は、主人公1を打ち倒す。

 その選択は、復讐心からではなく、主人公1の師匠への思いに決着をつけるためだった。


▼エフェクション

 主人公2は、主人公1の持っていた師匠のペンダントについて問われる。

 これは、師匠と師匠を愛してくれた者の大事な形見なんだと答える。


■ストーリー構成

●第一章

▼冒頭

 いきなりインメディアレスではじめる。

 獣人である主人公2がモンスターに襲われるシーン。

 それから主人公2が主人公1についていきたいというシーンからスタートする。


▼回想シーン

 2人でモンスターを倒す依頼をこなした後、悪夢にうなされる。

 それは、親友を打ち倒した記憶を思い出す夢だった。


▼問い

 主人公2は、モンスターを倒すことって正義なのかなと問うが、主人公1は当たり前だと、罪悪感を振り払うように答える。


▼裏切り

 主人公2が、主人公1を裏切る。

 これにより、親友を打ち倒した過去と再び直面してしまう。

 味方だと思っていた主人公2が、親友の弟子で、復讐に来ていたことを知り、ショックを受けた主人公は、罪悪感と向き合いはじめる。


▼問い2

 主人公1は主人公2に親友の生き様を訪ねる。

 そこで聞かされたのは親友の生き様だった。

 狩人に所属するモンスターが増えれば、狩人に所属するモンスターに取って狩る対象がいなくなってしまう。

 だから自分は狩人にはならず、狩人に所属するモンスターを狩るんだと。

 狩人であるモンスターとそうでないモンスターの相互間引きを伝聞で聞かされた主人公。


▼決意

 主人公1はまだモンスターになっていないが、モンスターになったら親友の意思を継ぐことを決意し、主人公1は狩人をやめた。

 本当は急いてメチル化促進剤を打ちたい気分だったが、それでは今まで狩ってきたモンスターたちに示しがつかない。

 だから今は『精一杯獣人として生きよう』そう決意するのであった。


●第二章

▼冒頭2

 出所し、狩人として生計を立てていた主人公2は、主人公1がモンスターになったと聞き、復讐の再起を企てる。


▼回想

 主人公2は、主人公1の親友にモンスターに襲われそうなところを助けられ、弟子入りした。

 師匠は

 狩人に所属するモンスターが増えれば、狩人に所属するモンスターに取って狩る対象がいなくなってしまう。

 だから自分は狩人にはならず、狩人に所属するモンスターを狩るんだという信念を胸に行動していた。

 師匠から戦いを学び強くなった主人公2。

 けれど、ある日師匠は帰って来なかった。

 酒場で情報を調べると、主人公1に打ち倒されたのだと知った。

 主人公2は復讐を決意した。


▼対峙

 主人公2は主人公1を倒そうと対峙した。

 けれど、倒すことはかなわなかった。

 主人公2は、主人公1に師匠が実は主人公1自身の親友でもあったと聞かされる。

 それを聞いて、主人公1があのとき師匠の生き様を聞いてきたのだと気づかされる。


▼悩み

 一度は復讐をやめようとするも、主人公2が主人公1に勝てなかったとき、主人公1がどこか残念そうだったことを思い出す。

 そこで、いつか自分が利用したモンスターのことを思い出す。

 主人公1と接触するため利用したモンスターのことを。

 そのモンスターは獣人を狩る罪悪感から、狩人に打ち倒されようとしていた。

 そんな彼を主人公1に接触するために、利用してしまっていた。

 自分自身に嫌気がさしつつ、主人公1の望みをかなえることを決意する。


▼修行

 主人公2はモンスターになった主人公1を倒すため、様々なモンスターを倒し強さに磨きをかける。


▼決着

 再び主人公1と対峙した主人公2は、主人公1を打ち倒す。

 すると、主人公1の胸には師匠のペンダントが付けてあったことに気づく。


▼ペンダント

 ある日少年にペンダントについて尋ねられる。

 これは、師匠と師匠を愛してくれた者の大事な形見なんだと答える。


------------------------------

狡猾エンカウンター

------------------------------

※BGM33

@1

 ここはやがてモンスターになる獣人と、かつて獣人であったモンスターの暮らす世界。

 狼獣人イザングランは任務の帰り際、ある悲鳴を耳にしやす。

@70

「誰かーーー!助けて!!!」

@1

 そう声を上げるは、一匹の狐獣人。

@71

「モンスターか……」

@1

 モンスターを狩る組織、狩人に所属するイザングランはそれに気づくと、間に割って入りやす。

 というのも、モンスターは獣人の分解した栄養素を奪うために獣人を喰らうのです。

 そういったモンスターは狩る他ありやせん。

@73

「ふむ、狩人か!

「かかってくるが良い!」

@1

 そういう龍のモンスターの目はどこか疲れ切っておりやした。

@71

「言われなくたってそのつもりだ!

「さぁ、はじめようぜ」

※BGM停止

☆【戦闘】0,40

※BGM34

@70

「ありがとう!

「キミのおかげで助かったよ!

「あ、そうだ!

「ぼくの名前……!

「ぼくの名前はルナール!

「狐の獣人だよ」

@71

「俺の名前は、イザングラン!

「オオカミの狩人さ」

@70

「狩人? 狩人って、DNAメチル化によって他の獣人を食べるようになった元獣人を狩るお仕事なんでしょ?

「ねぇ!イザングラン!

「キミについて行きたい!

「ぼくもキミみたいな狩人になってモンスターを狩りたいんだ!」

@1

 おやおや。出会ったばかりの男に弟子入りとは、なんとも突拍子のない話にございやす。

 けれども、イザングランはというと昔の記憶から逃れられるような、そんな安堵に似た感覚を覚えやした。

 モンスターを狩りたい。

 自分と同じ琥珀の瞳を持つその獣人のその言葉にです。

@71

「俺みたいな狩人に!?

「いいぜ!

「ついて来な!」

※BGM停止

@1

 そう振り返り進むイザングランは……その狐獣人の邪悪な笑みに気づくことはありやせんでした。

 いや、正確には気づきたくなかったのかもしれやせん。

 というのも狩人になりたいのなら、狩人の組織に入るのが筋というもの。

 本来ならば違和感に気づくことでしょう。

 けれども、イザングランはそれから目をそらしたのです。

※暗転開始

 時系列を少し巻き戻しやしょう。

※人気のない場所

※BGM37

 これは、ルナールがイザングランと出会う少し前のこと。

※暗転終了

@73

「なぁ、儂はもう充分生きた。

「もう獣人を狩るのは嫌なのだ。

「儂を殺してはくれぬのか?」

@1

 そういう龍の目つきはたいそう疲れ果てておりやした。

@70

「それじゃあさ、最後に役に立ってよ」

@1

 けれども、狐の獣人は邪悪な笑みを浮かべます。

@73

「儂は何をすれば良い?」

@70

「ぼくが合図したら、襲いかかってくれれば良いよ。

「それでキミは楽になれる」

※暗転開始

@1

 かくして、ルナールとイザングランの出会いは、図られたものだったのです。


------------------------------

罪悪感クレッシェンド

------------------------------

※暗転開始

※BGM33

@1

 ルナールとイザングランは、モンスター討伐の依頼を受け、それが潜むというアジトにやって来ておりやした。

@71

「ハッ」

\.

\.

※爪撃

\.

\.

 モンスターの背後に回り、爪でモンスターの首を掻っ切るイザングラン。

@74

「ぐはっ」

\.

\.

\.

\.

@71

「へへっ、こうやってモンスターを狩るんだぜ?」

@70

「わー、イザングランさん凄い!(棒)」

@71

「だろっ!?」

@1

 イザングランはルナールが冷ややかな棒読みをしていることに気づいてすらいやせん。

@75

「ふむ、このアジトがばれてしまうとは、私も不覚を取ったものだ」

@71

「へへっ、俺にかかれば朝飯前よ。

「さて、正義を執行するとするか」

@70

「……」

@1

 無言で冷ややかな目をしているルナールにも気づくことはありやせんでした。

@71

「さぁ、おっぱじめようぜ」

※BGM停止

☆【戦闘】1,41

@1

 かくして、ルナールとイザングランはモンスターをまたも討伐しやした。

 その日の夜。

※暗転終了

※イーグル開始

※BGM35

@71

 「イーグル!まさかお前がモンスターだったなんて!

 「くっ……仕方ない!

 「覚悟!」

※イーグルアニメ

(そうだ!モンスターを狩ることは仕方ないことのはずだ。


(俺は間違ってないはずだ。


(俺は後悔なんてしていないはずだ。


(なのに、あの時の辛い……、辛い感触が忘れられない。


(親友をこの手で葬ってしまったときの、あの感触を。


(……。)

※BGM停止

※ベッド

※イーグル終了

@1

 ベッドの上、イザングランは目を覚ましやす。

@71

「ゆ、夢か!」

@70

「大丈夫?

「すっごくうなされてたよ」

@71

「あ、ああ……。大丈夫だ!

「それより仕事だ!

「狩りに出かけるぞ」

※暗転開始

@70

「うん!」


------------------------------

イザングランの決意

------------------------------

※暗転開始

※BGM33

@76

「くっ、狩人か!

「やっかいなもんに見つかっちまったもんだぜ!」

@71

「獣人に仇成す存在は容赦せん!

「覚悟!!!」

※BGM停止

☆【戦闘】2,42

※BGM36

@76

「ゆ、ゆるしてくれ!

「俺はただ!生き残りたいだけなんだよ!」

@1

 ここは、獣人とモンスターの暮らす世界。

@71

「うるさい!

「そういって、お前は何人の獣人を狩って来た!」

@1

 獣人はマナと呼ばれる糖からエネルギーを獲得でき、何かを食べる必要すらなくなっておりうやした。

 けれども、獣人はDNAメチル化が進行するとモンスターとなる定めにあるのです。

@76

「そ、それは!」

@1

 DNAはたんぱく質の設計図。

 シトシンがメチルシトシンに代われば対応するたんぱく質が生成できなくなってしまいやす。

@76

「俺は獣人を喰わないと生きていけないんだ」

@1

 マナを分解する酵素が生成できなくなってしまい、他の獣人がマナを分解して生成したプレデトースからしかエネルギーを得られなくなってしまうのです。

 そうなってしまえば、もう他の獣人を狩る他ありやせん。

 そうなってしまった存在こそがモンスターです。

@76

「ぐはっ……」

@1

 イザングランは再び……モンスターを手にかけやした。

 辛い過去から逃れるように。

 自分の罪悪感から目をそらすように。

\.

\.

\.

\.

@70

「ねぇ、モンスターを狩ることって、正義なのかな?」

@71

「あぁ!?ンなの当たりまえだろ」

@1

 狐獣人の言葉につい大声を出してしまうイザングラン。

@71

「す、すまん……」

@68

「そっか……そうだよね。

「こっちこそごめん」

※ベッド

※BGM35

※暗転終了

@1

 その日の夜。

 ベッドで眠っていたときのこと、ふと何者かの殺気。

 イザングランは何者かの突き立てようとした注射器を弾き飛ばすと。

 その腕をつかみやす。

@70

「イたたたたたっ」

@1

 その声の主は紛れもありやせん……狐の獣人の声でございやした。

@71

「……どうしてだ?

「やはり、最初から裏切るつもりで仲間になったのか?」

@70

「そうだよ。

「君が師匠を!

「イーグルを殺したから!」

@71

(……!!)

「イーグルの!

「お前が彼奴の弟子だっていうのか!!?」

@70

「……そう。

「てっきり名前すら覚えてないのかと思ったよ。

「そうだよ。

「ぼくはキミが殺したイーグルの弟子!ルナール!

「キミにはモンスターになってもらおうと思ったんだけどね!

「失敗しちゃった」

@71

「あの注射器は?」

@70

「メチル化促進剤……。

「DNAメチル化を促進する薬さ」

@71

「どうして……」

@70

「どうして?

「キミにモンスターになる苦しみを味わってほしかったからだよ」

@71

「……」

@1

 本当は……イザングランもずっとつらかった。

 罪悪感から目を背けていたのです。

 何故なら、親友を狩った苦しみが、彼にずっと残っていたから。

 モンスターを狩ることで、それを正義だと思うことで、彼はずっと苦しみから逃げていたのでした。

※暗転開始

※酒場

※BGM35

※暗転終了

@77

「それが、証拠品か……」

@71

「あぁ、メチル化促進剤というらしい……。

「メチル化を促進させ、即座にモンスター化させるための毒薬だ」

@77

「まぁ、元気を出せ。

「偶にはそういうことも……おいお前何をしてる!」

@1

 イザングランはメチル化促進剤の注射器が入った袋を開けると、自分に突き立てようとします。

 その理由はその時はまで彼自身もわかりやせん。


 ただ、ひたすらに罪悪感から逃れたかった。

 モンスターになってその苦しみを感じて、彼奴と同じ立場になりたかったのかもしれやせん。

@77

「馬鹿なことはよせ!」

@1

 酒場のマスターは注射針を弾き飛ばしやす。

@71

「……」

@77

「しばらくは休暇を取った方が良い」

※牢

※BGM停止

@1

 そうして、しばらくして、イザングランはルナールの元に来ておりやした。

@70

「ねぇ、面会ってどうして?

「何も話すことなんか」

@1

 悪態を付くルナールに、イザングランは問いやす。

@71

「お前の師匠について聞きたい。

「お前の師匠は何を思って獣人を狩っていた?」

@70

「獣人を?

「馬鹿言わないで。

「僕の師匠が狩っていたのは狩人に所属するモンスターだよ」

@71

「何!?」

@1

 確かに狩人になり、モンスターを狩ることで生存権を保証されているモンスターもいると聞いたことがありやした。

@71

「じゃあ、なぜ彼奴は狩人にならなかったんだ!!」

※BGM35

@70

「狩人に所属するモンスターが増えれば、狩人に所属するモンスターにとって狩るターゲットがいなくなってしまうからね。

「相互間引きってやつだよ」

@1

--相互間引き……あいつはそこまで考えてモンスターとしてモンスターを狩っていたのか……。

 イザングランは驚きやす。

@70

「それじゃあ、ぼく行くね」

@71

「あ、おい……」

※暗転開始

@1

 イザングランは、狩人から身を引きやした。

 彼はまだモンスターにはなっておりやせんでしたが、もしモンスターになったら、イーグルの意思を継ぐことを決めたからです。

 本当は急いでメチル化促進剤を打ちたい気もあったでしょうけれども、それでは今まで狩って来たモンスターに示しがつきやせん。

 だから今は精一杯獣人として生きよう。

 そう決意するのでした。

※BGM37

\.

\.

\.

\.

@1

 ルナールが出所し、狩人として生計を立てていたときのこと。

 イザングランがモンスターになったと。その知らせを耳にしやした。


 ルナールの復讐が再び始まろうとしているのは言うまでもありやせん。


 ルナールは、イーグルにモンスターに襲われていたところを助けられやした。

 聞けば、イーグルもモンスターらしい、なのにどうして自分を助けたのか、ルナールは不思議で聞いてみたのです。


 イーグルは答えやした。

※イーグル回想

※暗転終了

@72

「私は普段、狩人に所属するモンスターを狩っているんだ。

「狩人に所属するモンスターが増えれば、狩人に所属するモンスターにとって狩るターゲットがいなくなってしまうだろう。

「つまりその!相互間引きといったところだ。

「だが、お前を襲っていたモンスターを狩ったのはな……。

「お前の瞳がどことなく似ていたんだ。

「離れ離れになった親友にな」

@70

「そう……なんだ。

\.

\.

\.

\.

@70

「ねぇ!ぼくもキミみたいに強くなりたい!

「このぼくを弟子にしてくれませんか?

「この、ぼくに、ぼくに戦い方を教えてくれませんか?」

@72

「そんな改まらなくとも!

「もちろんだ!私の全部!お前に教えてやろう」

※暗転開始

\.

\.

\.

\.

@1

 けれども、ある日師匠は帰って来やせんでした。


 酒場のマスターに聞けば、オオカミの獣人に狩られたと。

 それも皮肉にもぼくと同じ瞳の色をしたオオカミ獣人に。


------------------------------

ルナールの決意

------------------------------

※BGM33

@70

「久しぶりだね!

「キミがモンスターになるなんて……この時を待ちわびていたよ」

@71

「そうか……それは俺もかもしれないな」

@67

「覚悟」

※BGM停止

☆【戦闘】3,43,LOSE

@70

「くっ、強い」

@71

「……」

@70

「……何故、殺さない?」

※BGM35

@71

「実はな。

「お前の師匠は、俺の親友でもあるんだ」

@1

 その時ルナールは師匠のあの言葉を思い出しやす。

※イーグル回想

@72

「お前の瞳がどことなく似ていたんだ。

「離れ離れになった親友にな」

※暗転開始

@1

--師匠の言ってた親友ってまさか!!!

@71

「俺は自分のしたことが許せなくて、罪悪感に駆られ、そしてそこから目を背けていた。

「それに気づかせてくれたのはお前だったな。

「俺は、彼奴の意思を継ぐ。

「俺はモンスターとして彼奴のやったことを継いで、同じ苦しみを背負うって決めたんだ」

@1

 その言葉にルナールの心から復讐の灯が消えやした。


 思えば、ルナールがイザングランを倒せなかったとき、イザングランはどこか悲しそうな顔をしておりやした。

 どこかで見たことがある。

 そんな表情をしていたのです。


 思い出した。

 イザングランと接触するために利用したあの龍のモンスターの目です。

※人気のない場所

※暗転終了

@73

「なぁ、儂はもう充分生きた。

「もう獣人を狩るのは嫌なのだ。

「儂を殺してはくれぬのか?」

@70

「それじゃあさ、最後に役に立ってよ」

※暗転開始

@1

--自分のしたことに嫌気がさす。

 もしかしたら、イザングランも誰かに狩られたいのかもしれない。

 イーグルの意思を継ぐ、終わりなき旅路、それを決して諦めず貫かなければならないのだから。


 ルナールの心に復讐の炎が灯りやす。

 いえ、正確には復讐ではなくなっているのかもしれやせん。


 けれど、かつてイザングランが背負った業をぼくも背負いたい。

 そうルナールは思ったのです。


 そこからはもうひたすらございやした。

 ひたすら彼を狩るために、モンスターを狩って狩って狩りまくったのです。


------------------------------

イザングランとルナール

------------------------------

※BGM36

@70

「ようやく!

「ようやく!キミの元へ再びやってきたよ!イザングラン!

「覚えてる?キミがモンスターから助けてくれたときのこと。

「あのモンスターとは実はグルだったけど、あの計画は師匠、即ちキミの親友がぼくを助けてくれたときのことを思い出しながら練ったんだ」

@71

「覚えてるさ!

「最初から俺に復讐するために近づいたことも。

「俺に罪悪感と向き合う機会をくれたこともな!」

@70

「狩人としてキミを狩ろうとして、キミが師匠の親友だと知って、初めて師匠の言葉に合点がいったよ。

「師匠はキミのこと離れ離れでも親友として認めてたんだね。

「そのおかげでぼくはここにいる」

@71

「な、なんのことだ?」

@70

「師匠に聞いたんだ。

「どうしてぼくを助けたのかって。

「そしたらね。ぼくの瞳が似ていたんだって。

「離れ離れになった親友に」

@71

「っ!?

「それ以上の言葉はいらないさ」

@67

「覚悟!」

※BGM停止

☆【戦闘】4,44

※イザングラン撃破

@1

 イザングランの亡骸を見れば胸元にペンダント。

 よくみればそこには、師匠の写真。

 ルナールはそれを拾い上げると、空を見上げやす。

※空を見上げる

※BGM38


------------------------------

ペンダント

------------------------------

@69

「ねぇ、そのペンダントって誰の?

「どんな関係?」

@1

 幼い子供がルナールに問い、それにルナールは答えやす。

@70

「ふふっ、これはね。

「師匠と師匠を愛してくれた人の大事な形見なんだ」


------------------------------

あとがき

------------------------------

 各章の間にはレベル上げが挟まります(例外としてペンダントの章の直前にはエンドロールが挟まります)

 実際のクロスプレデーションビーストでは、キャラクター作成機能があり、作ったキャラクターと合わせて4人でダンジョンに潜ります。

 主人公以外の余白のキャラクターを用意することで、登場人物を抑えつつ、ゲームバランスを安定させる効果が期待できます。

 各章の間にはレベル上げが挟まります(例外としてペンダントの章の直前にはエンドロールが挟まります)

 実際のクロスプレデーションビーストでは、キャラクター作成機能があり、作ったキャラクターと合わせて4人でダンジョンに潜ります。

 主人公以外の余白のキャラクターを用意することで、登場人物を抑えつつ、ゲームバランスを安定させる効果が期待できます。

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