第9話 バーにて
時刻は4日目のPM22:43
あたりは真っ黒い雲で覆われ、工場の煙で空気は最悪だった。制御CPUは汚染が強まっていると
ショーンの眼球に表示した。
早くここを出たい。ショーンは体が悪くなるような気がしてきた。キナーはどうしてるのだろう?連絡を
取ってみたい。モーテルにTELしてみるか。ショーンは電子携帯をモーテルにつなげた。
しばらくすると、モーテルの交換手がでたのでショーンは言った。
「202号室の者だが、同席の人につなげてくれ」
「お客様。202号室の方はたった今、外出しました。ご伝言をお預かりしております。」
「なんて?」ショーンは戸惑った。
「しばらくお散歩してきます。気にしないでね。っと書いてあります。」と交換手。
「分かった。ありがとう」ショーンは携帯を閉じた。キナーはお散歩が大好きだ。行動療法になると
言っていたっけ。そうだ、エリア51に乗り込む前にキナーと一杯やるか。おれもしばらく飲んでない
じゃないか。
ショーンはkajiwaraに武器の装着をお願いし、歩いて雨の中を歩いた。露店市場でベトナム製のハットを
購入した。ジャケットは汚染防止加工だった。雨のなか、傘をささずにそのまま歩いた。市場の人ごみは
ごめんだった。ショーンは赤いジャケットに黒いハットでサングラスをしてまっすくCPUのナビで酒屋
に向かった。しばらくするとレンガ作りの古い建物に着いた。ここらしい。ショーンはアンドロイドがい
ないことを確認し、ドアを開けた。
中に入るとあたりは薄暗くてテーブルが5個ほどあった。真ん中にカウンターがありマスターらしき人が
立っていた。客は3人いてショーンが入るとじろっと顔を上げた。マスターは無愛想にしていて皿を拭いていた。ショーンはマスターに尋ねた。
「EARLY TIMESとSPIRYTUSをくれないか?」
マスターは不機嫌そうに言った。
「2つも同時に飲むのかい?」
「いや。瓶でくれ。家で飲むんだ」
「2490クレジットですよ」ショーンはレジの端末機に左目をかざした。なんの反応もなかった。
「ん?認証アイはついていないのかい?このレジは?」ショーンは不思議に思った。今の時代、目のサイボーグ化はほとんど公認なんだがな。おくれてやがるな。この店。さすがスラム街だな。
「お客さん。早く払ってくれないか。スパゲティーを作らないといけないんでね。」マスターはせかした。右側に座っているカップルがいらいらしていた。早く払えといわんばかりだ。ちょっとまてよ。どうやって払おうか。口座は認証アイでしか払えない。現金はいくら持ってたっけ。ショーンは財布を見た。
6000クレジットしかない。まあいいか。財布から現金をだした。マスターは目を丸くした。