第44話 帰路へ
「これから、アンドロイド暴走計画を阻止できた事のお祝いを込めて、打ち上げをしようと思ってるのだが」とイラック。
「俺は帰る。そういうのは苦手でね」
「どうやって帰る?ホバーカーを貸そうか?」
「あれは体が冷える」
「電車か?危険だぞ」
「タクシーでのんびり帰るさ。かなり眠いから熟睡するよ」
「そうか・・あ!ショーン。これを」
「なんだイラック」
「君は法を犯してるし、死んだことになっている。身元がバレると狙われるぞ。この身分証で生きていくんだ」
「カルロス・ハックマン・・か」
「タクシーなら、乗る時身分証を提示しなきゃいかんからな。気をつけて」
「ありがとう。また会おう。今度ゆっくりと」
ショーンはアンドロメダの仲間に見送られ、エレベーターに乗ろうとした。廊下に布に包まれた大きな物があった。
「これは?」
「グルーゲルの遺体だ。手榴弾の爆風でもうボロボロだ」
しかし、突然、布が大きく動いた!
「うわ!まだ生きている!」アンドロメダ仲間数人が驚いた。
「ショーン・・・うう・・・はは。私は地獄の果まで追いかけるぞ・・」
「死んでいるはずだ。脳のチップが動かしているんだ!」ショーンが言った。
グルーゲルは手も足も失い、体もぼろぼろなのに引きずって動いている。
「ショーン・・キナーに会いに行くのか・・あの子は今頃、停止しているはずさ・・あいつはアンドロイドさ。可哀想なアンドロイド」
「なんだと!適当な事を言うな!キナーは人間だ!」
イラックがレーザーガンでグルーゲルの頭を撃った。グルーゲルの頭部は撃ち抜かれ、倒れた。
「こいつは魂を浄化しよう」
ショーンは力を込め、エネルギーを使い、魂を昇天させた。
「大丈夫か?ショーン。いや、カルロス。少し休んでいくか?」
「いや、平気だ。キナーが気になる。すぐ帰らなきゃ」
ショーンは仲間と別れ、ビルを出た。
時刻は15日目のAM1:03
ショーンは大きな通りで、タクシーを電子携帯で呼んだ。黄色いフォードが止まった。
「どうぞ。乗ってください。身分証をスキャンいたします」レゲエ好きそうな黒人の運転手だった。
ショーンは身分証をスキャンした。大丈夫か緊張が走る。
「OKです。どちらまで?」
ショーンはホッとした。「ワシントンのリーズバーグまで頼む。少し急ぎで」
「急ぎなら、高速電磁道路を使いますよ」
「ああ。頼む」
タクシーは車輪を格納し、高速電磁道路に入った。
「お客さん、大変なことになりましたね。結構、人間の中にアンドロイドが混じってたらしいですよ。ニュースで言ってましたぜ。地球防衛軍が黒幕だって」
「ああ。大変だよな。本当に・・・」
「地球防衛軍の最高司令官はどっかに逃げたらしいですよ」
「そうか・・まだそいつを・・倒さないと・・行けないな・・」
「そうですよ!黒幕ですよ!あれ、寝ちゃった・・」
ショーンは疲れと睡眠不足が襲って、意識がなくなった。




