第42話 暗転
ショーンは急いでみんなのいる下の階に戻った。
皆はまだ痛がりながら、集まっていた。
「なんだ。まだ救急車は到着しないのか」
「世界各地で侵略アンドロイドが停止をしたから、混乱が起きているわ。テレビを見て」イーランが言った。
テレビではさまざまな所で、アンドロイドの動きがとまり停止している事を記者が伝えていた。病院、学校、会社。侵略が広範囲に広がっていた。
「もしメインコンピューターを破壊してなかったら、世界はアンドロイドに一人残らず抹殺されていただろうな」とイラック。
「足は大丈夫か?イラック」
「大丈夫だ。少しかすっただけだ」
「みんな。下の階に救急ロボが備え付けてあったぞ!」
仲間が下の階からロボットを連れてきた。この時代、ビルには救急対応が出来るロボットが廊下などに置いてあるのだ。
「よし。重症者からだ」
「そうだ!ショーン。エネキス博士は自宅のパソコンに意識が転送されたそうだよ」
「意識を転送?」
「博士は自分が死ぬような事があった場合、自分の脳の複製を作ってあったそうだ。奥さんから連絡があったよ。会話も可能だそうだ。脳内PCのメンテナンスもこれで大丈夫だな」
「そうか。博士がいなかったら、脳内PCは維持できないからな」
「キャー!!」
「なんだ!」ショーンが振り向くと、なんとグルーゲルが体を引きづって階段から降りてきた。
「くそ!状態確認をするべきだったか!」
皆は急いでレーザーガンを構えた。
「グルーゲルはライフルを持っていない?」
[ショーン。分析完了。彼は死んでいるわ。おそらく脳のチップが彼を動かしている]
「なんだ!それじゃあゾンビじゃないか!」
皆はレーザーガンを撃ったが、撃たれてもグルーゲルはズルズルと体をひきづり近づいてくる。
「やつは意識はもうない!頭を狙うんだ!」イラックが叫んだ。
グルーゲルは小型手榴弾を持ち上げた。
「みんな!危ない。手榴弾を持っている!隠れろ」ショーンが叫んだ。
グルーゲルは手榴弾のピンを抜いた。
イラック、イーラン、他のアンドロメダの仲間は近くの家具などに隠れた。
「ショーン!隠れて!」
手榴弾は爆発した。
しばらくして、イラックは散らかった部屋の中から、起き上がった。
「ショーン!イーラン!」
照明も消え、夜なので暗かった。
「イラック・・」イーランは生きていた。
「おお!イーラン。無事か!」
「小型の手榴弾だったから、まだ良かった。ショーンはどこ?」
他の仲間が次々と起き上がった。
「ショーンはこっちにいます」仲間が言った。
ショーンは爆風をもろにくらい、意識はなかった。
「なんてことだ・・救急ロボはまだ使える?」とイラック。
「ロボ、動くよ。まだ使える」
救急ロボがショーンをスキャンした。
ロボは音声で伝えた。
[ 脳内脱分極現象がおきています。神経細胞膜の電位が一時的に崩れ、脳の電気活動が停止。急性期意識障害の本質的なメカニズムです ]
「どうすれば治るんだ!」
[ ここの設備で難しいです。しかし、早くしないと最悪植物状態もありうる ]
「なんてことだ・・」




