第34話 急展開
時刻は14日目の13:05
Dr.ハリー・ロイスは脳外科医と一緒に保護室に入ってきた。またぽっちゃりした男性看護師もいる。
「ショーン。脳外科医のドクターも連れてきたよ」ハリーが言った。
「よろしく。ショーン」脳外科医とショーンは握手をした。
「先生。脳内PCが妄想だと言うのはおかしい。国防情報システム局へのハッキングはどう説明する?エイリアンのアンドロイドと人間の識別も脳内PCはしたのだぜ。しかも今まで識別ミスはなかった!」
ハリーは弱った表情で脳外科医に視線を送った。
脳外科医はこう言った。
「それは、こう説明が出来る。国防情報システム局へのハッキングは君じゃないとかね。たまたま同時期に誰かがハッキングに成功した。とかね?あと、アンドロイドの識別に゙ミスがなかったには、50%なのだから、これもたまたま運良く当たりを引いたのさ。運良く人間を殺さなかったのだろう」
「俺は・・・脳内PCもテレパシーも妄想だったというのか・・・」
「ショーン。まあ、そう落ち込むな。治療すれば大丈夫だ。時間はかかるかも知れないが、少しづつやっていこうよ。あと、ここは急性期病棟でね。そろそろ通常病棟に移ってもらうよ。明日の朝、移ろう。いいかね?」
「分かった・・・」ショーンはもう自分が分からなくなり、思考が停止していた。
精神科医のDr.ハリーと脳外科医は誰もいない診察に入った。
グルーゲル大佐も来ている。
「ショーンはどうしている?」グルーゲルが聞いた。
「混乱しているか、悩んでいるようです」ハリーが言った。
「よし。いいな。明日、決行する。ショーンに気づかれるなよ」グルーゲルが言った。
ショーンは今までの事柄を回想していた。ドラミとの出来事を。彼女の指示で動いてデタラメだった事はなかった。妄想なんかじゃ・・でも、俺は病気で本当はドラミなんかいなかった!?もう分からん。不安だ・・テレパシーも出来ない。薬・・飲んでいるから・・テレパシーなんか使えてなかったのか・・
扉が解錠した。誰だ?
ぽっちゃりした看護師だった。
看護師は大きな鞄を持っていた。こっちを見ない。モップを持っている。掃除か?掃除は清掃スタッフがいるのに・・
声が聞こえる・・
(ショーン。君は病気なんかじゃない。大丈夫だ)
ショーンはびっくりした。突然またテレパシーが使える!看護師は部屋をずっとモップ掛けしている。
(明日、君は病棟移動なんかしない。脳を解剖されるんだ)
え!なんだと!
(グルーゲル大佐がこの病棟にいる。君の脳内PCの秘密を解こうとしている。君は今日、死んだ事になっている。ひどく暴れて、鎮静剤が運悪く事故に繋がり、死んだと。そう処理されている)
(そんなことが・・これも妄想か・・)ショーンもテレパシーを返した。
(言葉には今は出せない。この病室は録画されている。声も。テレパシーで話すんだ)
(でも、妄想かも・・)
「本当の事だ」看護師はまっすぐショーンを見て、口をはっきり動かし声を出した。




