第31話 Dr.ハリー
今度はぽっちゃりした30代くらいの男性看護師が扉から鍵を開けて入ってきた。
4種類くらいのカプセルの薬が渡された。もう飲むしかない。薬を口に入れて、水が入ったコップも渡されたので一気に流し込んだ。看護師は口の中を点検した。ちゃんと飲み込んだか怪しんだのだろう。
看護師はガラガラと薬が入っている台車を持って出ていった。
しばらくすると、眠たくなった。白い壁しか見るものがなく退屈なので、置いてある掛け布団を広げ、ショーンは眠りにつく。意識がぼんやりする。睡眠薬でも入っていたのかな。そういえば、キナーはどうしているのだろう?俺の自宅に戻ったか?どうだか・・・ショーンは意識が薄れていった。
朝、目が覚めると看護師の介助で朝食、そして昼食。夕方に夕食。そんなことを3日くらい過ごした。
ある時、朝食を終えてぼんやりしていると、背の高い黒メガネの白衣を着た男性が入ってきた。看護師も複数いる。
「ショーン・サテライト君。おはよう。私はドクターのロイス・ハリーだ。よろしく」
ショーンと握手をした。
「ショーン。だいぶ落ち着いているね。拘束は辛いだろう。もう取り外そう」
「頼む。ありがとう」ショーンは拘束がストレスだったので、嬉しかった。
看護師がショーンの拘束を取り外した。
「ショーン。これから診察室に行こう。大丈夫かね?」
「ああ。大丈夫だ。行こう」
看護師に付き添われながら、Dr.ハリーと診察室に向かった。自分の周りにもいくつか部屋があった。
外からは中は見えない。シャワー室に入ろうとしている病衣を着た黒人男性がいた。看護師と一緒だ。
「ここは病院?」ショーンはDr.ハリーに聞いた。
「そうだ。軍専用の精神病棟だ」ハリーが教えてくれた。
診察室に入った。看護師が左右に配置した。Dr.ハリーがデスクのある椅子に座り、ショーンはその前にある椅子に腰掛けた。
「いくつか質問するよ。ショーン。血液検査の結果、薬物反応はなかった。ただ、テレパシーというのは昔からある能力なのかい?」
「そうだ。性格には15歳からだ」
「全員と誰でもテレパシーが出来るのかい?」
「いや、全員ではない・・・」
「ショーン。素直になった方がいい。場合によればもうここの病棟から一生出れないかも知れないよ。正直に話すんだ」
「分かった。あまり話さないで来たが、話すよ。俺はアンドロメダの魂を持ってるんだ。侵略者ではなく、自然由来の生まれ変わりのアンドロメダ人だ」
「なぜ、自分がアンドロメダ人と分かるのかね?」
「アンドロメダとコンタクトを取っている。正確にはアンドロメダ星雲のマウル星だ。この星の住人と話しているんだ」
「そこで君はアンドロメダの生まれ変わりだよと言われたのだね」
「そうだ。他にも仲間がいる。アンドロメダの同胞は100人以上この世界にいる。自由にテレパシーを使うことができる。しかし、これを言うと精神疾患があると言われ、病院に入れられる。いつもそうだ」
「目的は何なのだね?君たちアンドロメダの魂を持った人たちの?」
「目的は地球の活性化、次元の向上。侵略者から地球を守ることだ」
「なるほど」ハリーはパソコンのカルテに入力している。
「テレパシーは分かったよ。もう一つ聞きたい。脳内にコンピューターを搭載している?」
「それは・・・」




