第3話 電磁車
曇った空の下、ショーンは愛車の電磁者を飛行していた。
コンクリートに囲まれた高速道路は地下に組み込まれた磁石と車の底にも備えられた磁石とが反応しあい、車を5メートル空中に浮かせることができた。
カーブを曲がりきったところで制限速度150キロ標識が見えたので、逆噴射ブレーキを踏んだ。
フロント部分から意気良いよく蒸気が噴射され、見る見る減速されていく。ショーンは自動操縦に切り替え、疲れた目を休めた。夜通し走るとさすがに疲れるな。
ショーンはメモの番地をナビに告げた。
「ナテン通り、D11624番地はどこだ?」
ナビが高速に処理をする機械音がかすかに聞こえた。「画面表示します」ナビが答えた。
ナビゲーションのディスプレーにそこの場所が映った。
「事業の登録がされていないようだな。まぁ予想はしていたけど」ショーンはナビに従い古道具屋をめざした。
無許可で商売しているものは国が正当な売買しているかどうかの検査を受けていない。だから、検査料も払ってないし税金も納めていない。
その代わり売っている価格が相場より極端に安い場合がある。中にはまったく作動しないポンこつを見た目だけ新しくし売っているいんちきのところも存在するが・・
途中、頭上の道路「CLR」から異様な雰囲気が伝わってきた。あちこちでクラクションが鳴り響いている。
「事故かな?」ショーンは気になった。
自動走行では事故発生はほとんどなかった。
ナビが告げた。
「緊急情報です。ただいま電力不足で停電状態になっております。CLR,電車など電力を大量に必要としている所では復旧するまで停止します。
一部のご家庭でも地域によっては停電状態続くと思われます。繰り返します・・」
「いやはや、下を走っていて大正解というところか」ショーンは苦笑いした。
しばらくして、目的の古道具屋に到着した。
中古屋の外には乱雑に家電が陳列してあった。ショーンはゆっくり見たかったが、車のディスプレイに
<ただちにルートを修正せよ。from 地球防衛軍>
と表示されたので、あせってしまった。
「監視されてる。たぶん衛星だな」ショーンは無視して中古屋に入った。
中国人の店主だった。
「へい!いらっしゃい。いろいろおもしろいあるよ~」
「見たいがあまり時間がない。車にあるオーディオを直してくれ」
「車のね。あいよ。」店の主人は車に向かった。
「すごい車だね!xx49年式のジャガーだね」
「車の中を見てくれ」
「ん~と。これね。あ~。こりゃ、だめだ。ヘッドの近くの回転部分が消耗してるよ。うちにはこの型
ないな~。取り寄せならあるかもね。お時間いただくよ~」
「私の電子携帯の番号を今教える。入荷したら知らせてくれないか?」ショーンは番号のメモを主人に
渡した。主人は愛想よく分かったといった。
ショーンはあわてて車に戻った。すぐにナビにデトロイト到着のルートに変更した。
ショーンはナビゲーションで停電が復旧したことを知った。ショーンはCLRを選んだ。高速電磁道路だ。
地球防衛軍では大佐のヘリが到着し、部下が出迎えた。大佐はまっすぐに自分のオフィスに向かった。
オフィスで大佐はカール伍長を呼んだ。