第10話 レコードプレーヤー
「お客さん。薬でもやってるのかい?こんなお札みたことないよ。」客もじろじろ見た。カップルの男が
怒った。
「おい。あんた。こっちは腹が減ってんだ。早く払えよ。金がないなら出直しなよ」
おかしい。なにかおかしい。こいつの格好はなんだ?どっかで見た事があるが。変わった服だな。汚染防止加工してないんじゃないか?男はTシャツにジーパンだった。まあいいさ。こいつら汚染で頭がおかしいんだろう。電磁道路のサービスエリアで酒を買えばいいさ。
ショーンは悪かったという合図で手を上げ
店をさろうとした。出口のドアを開けようとしたら、ショーンは目を疑った。
出窓にレコードプレーヤーが置いてあった。
しかも使えそうな感じだった。ショーンは不思議そうにそれを眺めた。
「すいません。これ、本物ですか?ただのインテリア?」
「本物だよ。店が終わると聞いてんだ。」マスターは平然と料理しながら答えた。
店が終わったら聞くだと?うらやましい。いったいどのくらいのクレジットをだせば手にはいるのだろう。
レコードプレーヤーか。
くそ。軍の給料でも難しいぞ。というよりは存在自体が奇跡だ。針がよく手にはいるな。これほしいな。でも売ってくれる訳ないよな。こんな上等なアンティークを。聞くだけ聞くか?
(ドラミ。どうしよう。)ショーンは脳内PCのLyLyに尋ねた。
(( ̄^ ̄) 興味なし)
つめてえ。くそ。ほしい。聞いてみるか。
「あの….その…このプレーヤーを売ってくれないか?」おそるおそる聞いてみた。
「プレーヤーを?なんでさ。町で買えばいい。」マスターは不思議そうに答えた。
くそ。やっぱり聞くんじゃなかった。売るきなんてあるわけないさ。こんな上物。
鬼め。鬼仕業だ。こんなジレンマを与えるなんて。
ショーンは店を出た。一瞬立ちくらみがした。外はすっかり晴れていた。あれ?あんなに雨が降っていたのに。それになんでこんなに明るいだ。今はたしか夕方のはず。ショーンは眼球に時刻を表示した。
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あれ。表示しない。制御CPUの調子が悪いのかな。それとも衛星との同期が悪いのか。
また。立ちくらみがして、ショーンは近くのブロックに腰掛けた。しばらく動けなかった。
気づくとショーンはあまりの寒さに目がさめた。そして真っ暗で雨が降っていた。
なんだどうなってんだ?
[2075/8/3PM20:18]CPUは表示した。
「やっと気づいたのね」




