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4 部屋に戻るまでが外出です

 私は中庭を走って入口の扉の前に来ました。

いつもピッチリと閉まっていると思っていた中庭へのドアだけど、こうして見てみるとドアの下の隙間も、ドアとドアの間も随分と隙間が空いているものです。この隙間のおかげで、今私は家に中に入る事が出来るんだけどね。と思いながら、ドアの段差に手をかけて体を持ち上げると隙間に入り込んで身をよじらせて進んでいきました、廊下に出てから自分の身体を叩くとかなり埃が立ちました。


これは・・・セリナじゃなくても誰かに見つかったらまたお小言を言われてしまうわね。

とにかくいつ、元の姿に戻るのかも良く分からないので、部屋に急ぐことにする。


 あれ・・・さっきは壁の中を男の子(ムカデ)について行ったら順調に移動できたけれど、今の私にとって目の前にある階段はかなりの難関です、ドアの段差はなんとか手が届いたけれど、この階段の段差は無理。優に身長の倍以上ありそうなので飛び上がっても手が届きません、困ったなぁ

周りに踏み台になるような物があったとしても、その踏み台を持って上がって、なんてことを繰り返す訳にも行かない。。。


ウロウロしながら考えあぐねていると


「よぉ、どうしたんだい?」と声を掛けられました。

「あっ、もしかしていつものクモさん?」


「ああ、いつも話しかけてくるお嬢ちゃんだよな、今日はなんでそんなにちいちゃいんだよ」

「わかんないの、百足さんを助けてあげようと思って、使った事も無い魔法を使ってみようと思ったら、自分がちっちゃくなっちゃったの」


「そっか、百足はどうなったんだ?」

「一緒に地下のお部屋に移動したの、私はいつ元の姿に戻るか分からないから、外に出てから部屋に戻る道を探している所なの」


「なんだ?元に戻るやり方も分からないのか?」

「クモさん分かるの?」


「俺はクモだよ、分かるはずないじゃないか、いつも話しかけてくれるあんたの事は分かってる、それ位だ」

「そうだよね、どうしたら元に戻れるのかな?」


「人間に聞いたらいいんじゃないか?」

「多分分からないと思う」


「アイツなら分かるんじゃないのか?」とクモが足の一本で示した先には、はたきを持ったクララがいました。

「あっ、クララなら分かるかも知れないわ、クモさんありがとう」お礼を言いましたが、クララは2階にいるので階段を上がらないと行けません。

「一か八かだわ・・・」

私は口の周りに掌を当てて、簡易メガホンにするとクララに向かって、大声で叫びました。

「クララー」クララは一瞬振り返りましたが、しばらく周りを見渡した後また掃除を始めてしまいました。

「クララー、下に来て」クララは目をぱちくりさせながら階段を下りて来てくれました。

「クララ、下、足元を見て」クララは私を見るととても驚いてからしゃがみ込みました。

「お・・・お嬢様?・・・ですよね・・・どうしちゃったんですか?」

「魔法でムカデを持ち上げようとしたら、小さくなっちゃったの」

「クララは、私をすくい上げる様に手を出して来たので、手のひらの上に飛び乗りました」

「お嬢様のお部屋は・・・今日はルーシー?ミシェルでしたっけ?」

クララが呟いているので「セリナよ」と言いました

「セリナ! あの子も魔法使えるのよ、それと動物とお話が出来たんじゃないかな?」

えっ、そうなの?

「魔法って、そんなにたくさんの人が使えるの?」

「ん~、貴族の子供は何人か使える子がいますよセリナは子爵家の子だし、魔力のある子は学校の500人の中で3~4人位いたから、1パーセントよりはちょっと少ない位かな?男の子だと神官になったりするけど女の子は割と隠してるし、私が教えた子はみんな使えるようになってたし、もしかしたら、平民でも使える人はいるのかもね、ただアイシャ様のように小さくなった人は初めて見ました。」

そう言うと、クララは私を左手に乗せたまま歩き始めました。

さっきまで運動場よりも広くて走り回っていた廊下でしたがあっという間に、私の部屋の前まで戻ってきました。

「やっと私の部屋だわ」

クララは唇に指をあてて、「セリナと話するまで、静かにしていてください、あの子無口だけど、驚いて大声出されたりしたら大事になっちゃうから」

そう言うと、ゆっくりと軽く手を握り私が見えない事を確認してから、ドアをノックして部屋に入りました。

「セリナ、ちょっと話があるの手を止めて来てくれる?」

花瓶を拭いていたセリナは、相変わらず無表情なまま、花瓶を戻すと、こちらに向かって歩いてきました。

「セリナ驚かないで、話を聞いてくれる?」

セリナは怪訝そうな表情になりましたが、黙って頷きました。

「あのさ、あなたにも魔力あるよね?」 セリナがこくりと頷きました。

「だから、内緒で聞いて」セリナは唇を尖らせて言いました。「なにか良くない事でも始める気」

クララは首を横に振ると、「いい?私は物を移動させる事位しかできないでしょ、あなたはかなり特殊な力を持ってる、だからあなたに相談するの、絶対に秘密にすると誓って」

セリナはとても嫌そうな顔をして「何をよ」と言いました。

クララは左手をセリナの前に突き出して手を広げました。

手のひらの上に、体育座りをしているアイシャがいました。

お読みいただきありがとうございます。

『☆☆☆☆☆』の評価やブクマいただけると幸いです。

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