40 騎士団長アレックスの決断
いつも読んでくださってありがとうございます。
このお話は、”大好きな作品にファンレターを書いたのに感想を受け付けていませんって出てきちゃうどうしたら良いんだろうって思っていたらとんでもない事になっちゃった。”
に登場する王妃侍女アイシャのお話です。本編の舞台裏をお楽しみください。
騎士団長のアレックスは、もう何年も会えないでいるアイシャの事を淡い思い出として振り払おうと思っていた。
しかし今日聖女様3人をお迎えに来た侍女を一目見てその心の中の想いが沸騰してしまった。
”アイシャ”しかし王都周辺の有力者たちを集めた今日はあまり警備の者が動き回れない、警備が動いていると何かあったのではないかと、来客に不要な心配をかけてしまうからだ。
流石に目で追うだけしか・・・聖女様と男二人か・・・あの男聖女様ではなく、アイシャの事を見ている、気に入らない。
アレックスは、団長なので本来持ち場などない為、自由に動き回る事は可能だ。
だが、数年前に会ったきりのアイシャに声を掛ける訳にもいかず、ひたすら目で追う事しか出来なかった。
ふと部下に声を掛けられた。「団長あの人アイシャさんですよね、ずっと見とれてたけど、仕事中っすよ(笑)まぁ美人だし滅茶苦茶可愛いし、俺なんか高嶺の花だけど団長さんそんなに気になるんだったら、声かけたらいいのに」
そう言うとアイツは歩いて行ってしまった。
傍から見ても、見とれているのがまるわかりだったとは、団長失格だなぁなどと自己嫌悪になりながら来客の中に不審者がいないか、目を見張らせるのだった。何しろつい先ほど、鳳凰の間に汚物を撒き散らした男女が居て拘束されたのだ。聖女様に害する者なのは確かだった。
しかし、この国初めての聖女様、その地位は王家と並ぶというのに己の身の程を弁えないというかなんというかだ、どちらにしろ全容が解明され次第死刑は免れないだろう。火あぶりか斬首か程度の違いしかない。
王宮での取り調べだけでなく、不法な特許取得の犯人でもあるらしく、この後は警察で取り調べを受けるのだそうだ、精々取り調べの間だけでも生きられる事に感謝するがよいと思う。
それにしても、数年ぶりにお会い出来たアイシャ殿は美しかった。どうも姿を見ないと思ったら、王家の建物に出入りしていたのか、流石に騎士団長でも滅多に出入りは出来ない王家の建物に住まわれている侍女になっているのだとしたら、このままもう会うことは出来ないのではないだろうかと不安が募ってきた。そのせいか”そういえば、実家からは伯爵家令嬢との見合いを打診されていたなぁ”と、余計な事を思い出してしまった。
このままアイシャ殿と会う事が叶わないのならば、覚悟を決めて見合いをするべきなんだろうか。
せめて、我が胸の内を伝える事が出来れば、そんな事を思ってしまった。
「騎士団長さん、あの女性に見とれていらっしゃいましたね。」また声を掛けられてしまった。
「えっ、あっはい」なんともあやふやな返事しか出来なかった。
「彼女の事良く知ってるよ」この男性は彼女の何を知っているというのだろう。苦々しい表情でこの人を見ているとだんだんと腹が立って来た。
「まぁまぁそんな怖い顔をなさらないでくださいな、私は時々彼女と仕事の打ち合わせで顔を合わせているのでね。少し口をきいてあげようかなと思っただけだよ」
”うるさい”などと言わなくて良かった。
「それで、いつになるのですか?」と私は警戒しながら、目の前の貴族に問いかけるのだった。すると目の前の貴族はこともなげに言うのだった。「今夜もこの後に顔を合わせる予定だし、明日も会議に同席する予定だよ」そんな事を言われてしまうと「是非お願いしたい」つい、目の前の誰だか知らない貴族にそんな重大な事を言ってしまったのだった。「それでは、明日の会議の後にでもお伝えしましょう。それまでに手紙などがあれば、預かっておきましょう。」
と言われたので「後で書いてくる、どこで渡せば良いか」と尋ねると「明日登城の時に騎士団の詰め所に寄ってから行きましょう」と言ってくれた。今夜は徹夜してでも手紙を書かなくては・・・
その夜、何十枚もの便箋に書いてはくしゃくしゃに丸めて棄てて、書いては棄ててを続けてようやく手紙のようになった物を封筒に入れるのだった。
次回は23日午前6時ごろ投稿の予定です。




