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30 王都での流行

いつも読んでくださってありがとうございます。

 シャーロット王子妃殿下の夫プリムス王子が王位を継承してからも、ランスでは平和な日々が続いていました。


 以前アイシャを招いて執務室での勉強会が行われてからと言うもの、先代は何度もアイシャを貸してくれと言い、アイシャは重要な事案が発生すると貸し出される事が時々あるのでした。


 プリムスが王になってからも重要な議案が生じるとアイシャが呼び出されることは続いていて、もはやアイシャはランスに無くてはならない人物になってしまっていました。


「今日は、どうやら普通のお茶会ですわね」

シャーロット妃殿下が、お茶会の名簿を見ながらアイシャと打ち合わせをしていました。


「はい、今日はネメ卿が久しぶりに王都へ来ておりますので、ネメ夫人が参加する以外には特に参加者に変わりはありません」

と言いながらネメ夫人についてのメモをシャーロット妃殿下に渡すと、紅茶のお代わりを注ぎました。


 姉達は社交の勉強も一所懸命にやっていたけれど、私はあまり熱心じゃなかったなぁ、まさか国で一番偉い立場で社交の調整役をする事になるとは思ってなかったけれど、姉達みたいに勉強しておくんだったなぁ。

そんな事を今更になって思うのでした。


- - -


プリムス王の妹のサリア王女が、結婚しないと宣言していたのはシャーロットが嫁ぐよりも遥か昔本当かウソかは知りませんが、3歳の頃からは結婚はしないと宣言していたそうで、20歳になった頃、遥か辺境地ファカタからジェイムソン・ファカタン侯爵が求婚の為に登城した際も、とても冷たい対応で本当にこのお方は誰とも結婚しないのだなと思って見ていました。

その後も幾人かが、王女の元へ求婚に訪れたのですが、サリア王女の気持ちを動かす人は現れませんでした。


 そして王権交代の時に、数名の護衛を連れて”探さないでください”と宣言をして城から出て行ってしまいました。

詳細は公表されませんでしたが、王城から馬車で2日ほどの、マルポンポン領の山奥アンジャリンという集落に移り住んだようでした。何故にあのような不便な場所に移住したのかは、王城暮らしが当たり前のシャーロットには理解が出来ない事でしたが、夫のプリムス王は、サリアは赤ん坊の時からなんだよ、と言ってサリア王女の行動に理解をしているようでした。


- - -


 王城で勤務し始めてから、アイシャは一日も休む日が無く、はたして何年たったのかも自分では把握していなかったのですが、珍しく休暇を貰ったので、王都の街に出て散策してみました、久しぶりに歩いた街は食堂などの様子が変わっていました。

以前は、街を歩くと汚物や物の腐った臭いがあちらこちらからしていたのですが、その臭いがしなくなっていました。

異臭や腐乱臭がない街と言うのは、それだけで気持ち良く歩く事が出来ました。


それから、水道というものが出来ていて、食事をする前に手を洗いましょうと書かれていました。

今はこのような文化が広まっているのですね。

アイシャは、自分の知らなかった文化が流行っている事を知って興味を持って調べ始めました。


王城に戻ると、シャーロット王妃に「本日街を歩いた所、水道という大変面白い物が流行っておりました」

と早速報告を入れるのでした。

シャーロット王妃も興味を持ってくれて調査を指示なされたのでした。

王妃の部屋に呼び出された男は、マルコム・ヴァヴィンティヨと言いました。

既に粗方の事は調べているという事で、報告書用のメモ書きを見せてもらいました。


水道関連の物資、陶器製の便器など見た事も無い物がマルポンポン領を中心に広まっている事

さらに絞り染めという新しい染物もマルポンポン領を中心に広まっている事など、それまで王都の隣だと言うだけで、その恩恵を受けていたマルポンポン領が急激に発展をしていると言うのです。

マルポンポン領と言えば、アイシャには思い当たる人物がいました、王妹のサリア王女です。


「マルコム・ヴァヴィンティヨさん、マルポンポン領と言えば、サリア王女がその事に関わっているのではないでしょうか?」

そう尋ねましたが、マルコム・ヴァヴィンティヨさんは首を横に振りました。


「サリア殿下はアンジャリンと言う場所におられるのですが、これらの発祥の地はヴァヴィンチョと言う隣の集落になります、険しい森の中を徒歩で1日歩かなければたどり着かない場所です。

田舎の事なので、もしかするとアンジャリンとヴァヴィンチョで交流があるのかも知れませんが、今の所サリア殿下との関係は不明です、今後山へ入った際にその辺りも確認しようと思っております。


 住民からの話などをまとめると、マルポンポン領の山の中にある集落のヴァヴィンチョで、カオリとウィリアムと言う夫婦、レオナルドなる医者が清掃活動や水洗トイレ、水道、浄化槽、電球、電池等を次々と開発して広めている、と書かれていました。

アイシャが「レオナルドなる医者が、主では無いのか? なぜカオリが一番初めに書かれているのだ?」

とマルコム・ヴァヴィンティヨに聞くと、「カオリと言う女性が不思議な事に、突然森の中に現れた」と言うのです。

「田舎の山の中の話なので、作り話の可能性も含めて、調査しているのですが、ヴァヴィンチョの住民の話では、みな判で押したように山奥に突然現れたと答えるそうです」という事です。

 そして、カオリが発案したものを、旦那のウイリアムと医者のレオナルドが中心となって、集落の住人たちで製品を作っていたという報告なのでした。


「今の報告だけでは、まだまだ全貌が分からないので、冬になるころには私が現地に調査に行こうと思っております」マルコム・ヴァヴィンティヨ氏が自ら動く為に今調整をしているのだと言いました。


アイシャは、自分が行った異世界のような所からやって来たのではないかと思うと、カオリに会いたくなりました。

そして、シャーロット王妃の執務を補助しながら、懐かしい異世界を思い出すのでした。


その後も時々マルコム・ヴァヴィンティヨ氏はシャーロット王妃へ報告にやっていていて、カオリ達が工場を作りたがっているけれども、銀行が貸す事に同意をしていない事、マルポンポン侯爵が個人的に融資をしようと動いていることを報告すると

シャーロット王妃は、「今すぐ、要求額を貸し出すように銀行へ働きかけなさい」と命令したのでした。

次回は2月2日午前6時ごろ投稿の予定です。

只今、次作品を執筆中です。


少し間を頂きまして2月12日日曜日の頃には発表できるようにしたいと思っております。

どうぞ今後ともよろしくお願い致します。

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