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29 私のよ、あげないから

いつも読んでくださってありがとうございます。

 王子妃殿下付けになった初日に、酔っぱらった貴族を、誰も傷つけることなく排除するなど、一級の警備をこなしたたアイシャは、すっかり王子妃殿下のお気に入りになりました。


語学も堪能で王女の仕事へのアドバイスも完璧にこなすなど、その才能の高さは群を抜いていたのです


そんなアイシャの噂は、報告書を読むまでもなく、王の耳にも入りました。

ある日、王家の一族が団らんの時、王が手を上げて人払いをしました。

アイシャが部屋を出ようとした時に、王様が声を掛けました。

「そなたは残れ」

「はい」 アイシャはだるまさんが転んだのように、一旦ぎこちなくとどまり、扉を閉めると向き直りました。

「アイシャ殿、そなたが欲しいのだ」

「えっ」 アイシャが思わず声を出してしまいましたが

同時に王妃様が、王様の頬を叩いていました。

「はしたない」王妃様の目が笑っていませんでした。


「ダメです、私の侍女です」シャーロット王子妃殿下が大きな声を出しました。


「あっ、だから、うちの宰相より優秀だと噂だから」

王様は慌てて弁明を始めました。

「ぜーったいダメです、アイシャは私のお気に入りなんです」とシャーロット王子妃殿下は王様に対して強硬に反応しています。


「お父様、なんで急に人の侍女を欲しがり出したんですか?」サリア王女が質問すると。

「だってさぁ、ほら、とても優秀で美しくて、しかも強いんだって言うじゃないか、この頃噂の的だし少しそばで見てみたかったんだよ」

王妃様がまた王様の頬を叩きました。


アイシャは、淑女の礼をしたまま身動きできずにいました。

「ほら、お父様、いい加減許してあげないと、アイシャさんがずっと礼をしたままだよ」


「では、父上も新たに優秀な宰相を探し出してはどうでしょうか」プリムス王子が言うと

「プリムス、お前は弟が優秀だから、セカンドゥスに宰相をやって貰えば良いだろうが」

人払いをするまでもなく、何故か今日はこの部屋に宰相の姿がありませんでした。


セカンドゥス第二王子が言います。

「アイシャ殿のお父上は、いかがでしょうか?」

王様が首を横に振りました。

「あ奴は、王城にも碌に登城しておらん、宰相の補佐も無理だ」


アイシャは、余計な口をはさむ事が出来ないので、ひたすら下を向いて淑女の礼をし続けていました。


「お父様、お義姉様に一日だけ貸して貰ったらどうかしら?」とサリア王女が言うと、

「そうか、素晴らしいアイディアだ」と王様の声

「いや~」というシャーロット王子妃殿下の声

「あなた」と言う声と同時に王様の頬を叩く王妃様


アイシャは、困り果てていました。


「お兄ちゃんも、アイシャさんを見て、勉強したらどう?」とサリア王女が言うと

二人の王子は、「そうだな、そこまで優秀な侍女と言うものを見た事が無い」と言い遂に

「分かったわよ、一日だけですからね、絶対にそれ以上貸しませんからね。」とシャーロット王子妃殿下が折れたのでした。


その後、部屋を出る事を許されず、王様と王子二人はアイシャの経歴書類を持って来させると、3人はじっくりと目を通していました。

シャーロット王子妃殿下がアイシャ用の椅子を用意させて、アイシャはシャーロット王子妃殿下の隣に座りましたが、目の前に出される食事もお茶も手を付けて良い物か全く分からないのです。


王様が「冷める前に食べなさい」と言うと、王妃様が冷たい目でアイシャを見るからです。

サリア王女が、「お義母様アイシャさんは何も悪い事をしていません、興味本位に振り回されている被害者ですから、優しくしてあげてください」と助け船を出してくれると漸く、冷たい視線が収まりました。


「あなた、どうぞ召し上がりなさい」王妃様から食べる事を薦められたので、アイシャは美しい所作で食事を始めました。


 すると王様は、「美しいなぁ、バールトン侯爵家はこんなに素晴らしい娘を隠しておったのか、実にけしからん」と感心したように言いました。


「シュペイの第三王子ルークへ婚約が5歳の時でしたか、僕でも良かったのではないでしょうか」

と報告書を見ながら、セカンドゥス第二王子が言いました。


第二王子は真横にいた、幼い少女の雰囲気を残しているアン夫人が低い声で「あなた」と言いました。

セカンドゥス第二王子は頭を掻いて、「ごめんてば」と言っています。

少しセカンドゥス第二王子がビクンとしていたので、テーブルの下で蹴られたみたいです。


「知っとるわ、だからこそ、完璧な王妃が出来そうな女性ではないか、サリアも、シャーロットも、しっかりと見習うように」と何故か急にサリア王女もシャーロット妃もアイシャを見習うように言われてしまい、なんだか拍子抜けしたようになってしまいました。


翌日、本当に王様の執務室へ呼ばれて、王様と二人の王子と同じ机にアイシャが座り、昨日は体調不良で休んでいた宰相や他の者達と執務をこなすのでした。

 国の政は久しぶりなアイシャでしたが、突然の仕事にも全く動じることなく的確な意見を出し、仕事を進めるアイシャを見て、宰相が大いに反省をしたのでした。

次回は31日午前6時ごろ投稿の予定です。


只今、次作品を執筆中です。

少し間を頂きまして2月12日日曜日の頃には発表できるようにしたいと思っております。

どうぞ今後ともよろしくお願い致します。

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