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22 呪い

いつも、読んでくださってありがとうございます。

 ルイスが、お父様に手紙を出してから5日後に領地にいるお父様から返信が届きました。

アイシャへの手紙と、ルイスへの手紙、そして兄弟みんなへの手紙でした。


 ルイスは、クララの両親へクララが当家の三女へ、未熟な魔法を教えた為に一時的に、異常事態に陥り行方不明となり生死の確認も出来なかった事、その事により罰を与える予定だった事、罰から逃れるために他国へ駆け落ちしたと手紙を出していました。


 怒ったキャンベル子爵家が、当家にやって来たのは手紙を出してから1週間もしないうちでした。

怒り心頭のクララの両親でしたが、アイシャが死ぬところだった、賠償するのはキャンベル家の方だと反論されてしまい、結局クララの居所を伝えられる事もなく、悲観した様子で帰って行きました。


 部屋から出てはいけないと言われていたアイシャは、その様子をじっと窓から見ていました。

「侯爵家に逆らえば、子爵家はあっという間に取り潰されてしまうでしょうから、諦めざる得ないと思います」

アイシャの部屋で一緒に居たメイドのスーザンが言いました。

「クララが幸せに暮らしている事はアイシャ様だけがご存知です、その事は、一生大切に心に置いておいてください」


「可愛い双子を産んで、素敵な旦那様と宰相をしている事は、教えては行けなかったのですか?」と尋ねても、メイドのスーザンは答えてくれませんでした。


 異世界でクララと共に10年を過ごしたアイシャは、5歳に戻った今、教師からも絶賛される程の学力を身に着けていましたが、アイシャが15歳なのだと力説すると、「15歳だとしたら・・・それでも並みの15歳ではありません、20歳だと言われれば、納得できます」と言われてしまいました。

「それでは先生20歳だと思って、勉強を教えてください」と依頼すると「もう私が教えられる範疇を超えておりますので別の教師を探してください」としっぽを撒かれてしまいました。


 アイシャは、自分の生き方がまだ分かりませんでしたから、ルイスに新しい先生を探してくれるように依頼しました。

自室に戻ったアイシャは、机の引き出しをそっと開いて、クモとムカデの死骸を包んだハンカチをそっと広げました。


「ケヴィンさん、ミック、私は一体何をしたらいいの?」

アイシャは、途方に暮れていました。


 アイシャは、クララが異世界で宰相と結婚して2人の子供を産んで幸せに暮らしているとクララの両親へ手紙を書いて魔法で送りました。

手紙を受け取ったクララのお母様は、愛する娘が居なくなった事で悲観していたのですが、魔法で異世界に行ってしまったと言う手紙を読んで、激情してしまいました。

 あの三女め、うちの可愛い娘を何だと思っているのだ。

その日のうちに、魔術師を雇いアイシャに結婚できない呪いをかけることを依頼したのでした。

魔術師は、アイシャが子供を作る事が出来ないとても強力な呪いを掛けました。


次の日、いつもの時間にメイドのバーバラがアイシャの部屋に入りましたが、普段は起きているアイシャが全く動かない為に、そっと布団を捲ると、なんとアイシャが息をしていません。

「アイシャ様 アイシャ様 お嬢様 お嬢様 起きてください 朝ですよ お嬢様 朝ですよ」

幾ら揺り動かしても全く反応が無いので、バーバラは慌てて、医師を呼びに行きました。


 侯爵家の医師が診てみましたが、脈はあるけれども、呼吸が止まっていました。

それに目蓋に指を当てて、そうっと目を開いてみましたが、全く反応がありません、呼吸が無い事は死を意味しているのですが、脈があります。

これは、呪いの類では無いのかと、ルイスに打ち明けます。


 ルイスは直ぐに神殿に使者を送り、神官にやって来てもらいました。

「やはり呪いだと思われます、直ぐに解術しましょう」と言い、1時間程祈りを捧げてもらっていましたが、神官が倒れてしまいました。


 翌日今度は2人の神官と、手伝いの2人がやって来て祈りを上げていましたが、やはり神官の2人が倒れてしまい帰って行きました。

そうして一週間した頃、漸く領地からバールトン家当主と夫人が帰って来ました。

玄関先でアイシャが起きて来ない一連の話を聞いた両親は、旅装から着替えもせずにアイシャの部屋に駆け込んできました。


「アイシャ、起きて、アイシャお母さんですよ」「アイシャ起きなさい、お父さんが帰って来たよ」

何を言ってもピクリとも反応しないアイシャに、両親も力を無くしてしまっていました。


そして、良い祈祷師がいると聞けば、呼び寄せるか、アイシャを馬車に乗せて連れて歩く旅に出ました。

1年も過ぎた頃、ランス国の東端の村で呪術師の老婆が能力が高いと言う噂を耳にしたために、片道1か月を掛けてアイシャを連れて行きました。

そこの村へ多額の寄付をすると、老衰の為床に臥せていた老婆が1日だけの約束で会ってくれることになりました。

そして、老婆の祈りが通じてアイシャが目を覚ましました。

「お父様・お母様」アイシャが起き上がって声を出すと両親はアイシャを抱きしめて1時間も泣いていました。

老婆は、「その子の呪いは、外し切れていないよ、その子は子を宿す事が出来ない、その呪いは誰かに外してやって貰って」と言うと息を引き取ってしまいました。


侯爵家に戻ったアイシャは、衝撃の話を聞かされるのでした。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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