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12 勇者とは

 「スライムは、殺されるために生まれているのですか?」

「そうとも違うともいえます、生あるものは全て死にます。勇者に殺されること、その時にコインを出し、勇者の経験値をあげる事、それがこの子達のお役目です、でも勇者を倒すものもいるでしょうし、もしかしたら違う生き方をするものもいるかも知れません、それは私が決める事ではありません。


 この場所だけでなく例えば海の中は、食べられるために沢山のプランクトンが生まれて、みんな魚のえさになります。小魚も生まれて直ぐに食べられてしまうから、大人になれるのはほんの一握りですが、食べられてしまった小魚にも食べる相手の幸せに繋がっているのです。同じことです。ただ、私が生み出しても、あまりにもすぐに殺されてしまうので、ちょっとだけ寂しく感じてしまって、涙が自然に出てしまったのです、大丈夫ですよ、あたりまえの事なのです、私がこの子達を産み出している真の目的は、あの勇者を最も強くする事なのです」


青い鎧を着た少年は勇者だったんだ。アイシャは呟きました。


そういうと、女神は何匹かスライムを作り出すと、また消えてしまいました。

勇者は、またスライムを倒すといなくなりました。


パールが鼻でアイシャを押すと、一瞬にして景色が変わって、今度は森の中に移りました。

女神が、同じようにもっと強そうな魔物を産み出しているところでした。


産み出された魔物は、直ぐに歩き出して、アイシャにぶつかってしまいました。

「痛いっ」アイシャが尻もちをつくと、「大丈夫ですかお嬢様」「アイシャちゃん大丈夫かい」「だっ大丈夫ですか」

一緒に来ていた皆が心配しましたが、魔物も「ごめんなさい、まだ生まれたばかりで、目が良く見えなくて、僕を殺しに来ている人じゃなかったんだね、ホントにごめんね」そう言うと、ふらふらしながら、歩いて行って見えなくなりました。


 そして、あの音楽が鳴り始めると勇者が現れました。


しかし、今度は魔物が強くて勇者の剣が弾かれました。

魔物が、勇者を押しのけると勇者は弾き飛ばされて転びました。


勇者は、何かを唱えると魔物が炎に包まれてしまいました、幸いにも炎は一瞬だったので、魔物は生きていましたが、火傷してしまったようです。


 魔物も負けじと魔法で大きな風を作り出して勇者を吹き飛ばしました。

勇者はつむじ風に巻き上げられて何mか持ち上げられたところで風がやんだので地面に叩きつけられてしまいました。


 あの鎧を着ているので、かなりの重たさだったようで、アイシャ達の居る辺りまで振動が伝わりました。


 こうして何度も、勇者の魔法と、魔物の魔法が交互に繰り出されていましたが、結局魔物は倒されて蒸発してしまいました、勇者は無表情なまま、コインを持って行きました。

ただ今度は勇者もかなりの怪我を負って、傷だらけになっていた事は今までの光景とは違っていました。


 そして、勇者はアイシャ達を見つけると、またアイシャに体当たりをしてきたり、剣でクララを切りつけようとしましたが、またも剣はアイシャ達を傷つける事はありませんでした。


 アイシャに、何もできない事を学習したのか、勇者は何度あらわれても、ぶつかってきたりはしませんでした。

「真の目的は、勇者を最も強くする事・・・」アイシャは女神の言っていた事を反芻するようにつぶやいていました。


しばらくたって「そっか・・・」アイシャは呟きました。 一見せっかく生まれた命ですが、勇者を強くする為に生まれた役目があるんだ。燃やされるために生まれた薪、小麦は食べられるために畑で育てられているのだし。次から次と、そんな事を考え始めてしまいました。


「私にも、なにか役目があるっていう事を教える為にここに連れて来られたのかしら?」

アイシャが呟くと、パールはお尻をフリフリして、喜んでいました。


「私の役割って何だろう・・・お兄様お二人は領地経営や国王様の補佐の勉強をしているわ、お姉さまは、社交の事・・・私は、なにが役割なのでしょう」


 クララが、私がぶつぶつとつぶやいているのを聞いていたようで、「お嬢様、じっくりと考えてください。今は5歳なのですから先ずは基本を学ぶ事です、折角侯爵家の娘として生まれたのですから、候爵家の娘でなければ学べない事を学んでください、知恵は自分の役割にとても役に立つはずですから。」と言いました。


 ケヴィンさんが「なんかあの野郎気に入らないんだよさっきからわざとぶつかってきたり、剣を振り回してみたり、どこに行くのかついて行ってみないか?」と言うのでついて行く事にしました。

ミックは逆にカッコイイと思ってしまったようで、つまようじの剣を振り回しています。

クララが「ミック危ないから人の傍で、剣を振り回すのやめて」と注意しました。


そういえばと、振り返ると先ほど勇者に隠れるように魔物を出していた女神さまはいなくなっていました。

いつも読んでくださってありがとうございます。

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