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11 役割とは・・・

昨日は、新しいお話を投稿できなくてすみませんでした。

 私達が走り出すと犬もついてきました。振り返ると真っ黒なドーベルマンのようです。

ひゃぁ~恐い恐い、みんな遅いながらも一所懸命に走っています、がドーベルマンは追いかけて来ていますが、わざとゆっくりと付いて来ているようです。


その時、どこからともなく女の人の声が聞こえました。

「パール、その4人は食べ物じゃないよ」

その声を聞いた途端にパールがドーベルマンの姿から小型で白黒色のポーリッシュ・ローランド・シープドッグに姿を変えて、おとなしくなりました。


私達は出口に向かって歩き出そうとしましたが

パールがこっちに来いといった表情で私達を見ている事に気がついたので、みんなで顔を見合わせて「どうする?」と言いました。


何もわからない世界で、パールについて行くことにしたのは、パールが後ろ足で立ち上がって、前足で行き先を示したからです。


約一時間程歩くと、クララ以外は皆疲れてしまいました。

ずっと緑色の木漏れ日の中のような霧の中のような空間を歩いていたのに、一瞬まっしろになったかと思うと突然視界が草原に変っていました。

私が振り返ってみると、3人が次々と草原に現れました。


「えっ」 「わっ」 「ここはどこ?」 パールがまた立ち上がって、口に手を当てて静かにと注意しました。


目の前に、美しい女の人が現れました。

女の人は無言で、両手を合わせて、何かを差し出すように両手を合わせたまましゃがんで地面に手を近づけると、一瞬光って、その場所に青色半透明の目と口がある風船のようなものが現れました。

女の人は、涙を流すと、数歩歩いてからしゃがみ両手を合わせて、また半透明の風船のようなものを出現させては地面に置きました。


地面に置かれた風船のようなものは、生き物だったみたいで、ぷよんぷよんと、揺れながら移動して行きました。

暫くすると、♪とーてーとー てとてーとて てとてーとー と不思議な音楽が流れ始めました。

そのうちに、青色の兜と鎧を身に付けて、重たそうな剣と盾を持った少年が歩いてきました。

そして、先ほど女の人が涙を流しながら置いて行った、風船のような生き物の前に来ました。

♪ギュルールギュルールギュルール ♪ポローン トローン トゥローン トローン プゥオローン トゥオローン・・・ 不思議な音楽は突然緊張感のある曲に変りました。


スライムが あらわれた

>たたかう じゅもん にげる

※ ※ ※ ※

なにやら次々と聞き慣れない言葉が聞こえました。


青い鎧の少年は、剣を振りかぶると、恐怖で動けないでいる風船のような生き物を一刀両断にしました。

殺された風船のような生き物は、恐ろしさに泣きそうな表情のまま、息絶えると蒸発したように消えて行きました。

その場所にはコインが一枚落ちていたので、少年はコインを拾うと鎧の中から袋を取り出して、袋の中にしまいました。

「ふぅ、またスライムか、早く強くなりてーなー」そう言うと、先ほどの生き物を次々と殺していきました。


あの女の人は、どうして殺されることを分かっていて、あの生き物をこんなに目立つ草原に放ったのでしょう。。。

ただ、ぷよぷよと跳ねていただけにしか見えなかったのに、殺されてしまった光景を見ていたアイシャは、茫然とその様子をみていただけでした。


少年は、全ての生き物を殺してコインを取った後、グルグルと歩き続けてやがてアイシャの近くまで来ましたが・・・

立ち止まってアイシャに何かを言う事も無く、アイシャにぶつかってみたり、剣を振ってきたりしました。

「お嬢様ー!!」クララの悲鳴が聞こえましたが・・・

が、剣はアイシャを素通りしてアイシャには何も起こらなかったのです。

同様に、クララ達にも剣で切りつけようとしましたが、何も起こらなかったのです。

私は胸をなでおろしました。

やがて、少年は諦めたのか元来た道を戻って行きました。


気が付くと、いつの間にか音楽も聞こえなくなっていました。


私達は、「今の見た?女神さまが生み出されたモノを躊躇いもなく殺されましたわ」    「兵士が練習にでも来ていたのでしょうか」    「問答無用で、無抵抗なモノを殺すとは、人間らしいじゃないか」    「俺は腹が立ったよ、なんなんだあいつ」と言いました。


暫くするとまた女の人が現れて、また泣きながら、スライムと呼ばれたあの風船のような生き物をあっちこっちと置いていました。

そして、また音楽が流れ始めると、少年がやってきて、スライムを殺しては去っていくのです。


そんな事が20回ほど繰り返されたころ、私はとうとう我慢が出来なくなり、女の人が現れた時に声を掛けました。

「あの・・・なんで、殺されるって分かっているのに、こんなに目立つ草原に、その子たちを放つのですか?」

女の人は首を横に振りながら答えました。

「それが、私の役割だからです。」


いつも読んでくださってありがとうございます。

『☆☆☆☆☆』の評価やブクマいただけると幸いです。

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