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10 柱の中

 お嬢様に自分がクモの姿になっている事を言ってしまったクララでしたが、言ったからといって、特に何か変化があったわけではなく、なにも起こりませんでした。

 「お嬢様ごめんなさい、 どうしたら元の姿に戻れるのでしょうか・・・」

クララはアイシャに答えましたが、我ながら答えにくい質問をしたものだと思いました。


アイシャは、柱の中からクララの声が聞こえてきた事に一応安堵しました。もう会えないかと思ったからです。

柱の中には、存在しているようなので、様子を知りたいと思いました。


屋根裏部屋に置いてある双眼鏡を使ってこちらを覗こうと必死の形相で、頑張っているアイシャ様と、ミック君。


さっきまで、一面緑色の光の中にいたのですが、今は

薄いガラス越しに外にいるアイシャ様とミック君が、身体並みの大きさの双眼鏡の向きを変えてこちらを覗いているのが見えます。


あの緑色の場所に触れない様に考えていますね。

ケビン様と私は触ってしまったけれど、今は二人きりで幸せです。

そんな事を思いましたが、いつの間にかいなくなっているケヴィンはどこに行ったのかなと思いました。


暫くしても、ケヴィンが来ないので、まさかここに自分一人だけ取り残されたのではないかなと、不安になって来ました。

ミック君が、マッチ箱を持って来ました。

中からマッチを取り出して、緑色の場所を叩いてみましたが、特になにも起きませんでした。

アイシャは、マッチの軸に火がつかなくて良かったとは思いました。

もしも、燃え出したら一大事だなと思ったのです。

「あの、もしも燃えてしまうと大変ですから、マッチで叩くのは止めませんか?」

ミック君はマッチが燃えるものだとは知らなかったようで、

「なぜ? 何が燃えるんだい?」

と言いました。

アイシャは「ミック君が持ってるその棒はマッチと言って、先端の薬を擦りつけると火が付く物なのだから、叩いた拍子に火がついてしまうと、私達には消せないくらい大きい火になってしまうと困るわ」と言いました。

「そうか、丁度いい棒だと思ったものだから、使ってしまったよ」ミック君はマッチ箱を元に戻しました。


何をしたら、ケヴィンとクララが戻って来るのか、なんせ見た事も無い物だから考えても仕方ないのだけれども、戻す方法を何とか探りたいと思っていました。


その時ケヴィンさんが現れました。

「「えっ、ケヴィンさん」」アイシャとミック君は驚いて声をあげました。

「あれ、歩いているうちにドアがあったから開いて出てきたらここだったんだ。」

廊下に続く筈のドアの向こうは、緑色の光で輝いていました。


「あの、クララはまだクモの姿なのでしょうか」

分からない。

3人でドアの中に入りました。

緑色の光の霧の中を進む感じで周りは全て緑色の光で床も壁も天井も何も見えません、前を進むケヴィンさんの後を唯々ついて行きました。


何分か歩くと、目の前が開けて、一匹のクモが現れました。

クモなのですが、クララだと分かりました。

「ああ、お嬢様、あら、ケヴィンさまは人の格好をしていらっしゃるのですか、私だけが蜘蛛の姿」クララは、そういう言うと黙ってしまいました。


「クララ、一緒にここを出ましょう」アイシャに言われて

4人は今来た道を歩き始めました。

「元に戻らなかったらどうしよう」クララが言いながら歩いていましたが、緑色の光の霧が濃くなって前の人が見えにくくなったなと思ったら、次に姿が見えた時にはクララは人の姿に戻っていました。


「あっ、手だわ、足も顔も」クララは自分の身体を触って確認しています。

「良かったわね、クララさあ戻りましょう」


しかし、行きの時間よりも戻りの時間がかなり掛かっている気がしてきました。

「ケヴィン、なんか時間掛かっていませんか?」

「はい、ただまっすぐに歩いているだけなので、方向がわずかにずれてしまっているのかも知れません」

「一旦止まりましょうか」

アイシャがそう言うと、一度立ち止まって、周りを見回しましたが、霧が濃くなったり薄くなったりしただけで、何もわかりませんでした。


グルルルルルルルルルル


どこか少し遠くから、何か声が聞こえてきました。

「あれは・・・」

「犬か?」

「とにかくはぐれない様に」

「全力で走ろう」

4人は、今進んでいた方向に走り始めました。

いつも読んでくださってありがとうございます。

『☆☆☆☆☆』の評価やブクマいただけると幸いです。

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