9 不思議な光の中へ
「こいつが、俺には何なのかさっぱりだわ」ケヴィンさんが言いながら、光る部分を叩いているけれど、コツコツと言う音や、その反応は光っていない石と同じような感じに見える。
「なんだか、落ち着くなぁこれ」
ケヴィンさんが言うと、クララが「私も触ってみます」と言いながら手のひらで光る部分をなでています。
暫く撫でて、そのまま頬を付けて「ああ、幸せだわ」と言いました。
ケヴィンさんもクララも幸せそうな表情になっているのをみて、私も触ってみようかなと思いましたが、その時なんとも言えない違和感も感じたので少しだけ、様子をみていました。
えっ、クララもケヴィンさんも少しずつ柱の中に入り込んでいっている。
私は驚いてクララの手を引っ張りましたが、結構強く引っ張っているのにクララはびくともしません。
その様子をみたミック君が一緒に引っ張ってくれていますけど・・・
やっぱり変化していません、というかクララはまだ少しで済んでいますが、ケヴィンさんが半分位入り込んでしまっています。
「きゃあケヴィンさん」私が声を出すとミック君がケヴィンさんに飛びついて懸命に引っ張りますが、服が伸びるだけでケヴィンさんはますます中に入ってしまいました。
ケヴィンさんは、幸せな気持ちになって、いつの間にか木洩れ日のような明るい緑の光の空間にいる事に気が付きました。
隣りを見ると、クララも半分位緑の空間に入って来ています。
クララはケヴィンさんと二人きりな事に気が付いて、ますます嬉しくなりました。
この光を浴びていると、幸せしか浮かんでこないのです。
なんて、素晴らしい場所に来たのでしょう。
柱の外にいた二人には消えてしまった辺りを呆然と見ているしかありませんでした。
いつのまにか、クララは蜘蛛の姿になっていました。
そしてケヴィンさんの方にゆっくりと近づいて行きました。
ケヴィンさんもいつのまにか蜘蛛の姿に変わっていてクララとしっかり見つめあっていました。
ケヴィンさんが手を差し出すとクララもそれに応えて手を差し出しました二人は仲良く手をつないでくるくると踊り始めました。
クララ!突然大きな声で呼びかけられたことでクララは我に返りました
「お嬢様、申し訳ありません私は今クモの姿をしております
このままお嬢様の前に姿をお見せするわけにはいきません」
そう言ってしまいましたが、どうやったら元の姿になれるのか、検討もつきません。
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