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プロローグ

いつも読んでくださってありがとうございます。

このお話は、”大好きな作品にファンレターを書いたのに感想を受け付けていませんって出てきちゃうどうしたら良いんだろうって思っていたらとんでもない事になっちゃった。”

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/2032382/

に登場する王妃侍女アイシャのお話です。本編の舞台裏をお楽しみください。

 隣国シュペイの王宮の謁見の間、その威厳ある佇まいの部屋に一人の女性が入って来た。

その女性は、外套を脱ぐと美しい所作で王の前に膝まづいた。

「国王様お初にお目にかかります、ランス国のヤマダと言う商会を代表してやって参りました、貴国へ多大なる貢献となるお話をお持ちいたしました。」

我がランスと共に長い歴史を持つシュペイ、他の国より一回り大きな軍隊を持つこの国は、その強大な軍事力を背景に他国への横暴が度々見られる国でもありました。しかし、近年聖女様のお力により、衛生管理が行き届き見た事も無い家電製品を次々と生み出している大企業ヤマダを持つランスも世界屈指の大国への仲間入りを果たしていた。


 女性は片膝をつき頭を下げた姿勢を取っている。 シュペイの王は頬杖を突きながら、側近達は満足そうな笑みを浮かべて女性を眺めている。

「で、そなたは我が王国へ何を売りつけようと言うのだ、我が王国は十分に豊かな国なのだよ、いくら友好国と言えどもランスの新興の会社の製品を売り込みにわざわざ王宮へやって来るとは、なかなか図太い神経をしているではないか、しかも女と来たものだ、面を上げろ」

シュペイの王は、酷く高慢な態度で女性に顔を上げるように命令する。

「うむ、なかなかの美人だな、ワシの妾にしてやっても良いぞ」

王様は、いやらしい笑みを浮かべながらアイシャの全身を眺めている。女性はもう少しだけ我慢する事にしているが、そろそろ我慢の限界に達しそうであった。

「あいにく、私は今回貴国の衛生状態を改善し、蔓延している病を根絶するために特使として来ております、ただのセールスではありませんので、なにとぞご承知おきの程」


「我が国は、十分に衛生的に生活しておる、ランスよりも軍事費をかけておるのだぞ、ワシが軍に命ずれば、ランスなぞ瞬時に陥落させることもできるのだ、あまり見くびらない方が良いぞ」

王様は、女性の側にやって来ると、顎に手を掛けた。


 女性は王の手を払いのけると「先ほどから無礼が過ぎますな、ルーク殿」先程までとは違う一段低い声で言った。

見ず知らずの女性に名前を呼ばれたシュペイ王は、自分の言う事を聞かないこの目の前にいる女性に腹を立てていた。


「この無礼者、衛兵、この無礼な女を引っ立てろ」王が声を上げると、衛兵が腕を掴もうとしたが、その瞬間衛兵の身体が宙を舞い、ダンと言う音と共に床に叩きつけられた。

「無礼者とは、随分な物言いだな、ルーク殿、私はランスの会社からやって来ましたが、先ほど出迎えた者には、こう伝えた筈ですがね、”ファイースト特命全権大使、アイシャ=ヴァヴィンチョ”だと」


 アイシャが、衛兵を放り投げると、シュペイの王に顔を寄せて言った

「シュペイが、どれほどの軍を持っていようとも、ファイーストの力にかかれば、一瞬にして全土が火の海になるのだ、ファイーストから見れば、貴国は兵力など蟻の集団と変わりない、GDPはファイーストの40分の1だ、ついでに貴国の国家予算は、わがヤマダ社の流動資産額の7割にも満たない、あまり私を侮るでないぞ」


 シュペイの王は、アイシャに掴みかかろうとするが、なぜか避けられてしまう

「無駄だ、私の前ではそなたの動きは赤子よりも遅い、ところでそなたは、私の顔を忘れたのか?」

アイシャから思わぬ問いかけをされたシュペイの王は首をひねる。こんな美人の知り合いがいたか?我が妃は可愛さだけで、嫁いで来てからは、贅の限りを尽くしてばかりだったし、

「思い出せぬか、我が旧姓をバールトンと言う、バールトン侯爵家3女のアイシャだ」

シュペイの王は、驚きのあまり、へたり込んでしまった。

「元婚約者の名前すら忘れたのか、カタリーナ嬢と仲睦まじく10年過ごしたようだな」


 10数年前シュペイの王子ルークは、シュペイと同程度の軍事力を持つウストリッヒの皇女カタリーナの容姿に惹かれ、その時決まっていたアイシャとの婚約を破棄し、そして大々的に婚約破棄を広めると共に、カタリーナと結婚したのでした。


 しかしカタリーナは淑女教育も、中途半端な状態で嫁いで来てしまった。天真爛漫に育てられていたカトリーナは、シュペイへやって来てからも執務は他人に丸投げ、王宮主催のパーティーさえも途中で抜け出す、次々と問題を出し続けている為この数年は、これ以上問題を起こされてはかなわないと、離宮へ隔離している状態だった。


 なぜ、あの時にアイシャに決めておかなかったのだ、そうすれば頭脳明晰、文武両道、そして容姿端麗のこの女性が我が妃になっていたというのに・・・

「では、今後ファイーストとの交易は中止、ランスとの交易も中止させてもらう」

それだけ言うと、アイシャは部屋を出て行ったのだった。


 シュペイの王は、大きすぎる代償に何の反応も示す事が出来なかったのだった。

「王様お気を確かに」

側近たちが、王に声をかけるのだが、王様はただ遠くを見つめるだけだった。

次回は10日午前6時ごろ投稿の予定です。

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