辺境伯邸にて その4 アッシュの可能性
「え?マルファスさん、なぁに?」
「ま、まさか!アッシュが・・・」
「アッシュはルーペ型輝度☆1って・
・・」
「順を追って話そう。まず、私達、魂識士にはいくつかの業があるのだよ」
「カルマって?」
「守らないといけない約束みたいなものかな」
「そうだ。魂識士として働く際に、各国国王と結んだルールだ。それを守る代わりに、あらゆる特権が認められている。その中の一つに、【魂の鑑定儀式で嘘を付かない】というのがある」
「じゃあ、アッシュは間違いなくルーペってやつなんでしょ」
「・・・私がアッシュ君の魂に見たもの、それは『何も見えなかった』のだよ。その上で嘘にならないようにしたのだ」
見えない?何それ、え?
嘘ついてるじゃん
「見えないのは無色透明、無型だけなのだよ。そして、透明だから輝度☆も見えないんだが、自分より下か、そうじゃないかは見えないなりにも【ボヤッと感】が違うからわかる」
【ボヤッと感】って何?よくわからないよ
「私の見立てでは、アッシュ君の魂は、私の輝度☆4より同等か、それ以上。つまり、アッシュ君は、最低でも魂識士、よければ魂指揮士となる」
「そんな、アッシュが・・・!?なんてこと・・・」
「サラサさん、びっくりしただろうが、落ち込む話ではない。ただ、激レアなのは間違いないし、数奇な運命と熾烈な冒険をすることになるな」
「せっかく戦闘タイプ型じゃないから安全だと思ったのに、お姉ちゃん心配だよ」
「まぁまぁ、サラサもカレンも少し落ち着けって。じゃあ、なんでルーペ型なんて言ったんです?」
「来たる危機に向けて、魂指揮士が必ず必要になる」
「来たる危機!?何が起こるんです?」
「それはまだ語るときではない。語ったとして、色々漏れたとしてはまずいしな」
珍しく辺境伯さんが話したと思いきや、
怖い顔をしていた。
これ以上、深く聞くな。と言われているようだ。
あまりこの話は知ってはいけないらしい。
「・・・ルーペ型と言ったのは、アッシュ君の魂鑑定の結果を隠蔽するためだ。魂鑑定の結果は必ず全員分国王の所に行くようになっている。が、しかし、万が一にでも魂指揮士だとしたら、その存在を国王に知られるわけにはいかないのだ。普通のアイテム鑑定なら魂識士なら余裕で出来るから、そういうものにした。これなら国王に嘘がバレるはずがないからな」
だから業を犯してまで色々と。
と言っているようだった。
「そして、もし魂指揮士であれば、その運命を共にする仲間が必要なのだ」
「まさか、私達が呼ばれたのって・・・」
「そうだ。アッシュ君に近い年齢かつ、親しい間柄の輝度☆が3以上、様々な型になるように呼んている。」
カレン姉ちゃんは紫スペード☆3
バレッタは青ロッド☆3
リオンは白ハート☆4(から☆1になった)
ギルメスは黄フット☆2だ。
ん?あれ?
「いや、俺、輝度☆2だし」
「ギルメス君は別だ。アッシュ君の親友なんだろう。それに、魂指揮士にフット型は必ず必要になる。アッシュ君を信じ、助けてやってほしい。詳しくはこのあと、各人に生き方を提案する。その時にな」
「アッシュを助けるって言ったってなぁ・・・」
ギルメスは考えだしてしまう。
その間にリオンが喋りだす。
「あのさぁ、あんたはアッシュと仲良しじゃない、そこらへんは勝手に相談しなさいよ!私はそもそもアッシュと仲良くなんかないわ。さっきまで見下していたやつよ?」
「リオン嬢、そんなものは魂指揮士に取っては大した問題ではないのだよ。それより、輝度☆4だったからだ。さらにはハート型。どうあっても確保すべき人材だからだ」
「なら納得できないわ。せっかく輝度☆4だったのに、なんで私の魂から輝度☆奪ったのよ!早く返してなさいよ」
「その前に、これからの話をしようか。輝度☆を下げておくことが、今、リオン孃にも悪い話ではないはずだ」
「・・・」
流石のリオンも黙ってしまう。
「さて、大体話の概要は掴めたか?」
「何となくはわかりましたが。とはいえ、急にそんな話をされましても、あまり、実感がないというか・・・」
「本当か信用出来ないってことだな?」
「あ、いや、その、滅相もございません」
「そういうことになるだろうから、無礼講だと言ったはずだ。私が辺境伯であろうが、気を使いすぎることはない、マルファス、何か彼らを納得させる手立てはあるか?」
「ジャッジ殿、バトス殿がいうことももっともだな。魂識士の私達ふむ、ならば、顔合わせも含め、私の旅の仲間を紹介しましょう」
そういうと、黒いマントで顔以外を全て覆った男女4人が入ってきた。
「彼らには予め私が魂鑑定をした紙を持ってもらっている。格好を見ると予想できてしまうかもしれないので、隠して入るが、アッシュ君、彼らの魂を鑑定してみてくれ。皆も言い当ててみるといい」
「えっと、やり方がわからないです」
「私が見える状態にまでする。眺めているだけでいい、ま、模擬鑑定だな。気楽にやるといい」
そ、そんなこと言われたって・・・