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UFOに会いたい!

 

 田舎とも都会とも言えない町黒腹町。そんな町から少し離れた山の麓にある中学、黒腹第3中学校。

 7月4日、黒腹中の2年B組の窓際──1人の男子生徒が力無く机に顔を横に置き、山を見つめていた。

 この常に気だるそうな目をしているのが金城である。

 その隣に座る一人の眼鏡でノートパソコンを弄っている少年は大知である。

 そんな大知が今にも死にそうな顔をする金城に語りかける。


「金城、お前オカルト系好きだったよな」

「……あぁ、そうだが」

「これ見てくれるか?」

「んあ?」


 大知がノートパソコンを二人に見せつけて来た。

 それはネットでは有名なオカルトサイトで、そこには"超ど田舎町!──黒腹町に現るアダムスキー型UFO!!"と書かれた記事であった。そこには学校の後ろの山"黒腹山"の上に円盤型のアダムスキーUFOが光を放って飛んでいる写真であった。画質はあまり良くなく、ボヤけている写真であり、UFOだとは分かるが本物かは判明は分からない。

 すると金城はその記事を見て、眼がイキイキとしてパソコンを空高く持ち上げて怒りを表した。


「おい!何が田舎町だ!!この記事書いた奴は誰だクソッ!ネットに晒し上げてやる!」

「またネットに晒し上げする気かよ。そこじゃなくて記事見て記事」

「あ?」


 目を凝らして記事を読んで行くと、UFOの情報が載っているが、その下にはUFO写真や動画を募集。来週の生放送で採用された場合、一万円プレゼントと書かれていた。

 だが、その記事を見てまた金城は怒りを表した。


「1万円だと!?安すぎだろ!!馬鹿な視聴者を騙して放送して、1万だけポイって投げ捨ててテレビ局の奴らはその何百、何千倍もの金額を手に入れるぅ!?せめて10万よこしやがれ!!」

「でも、やるだろ?」

「ったりめぇよ!金は人生、金は運命、金は宿命だ!!そうと決まれば、学校を抜け出すぞ。来い大知!」

「おうよ!」


 金城は目の色を変えて、そそくさとバックを担いで教室を出ようとすると金城の友達の一人である超絶イケメンの修吾がいた。



「おう、修吾か!いい金の話があるんだが、乗るか?」

「んな事する訳ないだろ。第一、俺は放課後に女の子達と勉強会があるんだよ」


 モテる男は辛いよと言わんばかりに普通に言う様に苛つきを覚える金城。


「これだからイケメンな奴と野球部は嫌いなんだよ!!」

「?どうしたんだ、そんなに怒って?」

「宇宙船だぜ!!ロマンの塊だろ!!それが最近、黒腹山に出現してんだぜ!!だからこそ、俺は人類の謎を解き明かし、人類の新たなる課題を生み出す!!そして金を貰う」


 そう言うと修吾は真剣な顔で金城の肩を叩き、言う。


「UFOなんて居るわけないだろ。大概が噂や見間違い、または集団催眠による幻覚。それかプラズマだ」

「へっ!信じないないなら、これ以上夢を壊すな!!信じないなら、口出し無用!!イケメンばか!」


 そう言って怒り心頭の態度で帰っていった。

 大知は訳の分からない状態の修吾に簡単に説明した。


「一体どうしたんだ?」

「あいつ、UFOの写真をテレビで扱われると1万貰えるって聞いて、撮りに行くみたいだから……」

「UFOなんているのよ……」

「いるって信じてるんだからいるんだろうね」

「大知も無理してついて行かなくてもいいだろ。どうせ時間の無駄だぜ」

「面白いから着いて行くんだよ。何かやらかすと信じてね」

「お好きにどうぞ」

「じゃあ、また明日な」

「おう」


 大知も教室から走り去ると、修吾は椅子に座った。椅子に座った途端、女の子達が修吾を囲み、色んな質問攻めを食らった。

 そんなこんなで時間が経つと担任の若い教師飯田先生が到着すると、みんな席に着いた。

 そして金城らの席だけがない事を気づき、紙に少し何かを書いた。


「……よし授業を始めるか」


 何も表情を変えず、笑顔で飯田先生は授業を始めた。

 だが、紙には怒りを表したかのような死の文字が何十個も書かれていた。



 *


 二人は学校を休み、UFO撮影の為に、色々と物資を揃えた。ヘッドライト、懐中電灯、インスタントカメラ、大知の父のビデオカメラ、烏龍茶。

 その夜、二人は全ての物資を持ち黒腹山へと向かった。頭にはヘッドライトを装着して、準備万端な状態で山に登った。


「金稼ぎ!!分け前は俺とお前で半々だからな」

「チョイさ!」

「行くぞ!」


 二人は意気揚々に登り、山頂へと登った。

 その道中、柵のある見晴らしの良い崖で高級そうな天体望遠鏡で空を眺めている女の子がいた。

 彼女も金城と同じ狙いなのか熱心にUFOを捜索していた。


「何だ?もう先客もいるのか?」

「あのサイト結構有名だから、先客も多いかもな。そう言えば、宇宙交信部の奴らも夜来るとか言っていたな」

「ちっ、先に撮られたらお終いだ。俺らは特等席の山頂まで行くぞ」

「おう!」


 まだ敵が現れると思い、二人は急ぎ足で山頂へと走っていく。


「到着〜」


 白詰草野原公園に着いた二人。そこは広々として山の上にある公園で、子供達が遊べるように様々な遊具や、花園などがある場所である。

 金城は到着するなり、周りを確認して先客がいない事を確認するとすぐに双眼鏡で空をひたすらに眺めて始めた。


「さぁ、来やがれ……俺はいつまでも待つぜ」

「本当に来るのかな」

「来るって絶対に……」


 それから一時間後──


「来る気配ないな」

「来るって絶対に」

「今日ピンポイントで来る訳ないだろ」

「……う、たしかに」


 金城も諦めて双眼鏡を外そうとした時、高速で動く白く光る物体を見つけた。その光は徐々に大きくなり、デカくなっているよりも、こちらに向かって来ているようであった。

 すると、その発光体は突如消えた。


「き、消えた?」

「金城、上見ろ!!」

「うわっ!!」


 上を見上げると、先程見た発光体そのものであった。

 よくみるとそれは円盤形の飛来物。まさに金城が求めていたアダムスキー型UFOであった。


「アダムスキー型UFOだぁぁぁ!」

「ほ、本当にいるんだ……」


 嬉しさと驚きで胸の鼓動が高まる金城と、びっくりしすぎて腰を抜かした大知。

 そんな二人の前に現れたUFOは突然裏側から光を放ち始めた。それは誘っているのか、キャトルミューティレーションをしようとしているのか分からず、金城も足が動かなかった。だが、金城の頭の中では激しい葛藤が繰り広げられていた。


(行かなきゃ……ダメだ。人類の発展、人類初の接触、人類初の目撃……行かなきゃ……なりよりも金が!)


 金城はUFOを見て圧巻されていた。だが、金のことが頭に過り、動けない身体を軽やかに動かして大知のビデオカメラを奪い取り、地面に放たれている光のへと走り出して光の中へと飛び込んだ。


「ひゃっほぉぉぉ!!」

「金城!?」


 光の中に飛び込むと、UFOが突如回転を始め、強風を靡かせながら金城を吸い込み始めた。


「どこ行く気だ金城!!」

「未知なる宇宙との接触だぁぁぁ!!キャトルミューティレーションだ!!じゃなくて、アブダクションだ!!ひゃっほぉぉぉ!!」


 そのまま光に飲み込まれるまま円盤の下中央の穴が開き、金城はその中へと吸い込まれて行った。

 こんな光景初めて見るので、大知は呆気にとられながら金城が吸い込まれるを見ていた。


「うわぁ〜すげえ……」


 金城は吸い込まれてUFOは光の閉じるとゆっくりと動き始めて、何処かへと高速で飛び去って行った。

 その時、やっと我に戻った大知は大事なものが無くなったことに気づいて飛び去ったUFOに叫んだ。


「待て、待ってくれ!!そこには俺の大事な、大事な父さんのビデオカメラがぁぁぁ!!」



 *


 UFOの乗せられた金城──


「いててて……」


 金城が目を開けるとそこはコックピットでまさにSF映画のような操作パネルやレバーが大量にあり、丸い机の上にはホログラムで地球が映し出されていた。


「へぇ、これが宇宙船か。で、なんで地球があるんだ?」


 呑気にホログラムで映し出された地球を見て、アメリカを何度か突っついた。すると突然背後から謎の気配を感じた。

 咄嗟に振り向くと典型的なヌルヌルとした宇宙人リトルグレイ一人が挨拶するように手を挙げていた。


「宇宙人か」

「0;0:f4a4d@y」

「あん?何だって?」

「0;0:f4a4d@y」

「日本語喋れ!日本語!」


 日本語が分からないのに日本語で訴える金城は、本来の目的を思い出した。


「そうだ、ビデオカメラで撮影だ」


 ビデオカメラを回して宇宙人と宇宙船内を撮影を始めた。謎のホログラムで映された地球、宇宙人数名が映った写真、


「よし、記念すべき未知なる遭遇を祝して写真を撮ろう!!」

「d7dy?」

「何言ってるか分からんが写真だよ写真」


 そう言って写真を適当な台へと置き、タイマーをセットした。セットして宇宙人と肩を無理矢理組み、ピースをしながら悪そうな笑みを浮かべた。宇宙人もよく分からず片手を上げてくれた。


「はいチーズ!」


 カメラがフラッシュすると共に人類初の宇宙人との記念の写真が撮れた。


「あ、フラッシュ切るの忘れてた。ん?」


 喜ぶ間もなく金城がとある異変に気づいた。宇宙人の身体がプルプルと震え始め、突然悲鳴を上げた。


「g@7333333!!」


 カメラのフラッシュに宇宙人が驚き、突然おもちゃのようなレーザー銃を取り出し、いきなり宇宙船内を無鉄砲に撃ち始めた。


「うわっ!?いきなり何だ!?人類への攻撃だ!!」

「eqe!!」


 金城はレーザー光線を巧みに避けるも、宇宙人は一向に撃つ気配はない。宇宙船内は色々と破壊されていき、コンロールパネルの一部が破壊された。それと共に平衡感覚を失い激しく揺れ始めた。

 金城はどうしようか考えてバックを調べるとあるものを発見した。


「この宇宙人め!人類の攻撃を喰らえ!!」


 金城はバックの中の物を投げ飛ばした。それは烏龍茶のペットボトルであり、宇宙人の頭にヒットした。


「h@0z!!」

「人類の未来は俺が守るぞ!!地球は壊させない!!」


 そんな調子づく金城だが、ペットボトルが当たった宇宙人はよろめき、赤いボタンを押してしまった。


「な、何だ!?うわぁぁぁぁぁぁ!!」


 宇宙人がボタンを押すと金城は宇宙船から姿を消して、光線と共に街へと弾き飛ばされた。

 そして宇宙船もまた操縦が効かなくなり、そのまま森の中に落ちていった。


 *


 修吾の家──修吾は机に座って宿題をしていた。ふと窓を眺めると、謎の光線が猛スピードでこちらに向かって来ていたのだ。


「な、何だ!?」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


 その光線の中には何処か見覚えのある金城の姿があった。


「き、金城!?何だぁぁぁ!?」


 金城と光線は修吾の窓を突き破って、光線は消えた。部屋はボロボロになり、机は真っ二つに割れ、押し入れの戸も破壊されて、その中に目を回している金城の姿があった。


「な、何やってんだ……金城」

「信じねぇお前に言う資格なんてない……さ」

「え?」


 部屋の隅には大知のビデオカメラは瓦礫に潰されて壊れてしまったのだ。


 *


 翌日──学校。

 教室で修吾は一人、例のオカルトサイトの記事を見ていた。


「昨日黒腹山を飛行していたとされるUFOが墜落した可能性がある。現在朝6時時点で黒腹山を黒い服を着た外国人達と、防護服を着た男達が山の中を調査している噂が。ネットではそれを頷ける山中での配信もしていた学生もいたが途中で配信停止になった……か。どうりで山が騒がしい訳だ」


 窓から山を見ると、大量の軍用トラックやヘリ、そして武装した軍隊までも山の中に侵入しているのが見えた。

 その横で金城は教室で元気なく顔をうつ伏せていた。

 修吾はやさしく金城の肩を叩き慰めていた。


「スマホが壊れてUFOの確実なる証拠がないって理由で元気ないけど、俺は信じるからよ。親友がビームで家に突撃してくるってそうはないからな」

「んだけどよぉ。あんな体験して、証拠の一つもないんじゃあ、意味なんてないんだよタコ助」

「現に山を見れば分かるが、UFO騒動は本当だったんだから」

「でも、騒動が本当でもみんなが見たいのはモノホンの宇宙人なんだよ……地球突っついて、宇宙人と写真撮ったんだよぉ」

「どっちも信じるからよ。落ち込むなって」


 顔をうつ伏せたまま言い、黙り込む金城。

 すると、気弱そうなもやしっ子なクラスメイト蓮が声高らかにスマホを掲げてながら教室に入って来た。


「みんなみんな!僕、昨日のUFOの写真が撮れたんだよ!!」


 蓮がスマホからあのオカルトサイトをみんなに見せつけていた。金城は重い腰を起こして、その写真を見た。

 その写真を見て、金城は思わず口に手を当てた。


「そ、それって……」

「凄いんだよこれ!宇宙人が光に吸い込まれている所なんだよ!」


 その光に吸い込まれている写真に写っているのは宇宙人ではなく金城である。だが、ボヤけている為か宇宙人に見えなくもない。

 そんな金城……じゃなくて宇宙人が映った写真にみんな興味津々で


「どこで撮れんだお前……」

「昨日たまたま犬の散歩ついでに白詰草野原公園の近くを歩いていたら、たまたまUFOがいて撮れたんだ!!今度、有名なオカルトサイトに応募しよっと!!」

「ふざけんなよ……マジで」


 金城は気分も下がり、椅子に座り再び顔を伏せた。

 みんなが騒いでいると、顔がボコボコに殴られた大知が入って来た。片方の眼鏡が割れており、もう片方はレンズそのものが外れ落ちていた。


「金城、父さんのビデオカメラ……弁償してくれよ」

「来年のお年玉にな……」

「……うん」


 落ち込む二人を横目に修吾は朝のニュースを見ていた。


『昨夜アメリカ、カルフォルニア州にて謎の巨大物体が上空に現れ、巨大物体は何度か地面に接触し、その後消滅しました。その物体はまるで指のようでした。接触した街には巨大なクレーターを出来ており、街は壊滅的な被害に遭われています。現在、救助活動と共に原因を捜査しております。専門家によりますと、これは新たなる人類の謎であり、人類の新たなる課題とおっしゃっています。それでは次のニュースです──』

「oh my gad」


作者の一言

僕はUFOの存在を信じていますから、一度は会いたいものですね

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