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あかね色の黄昏  作者: はおらーん
3/5

第3話 彼女の遊び



「山下さんお疲れ様でした」

「いえ、ありがとうございました。明日も同じ時間でいいんですよね?」


軽く打ち合わせをして、バイト1日目は何事もなく終わった。最初は淡々とお互い作業するだけだったが、段々と打ち解けていくうちにいろんな話をした。就活中でお金に困っていることや、あかねの年の離れた弟のことなど、身近な話もたくさんした。優希の「今ならお金のためならなんでもやりたいですね~」という言葉に、ん?なんでも?と反応してしまうあかねだった。


(あ~カワイイ子だったな!あんな子がバブちゃんになってくれたらな…)


あかねは絶対開けないように指示していたクローゼットを開けた。使いかけの紙おむつのパッケージから一枚取り出し、小物入れに入れてあるおしゃぶりも取り出してベッドに横になった。本命はかわいい男の子を赤ちゃんにすることだが、たまに気分が高ぶると自分で赤ちゃんになることもある。おしゃぶりを咥え、テープタイプの紙おむつを広げて服を脱いだ。


(あかねちゃん、おむつしましょうね~)


心の中で自分に向かって言う。実際にはおしゃぶりのせいできちんと発音できない。大人用の大きな紙おむつを広げてお尻を下ろした。自分があかちゃんになりきることで、実際には実現可能性の低いバブちゃん作りの身代わりにするのだ。あかねは声にならない声で自分自身に甘えながら眠りについた。



翌朝、かけたはずのアラームは鳴らなかった。いや鳴っていたのに気づかなかった。実はあかねはかすかな尿意を感じて、早朝に一度目を覚ましていた。


(おむつしてるし、まあいいか…)


かわいらしい部屋着の短パンからは、水の流れる音が響いた。おもらし自体が好きなわけではないが、なんとなく自分の意志で排尿できない幼児性みたいなものは大好きだった。どうやらその対象がかわいい男の子でも、自分でもどっちでもいけるらしい。おむつのなかに事を済ましたあかねは、そのままもう一度眠りについたのだった。



「ハッ!」


壁にかけた時計に目をやると、9時30分を指していた。今日は午前中の方が都合がいいということで、バイトの山下くんとは10時に来てもらう約束をしていた。


「うそ!もう9時半!?」


あかねは飛びおきる勢いで身支度を始めた。昨日はおしゃぶりとおむつをしたまま寝てしまった。まずはぐしょぐしょになった紙おむつのテープを外し、サニタリー用の黒いビニール袋に入れてきつく縛った。床に散らばったティッシュやごみを片付け、台所でごみをまとめはじめた。この間おしゃぶりは咥えたままだった。傍から見ればちょっとかわいく見えるかもしれない。急いでシャワーを浴びようと脱衣所に行ったときに鏡を見ておしゃぶりをしていることに気づいた。あかねはそんな自分に赤面し、おしゃぶりを鏡の前に置いてシャワーを浴びた。


ピンポーン



シャワーを浴びて身支度も済んだ頃、インターホンが鳴った。なんとか間に合ったらしい。


「おはようございます!」

「おはよー」


山下君は今日も元気にやってきた。部屋に入った瞬間、一瞬だったが山下君の顔が歪んだのにあかねは気づかなかった。


(なんか昨日と匂いが違う…鼻を刺すつんとした匂いがする…)


人の家のにおいに文句を言うこともできないで、何も言わないでおいた。あかねも、いつもならおむつ遊びをした後は換気をしてアロマを焚いたりするのだが、今日はそんなことをする時間がなかったのだ。おしっこをした体はシャワーで流したので、部屋のアンモニア臭までには気が回らなかった。


そして今日も淡々と作業が始まる。狭い部屋で2人っきりとなると自然と距離も近くなる。お互いの学校や仕事についても雑談しながらの作業となった。


(ちょっとおしっこしたくなってきたな…)


優希はわずかに尿意を感じたが、女性の家と言うこともありそのまま我慢しようとした。そのまま1時間が経過したころ、再び勇気を尿意が襲った。今度は激しい尿意のため、気を緩めると手が股間の方に向かってしまう。ここまでくるとあかねも異変に気付いた。


「優希くん、なんか体調悪そうだけど大丈夫?」


2日目にして下の名前で呼ばれるようになっていた。しかし優希はそれでころではない。


「すいません、お手洗い借りてもいいですか?」

「あ、気づかなくてすいません。脱衣所の向こうにあるので自由に使ってください!」


恥を忍んで言ったつもりだったが、あっけなくトイレに案内された。トイレで用を足してすっきりした優希は洗面台で手を洗っていた。そこで、女性の一人暮らしには似つかわないものを発見した。


(ん?なにこれ…、赤ちゃんが使うおしゃぶり??)


子供…はいないよな、一人暮らしだし、と変な考えが頭をよぎる。子供産んだけど離婚して親権とられた?どんどん変な想像がふくらむ。優希には、高木あかねという人物がよく考えたらわからなくなってきた。


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