その8:メインプロセスの正しい過ごし方
今回は、「メインプロセスの正しい過ごし方」と題して、GMがルールミスのないよう、メインプロセスをどう仕切っていくかを解説する。
というのも、メタガはとにかく、割り込み特技が多い。PLの〈アドヴァイス〉宣言前にGMが防御判定を振ってしまい、ややこしい事態になる経験は、おそらくメタガユーザは全員経験しているだろう。
こういうトラブルを防ぐため、こまめに割り込みの有る無しを確認する必要があるのだ。
なに? 「自分は巻き戻しての宣言を認めてるから、いちいち確認しない?」
なるほど結構。ただ『お互い、巻き戻しあり』のルールだと、最悪、以下のような惨事になることを覚悟したほうがいい。
GM「防御判定、成功!」
PL1「ごめん、命中判定に〈アドヴァイス〉使い忘れた。今からいい?」
GM「なに? なら命中判定に〈バッドアゲイン〉だ」
PL2「え、まじ? ごめん、飛ばされたイニシアチブで〈癒やしの音色〉が欲しいぞ。でないと〈連環撃〉しながら〈アタックブースター〉できないわ」
PL3「あ、変形しないと〈ミサイルカーニバル〉できないことに気づいた。〈ヴァリアブルファイター〉するねー」
PL2「いやいや、〈癒やしの音色〉がないと困るんだよ!」
もう、なにがなんだか分からないぞ。
『GM側だけ巻き戻し禁止』として、ややこしさを減らす選択肢はあるが、今度はGMに半端なく集中力がいる。上の例だと、一方的にGMが損するし。
一番楽なのは、エネミーに割り込み特技を持たせないことだろう。上の例でも、GMの<バッドアゲイン>がないだけで、一気にややこしさがマシになる。
【メインプロセスの厳密な流れ】
では、本題。加護ありボスがメインプロセスを送る場合を例にとって説明する。
1. では、イニシアチブ。ボスは〈瞬発行動〉でメインプロセスを得る。PCからイニシアチブに何か使うかい?
2. もうないね? では、ボスのメインプロセスいきます。
3. まずムーブで<フルムーブ>。5歩左に動いてC4へ。
4. マイナー、〈攻撃拡大2〉で攻撃範囲を広げる。
5. メジャー、〈BSストライク・侵食5〉。怪光線で射撃攻撃。起点B3の範囲3、PC3以外が全員対象。
6. 命中判定。(ダイス振る)このままだと25、なにか特技はある?
7. OK、特技もらって達成値23。《バルドル》は使わない。回避で防御判定どうぞ。
8. 全員終わった? 今のままだと、PC4とPC5が防御成功か。なら、PC4に《エーギル》。打ち消す?
9. OK、打ち消されたので、PC4とPC5は防御成功。PC1とPC2に命中、食らうとBS侵食になるよ。カバーアップはあるかい?
10. PC2がカバーアップ、了解。ダメージ直前、PC2に《トール》。打ち消す?
11. OK、打ち消された。では、ダメージロール。(ダイス振る)100点光ダメージ。被ダメージ計算どうぞ。
12. なに?倍受けても60点で、生きてる? なんてこった。では、PC2はBS侵食5。メインプロセス終わり、特技と武装の代償を忘れないでね。
ながぁい! でも、全部必要だから困る。挫けず、ひとつずつ説明する。
1. は、イニシアチブ特技の確認。因みに私は、『追加行動は、イニシアチブの処理が一通り終わった後で発生する』というハウスルールを使う。イニシアチブの処理が分かりやすくなるので、おすすめだ。
そして、2.でイニシアチブを閉じる。ここまでに、3.以降の動きを決めておくとスムーズだ。
3.、ごくまれに、ここで割り込む奴がいる。地形と移動ルートもチェックしつつ、移動先の宣言を確実に。
4.、焦るとマイナーは宣言を忘れやすい。PL側の忘れも、ちゃんとチェックしてあげよう。
5.、宣言項目がとても多い。どれかひとつでも忘れると後で混乱の種になるので、GMはしっかり宣言。PLの宣言も確認を密に。
・特技
・使用武装。それに伴う、白兵、射撃、遠隔の種別
・攻撃範囲と起点
・攻撃対象
6.と7.。例に記載のとおり、使わない加護を、明確に「使わない」と言ってあげると、PLも安心する。
8.、お互い割り込みが多いタイミングだ。個人的には、対象全員の判定が終わってからGMの特技・加護宣言をしたほうが分かりやすいと思う。ただし時間を食うので、良し悪しだ。
ちなみに、コラムその3に書いたとおり、敵の判定を固定値にすると、6-8が一気に早くなるぞ。
9.、このタイミングはカバーアップするPCにはとても大事だ。飛ばさないように。また、BSがあるときは再確認しよう。大抵、GMもPLも防御判定の過程で忘れている。
10.、《トール》は対象宣言を忘れずに。例の場合、対象がPC1かPC2かで、打ち消すかの判断がまるで違うはずだ。
11.、被ダメージの計算順は公式サイトのFAQに乗っている。複雑なので要チェック。
12.、BSの確認、3回目。BS解除特技を受けるか、効果発揮タイミングまで覚えてもらわないとまずい。また、ここまで忙しいPCは、代償の支払いを忘れがちだ。特に、弾数制特技の弾数、EN消費武装・アシストのENをよく忘れるので、一言声をかけよう。
【細かい時短ノウハウ】
さて。ここまで読んでくれた人の9割は思っただろう。「長すぎてやってられん」と。
うん、私もそう思う。巻き戻して混乱するよりマシとはいえ、メインプロセスにこれだけの手間をかけていると、戦闘に時間がかかって仕方ない。
じゃあ、どうするか。ここから、細かいノウハウを伝えていく。
◯エネミーの制限特技・加護は、決め打ちで即切りせよ
<バッドアゲイン><攻撃補助>のようなエネミー特技、また加護のようなリソースは、手元にある限りGM・PLともに「使うかどうか」「使われたらどうするか」を考える思考時間が発生する。GMの脳みその容量も使う。
だから、とにかくエネミーは事前にリソースの切り方を決め、なるはやでガンガンリソースを切っていこう。公式シナリオに「即座に<瞬発行動>し、《ネルガル》+《ヘイムダル》+《ヘル》しろ」と書いてあるのは、一種の時短テクニックなのだ。(他にも理由はあると思うが割愛)
うじうじキープしてリアルの人間が疲れるくらいなら、ボスに多少損をさせてでも楽をしてしまえ。どうせ今から死ぬのだ。死人に口なし。
また、エネミーの行動を事前に書き出して、コピペで済ませるのも時短として有効だぞ。手間だけど……。
◯PCのデータを事前に把握する
こちらも手間がかかるが、有効な方法だ。
例えば、<クイックリペア>以外にイニシアチブ特技を持っていないPCは、誰もダメージを受けていない状況でイニシアチブを使うことはない。唯一ある割り込み特技<ブロウビート>を使い切ったスイーパーは、もう割り込み有無の確認は不要だ。
全員のデータを抑えるのがきつくても、「割り込みが1-2個しかないやつ」をチェックして、そのPCの割り込み確認をスキップするだけで時短になる。
◯なるはやで、一人ブレイクに追い込む
GMだけでなんとかなる話ではないのだが、意識すると役に立つ。
ブレイクしたPCはBSの管理もコスト管理もいらない分、手間と時間の削減につながる。加えて、「あと一発食らうと死ぬPCがいる」という状況は、カバーの宣言や加護の打ち消し判断をグッと速くしてくれる。
《タケミカヅチ》《ニョルド》あたりは、一人ブレイクした状況に追い込みやすいので、積極的に活用し、まずは一人追い込もう。
◯NG例:エネミーをまとめて行動させる
メタガでのバッドな例もひとつ。他のゲームでは有効な場合も多いが、メタガではやめといたほうがいい。
やってみるとわかるが、「現在、どのプロセスのどの段階か」がわかりにくくなってGM・PLともに混乱するし、結局途中で割り込みによるブレーキがかかるので、あまり時短にならない。
もしまとめるなら、『対象選択を事前に宣言』『同種エネミーの行動宣言を全部コピペ』あたりをオススメする。敵の行動がテンプレだとわかれば、PLの思考時間も減るぞ。
あ、「同じ行動をします」と宣言するのはやめような。オンセの場合、コピペとそれほど時間が変わらないし、PLが前の行動を忘れてると、確認で時間を食うぞ。
さて、今回のコラムはここまで。
次回は、「エネミー加護の選び方」。お楽しみに。
そのうち、「正しいメインプロセスの流れ」を、サマリにまとめるかもしれません。気長に待ってくださいな。