その7:エネミーの配置を工夫しよう
今回は、エネミーの配置のコツ。もう少し加えて言うと、「PC・エネミーの初期配置場所の候補と、その意味」について解説する。
なお、今回はマップの広さを、ルールブックのカバー裏やDGFフィールドテンプレートなどで採用している6×9を想定して解説していく。マップが広くなっても、解説内容の本質はあまり変わらない。
また、PC達が「範囲5(選択)」の攻撃手段を確保している想定をし、高い行動値で範囲攻撃をするPCを「殲滅型PC」と呼ぶ。クライマックス戦闘だと《ネルガル》で達成できる他、RDB以降のクラスの一部では特技・武装の吟味で達成可能だ。
さて、6×9の広さだと、実は敵との位置関係は、大きく分けて3パターンしかない。
1. 対面
2. 挟撃・4方包囲
3. 3方包囲
以上だ。それぞれ、個別に解説していく。
【1. 対面】
おそらく、何も考えずに手癖で作ると、この配置にする人が多いのではなかろうか。以下のような配置である。
多くの場合、Aエリアにいるボスに向かって進撃する・応戦する形で戦闘が進むだろう。
この形式で意識してほしいのは、「この配置が最も、殲滅型PCが活躍する」という点だ。範囲5(選択)の攻撃を撃つことで、Aエリアにいる敵をごっそり対象にでき、なおかつ(おそらくはいるであろう)ボスのFPも削ることができる。
なおかつ、BエリアはPCの初期配置が遠すぎる。射程7を超える長射程武器や、「スプリントターボ」のような移動特技を持たない場合、PCに攻撃を仕掛けるのは困難である。PC達が待機を駆使した場合、下手をすると1ラウンド目は何もできずに終わる。(逆に、この位置にエネミーを置いて『間断なき波状攻撃』を作ることができる)
そこで活用したいのが、Cのエリアだ。このエリアに2-5体程度のエネミーを置くことで、殲滅型PCにエネミーを一掃されず、エネミー側の手数を稼ぐことができる。
また、Cエリアは移動力3-4でPCと同スクウェアに入れるため、うまく動けばPCの動きを阻害できる。(阻害してイジワルをしろ、という話ではない。飛行状態や<ムーブアシスト>の使い所として活躍してもらえ、ということだ)。加えて、PCに砲撃型と白兵型がいる場合、どちらのPCも攻撃を受けるリスクを作れるため、カバー役の位置取りも頭の使い所になってくる。
なに? いくらなんでも近すぎる? こんなに寄られるまでPCたちが気づかないのは変だって?
君には、奈落があるじゃないか。『アビスガーディアンには強力なステルス機能がある』ことは基本ルールブックにも書いてあるし、奈落獣に至っては突然虚空のゲートから湧く。唯一、奈落を使わないエネミーであるパルテアは、ワープ能力を持っているとおぼしきデータや設定がある。
いずれにせよ、Cエリアに敵がいても全く不思議ではない。積極的に活用していこう。
なおバリエーションとして、PCの初期配置をA1辺りの角によせると、Bのエリアが広がって長期戦向きの配置になる。
【2. 挟撃・4方包囲】
名前のとおり、『敵から攻められ、囲まれている』状況で使いやすい配置だ。逆に言うと、使えるシナリオが限られるのが欠点といえば欠点かもしれない。
この場合、殲滅型PCが1手で巻き込めるのは、Aエリアの片側ということになる。
とはいえ、《ミューズ》を活用したり、殲滅型PC以外を対象に《ネルガル》を使用したりすれば、Aエリア両側のエネミーを殲滅することも可能だ。また、〈陣形構築〉のような特技を活用し、Aエリア片側にPCも移動して各個撃破、という戦術もある。カバー役も立ち回り安く、PCの構築による個性が出やすい配置だ。
この場合も、Bエリアに数体のエネミーを置くよう意識することで、エネミーの手数を稼ぐことができるぞ。ただ、殲滅役の組み方や加護構成によっては敵が残りすぎるリスクもあるので、PCのデータを見ながらうまく調整してほしい。
【3.三方包囲】
シチュエーションとしては遭遇・進軍・防衛いずれでも使いやすいのだが、意外と実卓で見ないのが、この配置。難易度が高くなるせいか、それとも心理的な何かが関わっているのだろうか。
この配置、殲滅が比較的難しい形で、範囲5(選択)を2連打してすら、★スクウェアの一部やBエリアの一部は対象外になる。それでいて、★スクウェアはほとんどのエネミーでPC初期配置に攻撃が可能だし、BエリアもPC初期配置まで6-8マスと、狙撃エネミーなら十分アプローチが可能。エネミーの手数を稼ぎやすい配置だ。
また、★スクウェアに強敵や多数の雑魚を分けて配置することで、「どこから殲滅していくか?」に頭を使わせることもできる。歯ごたえのある戦闘をしたいときにおすすめだ。
【配置の細かいノウハウ】
配置の大雑把なパターンは以上として、ここからは細かいノウハウを並べておく。
◯初期配置は2-4マスくらいに
特にPC側が攻撃を仕掛けた場合等の場合に、PCの初期配置を6-9マスなど広めにとってしまう人も多いかと思う。
しかしこれ、リアル時間がかかるわりに、大抵プレイヤーの選択は「敵から近いところに密集」という配置に落ち着きがちだ。原因は、おそらくカバーと支援の射程の問題と思われる。多くのカバー役の<カバーアシスト>射程が0-4、武装の射程で決まる支援特技が最大射程4-6といったところなので、プレイヤー側としては分散する選択肢をとりづらいのだろう。
結果、初期配置を広めにとっても、「リアル時間を無駄に食った挙げ句、結局いつもの場所に固まってる」となりがちだ。それなら、初期配置は最初から2-4マスに絞ったほうが、リアル時間の無駄を減らせるぞ。
◯「範囲1」「直線X」を意識してみよう
自分がGMのときもそうなのだが、手癖で並べると各スクウェアに敵を1体ずつ置いたり、斜めに広く分散させたりといった敵配置をしがちだ。
しかし、メタガは「範囲1」「直線X」(=突破X)を特技1枠・装備1枠といったチョイ足しで乗せやすい。で、そういうチョイ足しが生きる配置があると、手軽にプレイヤーの「とっててよかった!」という満足感を与えられる。あなたが卓修羅なら、以降あなたの卓に、そういうチョイ足しをしたバリエーション豊かなPCが参加してくれるのも期待できる。おすすめである。
『わざわざ敵が密集陣形を取るのは抵抗が……』という設定こだわり派のGMは、移動困難を始めとする地形を活用するといい。『森林や荒れ地の真ん中に道路が通っている』『敵がそこを選んで進軍する』という形で、シチュエーションの自然さを出しつつ、PCに活躍してもらえるぞ。
今回は以上。
次回は、『正しいメインプロセスの過ごし方』。お楽しみに。
別システムですが、『異界戦記カオスフレアSC』のリプレイも連載中です。よければどうぞ。
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