その5:火力で押すな、手数で押せ
ちなみに、私はメタリックガーディアンのリプレイも掲載しています。
https://ncode.syosetu.com/n1773fs/
戦闘も十分歯ごたえのある、面白いものでした。ぜひどうぞ。
今回は、「エネミーは火力ではなく、手数で押そう」という話。
なんのためかというと、『回避・防御・回復役に活躍してもらう』ためである。
いきなり例から入る。
以下のエネミー1体と、クライマックス戦闘をする場合を考えてほしい。
命中:999
武装:<雷>+9999 対象:範囲99(選択) 射程0
特技:<瞬発行動1>
加護なし
こんな極端なエネミーですら、PCたちは1ラウンド耐えることができる。
A-Dの4人PC、Aがコンダクターの場合で考えてみよう。
敵の瞬発行動:AがDを<カバーアシスト>。A-Cブレイク。
敵の通常メインプロセス:AがCを<カバーアシスト>。AとBが蘇生・防御加護。Dがブレイク。
この通り。
こんな極端なボスの2手でこれなのだから、ルルブに掲載されているようなボスに準拠すると、加護とブレイクを融通するだけで3-4手は耐える。
つまり、「敵の手数が3-4手なら、回避・防御・回復役に存在意義などない」のだ。
それは可哀想だろう。
そんなわけで、敵の手数を増やして、ダメージ役以外のPCに活躍してもらおう、というのがここまでのお話。
では、戦闘で手数を稼ぐ手段について、いくつか説明していく。
①エネミーを増やす
一番最初に思いつくだろう。なので、注意点をいくつか解説。
1つ。行動前に殲滅されてしまわないよう留意すること。
特に、2回範囲攻撃をすれば殲滅できる配置の場合、PC側は《ミューズ》を併用して殲滅することを選ぶことが多い。
防御役をいじめたいわけではなく、それが事実として有効なのだ。
そこで、配置や遮蔽・増援による補充で全滅を防ぐ、FP調整や<範囲攻撃半減>で一撃死しないようにする、行動値調整や<一斉攻撃>で先手をとる(この場合も《ミューズ》に注意)といった方法で、なんとか数体のエネミーの行動権をとろう。
1つ。時短の工夫をすること。
当たり前だがエネミーが行動するとなると、移動先や対象決定・判定などに時間を取られる。
事前準備としては、判定を固定値にする(コラムその3も参照)、大体の行動を事前に決めておく。当日は、対象決定にダイスを頼るのが時短につながる。
1つ。エネミーデータを見やすくすること。
エネミーが多い場合、プレイヤー側もデータ確認や作戦検討に手間と時間を割かれる。加えて、『うっかりミスで惨事が起こる』というのは満足度を下げやすい。
そのため、エネミーの種類を減らす、<指揮能力>のような確実にかかる支援は修正ごとデータに乗せておく、特技や武装をシンプルにするといった方法で、プレイヤーの負荷を下げよう。
②瞬発行動
手数確保のため、ボスが大抵持っている<瞬発行動>。
これのレベルを上げて(DoW以降ならSやCを持たせて)、手数を稼ぐのも有効である。
ただし、通常の<瞬発行動>には「撃破タイミングで行動回数が激変する」という難しい点がある。
例えば、行動値1・<瞬発行動3>のエネミーは、
第一ラウンド行動値2までに撃破すれば、行動回数2回。
撃破できなければ、1ラウンド通常・1ラウンドクリンナップ・2ラウンドセットアップ・2ラウンドイニシアチブと、追加で4回行動することになる。
撃破できたときと、できなかったときで、差がでかすぎる状態になりがちだ。
なので、私のオススメは、一部の瞬発行動に「1シナリオ1回」の制限をつけることだ。
そして、1ラウンド目でガンガン使って、PCをピンチに追い込むのである。
なお、『FPがXX点以下で使用』といった温存は、個人的にあまりオススメしない。
使い損ねるのが怖いし、早めにPCを追い込んだほうが、戦闘の緊張感は増し作戦検討は楽になる。
また、ライバルや強敵など、ボス以外に<瞬発行動>を持たせるのもアリだ。プレイヤー側に与える緊張感が、実体より高い(要は過剰にビビってくれる)という特徴もあるぞ。
③加護
あえて「手数」と表現していたのはこの項目のためだ。
ダメージを与える加護で、ダメージの発生機会を稼ぐのである。
ただし、加護で入るダメージは基本的に回避・軽減ができない。こればっかりで手数を稼ぐと、結局彼らの活躍機会はこないので、①②とうまく組み合わせるように。
ここからは、手数が増える加護を個別に解説する。
まずは、イチオシ加護 《タケミカヅチ》。
この加護は、「必ず1体を対象にする」「ダメージ役ほど致命傷を受ける」「早めに一人をブレイクに追い込むことで、カバーアップ対象をはっきりさせる」と、GMにとって便利な点が多い。
打ちどころの加減もしやすいので、手数が足りないと思ったら2-3個積むのもお勧めの加護だ。
次に、《ニョルド》。
ブレイク前に打てば回復役の絶好の活躍機会になるし、ダメージ量を調整すれば「FPを高めたメリット」も感じてもらいやすい。
PCたちに余裕がありそうなら、ブレイクしたPCに追撃で打つもよし。
《アカラナータ》も 《ニョルド》とほぼ同様だが、「射程:0-5」を忘れないように。また、こちらは状況次第で致命打を与え過ぎる場合があるので、注意。
《シアルフィ》……撃たれて、プレイヤーはいい気分しないんじゃないだろうか。オススメしない。
《ミューズ》。<瞬発行動>に「1シナリオ1回」と書くのが面倒な時や、敵の連携を表現したいときにどうぞ。
《オーズ》《ルドラ》は、もはやシナリオギミックに近い。
自爆特攻を演出したいときに使おう。救出対象を乗せて、《オーディン》を使わないと救出対象が死ぬ、という使い方もあるぞ。
ちなみに、《トール》《ヘイムダル》《ネルガル》といった加護は、むしろ回避・防御・回復役の活躍を奪う方向に作用する。①②と組み合わせて「活躍どころをはっきりさせる」のにはいいのだが、やりすぎると残念なことになるので注意だ。
最後に。「手数で稼ぐ戦闘デザインをしておけば、ピンチでもPCは耐えてくれる」ことを覚えておいてほしい。
なにせ、《イドゥン》を使えばFPは最大まで回復するのだ。
お互い加護を使い切った状況なら、防御にリソースを振ったPCは1-3発の攻撃を耐えてくれる。
そういう意味でも、安易に火力や攻撃範囲を上げるよりは、手数でPCを追い詰めよう。『1つのミスで死者発生』を減らしてくれるはずだ。
今回のコラムは、これでおしまい。
次回は、「調整で手を抜きつつ、セッション中にうまくごまかす方法」。かなり生々しい話題になる予定である。お楽しみに。
手間や時間をかけたくないひとは、「プレイヤーに通達のうえ、防御・回復特技を使わないバランスで遊ぶ」というのも選択肢の1つだと思います。
その場合、「戦闘バランスはヌルいです」なんて曖昧な書き方でなく、「お手軽戦闘なので、防御・回復特技は不要かと思います」といった形で明確に伝えましょう。