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その4:命中・防御判定の数値調整

 今回は「命中・防御判定の数値調整」に関する説明である。ここで対象としているのは、エネミーの「命中値」「回避値」「砲撃値」「防壁値」の4項目を指す。

 『メタリックガーディアンRPG』は、


・多くの戦闘で、PCひとりの行動回数が2-3回と少ない

・振り直し・達成値増減を行う特技(判定支援特技)が豊富


 という2点から、この調整が卓への難易度印象、および特技を持っているPCの満足度に影響する。ここについて、自分なりのコツを説明していく。


 ここからは、説明の前提事項である。細かい話は結構、という人は【判定値とPLが受ける所感】へ進んでほしい。

 まず、今回の説明では、大体以下のようなPCたちを想定している。


・PC人数4人

・命中・防御判定を振りなおせる特技・アイテムが、1ラウンド最低2つ、できれば3つ

・達成値を増減させる特技(主に<アドヴァイス><アブストラクション>)が、1ラウンド最低1つ、できれば2つ


 これより少ないPTは、説明している数値だと、かなりハードだ。私がGMのときは「判定操作をおろそかにする君らが悪い」と言いながら調整なしでぶつけるが、プレイヤーに優しいGM諸氏は随時手加減してあげてほしい。

 また、当たり前の2d6の確率を前提として進める。「2d6の期待値は5」が厳然たる事実として存在する卓やプレイヤーは想定外なので、あしからず。

 最後に、PCのクリティカルについては考慮しない。「プレイヤーは、PCがクリティカルしない前提で動く」からだ。



【判定値とPLが受ける所感】

 では、「PCの判定値と比較してエネミーの判定値をみたとき、どのような印象をプレイヤーに与えるか」を考えていく。

 下の表を見てほしい。なお、いずれもPC側が能動側(つまり命中判定)を想定している。また、[PCの判定値]は、<エイミング><戦術指揮>などを足し終えた、「敵を攻撃する判定の前に想定される判定基準値」である。


挿絵(By みてみん)


 1項目ずつ説明していく。「所感だけで十分」という人は、【具体的な設定値について】に進んでくれ。


 [1]は、「判定をする意味がある最低ライン」である。<イベイジョン>ありの場合、出目が3だった場合ですら、<アドヴァイス>を受ければ命中だ。<イベイジョンなし>でも、PCの出目5だった場合にエネミーが必要な出目は10。<アブストラクション>をPCが抱えていれば、クリティカル以外当たるラインだ。

 逆に言うと、[1]を下回ると、もはやクリティカル・ファンブルチェックのためにダイスを振っているのと同義である。また、[1]を下回る場合、放心・憎悪・マヒのようなバッドステータスも、食らっても関係ないラインに突入している。


 [2]は、「特技を使えばまず当たる」ラインだ。<イベイジョン>ありの場合、振り直し1回と<アドヴァイス>があって外す確率は、

0.17(出目4以下) * 0.17(出目4以下) = 0.0289 = 約3%

 と、なかなかのレアケースである。2回目の振り直しが受けられれば、必中といっていい。加えて、振り直し1回・<アドヴァイス>なしで外す確率が

0.42(出目6以下) * 0.42(出目6以下) = 0.176 = 約18%

 これだと、主観がからむが「ちょくちょく起こる」レベルになる。加えて、1回目で6,5が出た場合<アドヴァイス>使用で命中。「<アドヴァイス>のおかげで命中だ。ありがとう!」が、わりと発生する数値ということになる。

 今度は、<イベイジョン>なしの場合。計算式は割愛するが、以下のようになる。


・特技支援なし: 命中率75.1%

・PC出目5以下のときに<リトライ>を受ける: 命中率84.5%

・PC出目6,7のとき<アドヴァイス>、5以下のときに<リトライ>:命中率89.5%


 「<リトライ><アドヴァイス>を誰かが抱えていれば、命中率15%上昇」と考えると、悪くはないのではなかろうか。

 言いたいこととしては、「支援特技が絡めばほぼ命中、なしだとドキドキ」が[2]のラインである。


 [3]は、「かなりダイス目に左右されると同時に、判定操作特技が一番輝く」ラインである。<イベイジョン>ありで見てみよう。


・特技支援なし:命中率16.7%

・PCに<アドヴァイス>:命中率41.7%

・PCに<アドヴァイス>、エネミーに<アブストラクション>:命中率72.2%


 支援特技で激烈に命中率が上がっていること、それでも外すときは外すことが分るだろう。振り直しを含めれば、さらに命中率は上がる。「支援さえ十分あれば、[3]でも命中する」のである。

 <イベイジョン>なしの確率は(場合分けが面倒すぎるので)割愛するが、所感としては同じだ。実は支援なしでも44%くらい命中するのだが、「相手がダイスを振る」というのはプレイヤーにとって恐怖なので、このくらいの所感になる。


 これをこえて、[4]になってくると、プレイヤーたちは「失敗しても仕方ない」と思いながらダイスを振るようになる。



【具体的な設定値について】

 ではここから、防御判定値・命中判定値のそれぞれについて、具体的な数値設定について説明していく。ここでは、敵を3つに分類して説明する。(DoW以後の分類とは異なるので注意してほしい)


  ・ボス……マップに1-2体、BOSS・中ボス・ライバル属性など持っているエネミー

  ・通常雑魚……マップに3-5体、なぎ倒される前提のエネミー

  ・高機動雑魚……0-2体、命中や防御に苦労させるためのエネミー


 まず、防御判定値から。以下の図を見てほしい。


挿絵(By みてみん)


 「対ボスPC」は、単体に大ダメージを与える想定のPC(主にストライカー)、「範囲殲滅PC」は範囲攻撃で多数のエネミーを倒す想定のPC(主にスイーパー)である。個別に説明していく。


 まずボスだが、[2]より上はお勧めしない。というのも、これ以上は「支援特技があっても外すかもしれない」ラインだからだ。メタガは1手番に割くPCリソースやリアル時間が多い関係上、『出目で攻撃が外れる』というのがガッカリ感につながりやすい。また、万が一2回ほど外すと、たいていボスの手番が1-2回増えることになる。『どう頑張ってもPCが死ぬ』状況につながる恐れが高いので、お勧めしないのだ。


 通常雑魚も、[2]より上はお勧めしない。特に通常雑魚は<イベイジョン>を持っていることを想定している(理由は、1つ前のコラム「エネミーにダイスを振らせるな」を見てほしい)。同種類のエネミーの防御判定値が同じ以上、出目がクソだと全員に当たらないわけだ。『マップ兵器発射! 撃破、なし!』はメンタルにくる。やめてさしあげよう。


 ボスと通常雑魚について、[0]~[2]のどこに調整するかは、PCの判定値や判定支援特技の数、エネミーのイメージに合わせて、適当に調整してよいかとおもう。


 高機動雑魚は、戦闘における戦術にメリハリを出したいときに配置する。具体的には、『支援特技を大量投入させて当てるか、あえて残すか選ばせる』『命中値が高いPCの活躍の場にする』『《ヘイムダル》《アカラナータ》を活躍させる』といった形である。その場合でも、[3]以上にはしないことを勧める。プレイヤーが『特定の行動を強制されている』と感じてしまうからだ。


 次に、命中判定値について。全て「防御判定値が最も高いPC」を基準に調整することを想定している。


挿絵(By みてみん)


 書かれている通り、ボスの命中判定値は高めにすることをお勧めしている。というのも、ボスの攻撃を楽に避けられる状況が発生すると、回避型PCだけがボスの射程内から殴る……ようは『ハメ』が成立してしまう可能性があるためである。こうなってしまうとクライマックスが作業になる。それを避けるための高い命中判定値だ。


 一方で、雑魚の攻撃を回避可能な数値にすることで、回避型PCを活躍させる。また、ここでうまく調整すれば、2番目に防御判定値が高いPCにとって[2]~[3]の数値になる場合がある。そうなれば、『2番手が防御判定を捨てなかった価値』や、『相対的な回避型PCのすごさ』が表現できるようになるのだ。


 高機動雑魚は、『脅威度が高い敵』としての活用を想定している。ダメージと見比べながら、『高機動雑魚を撃破する必要があるかどうか』を選ばせる形で、数体混ぜると効果的だ。


 なお、明らかにPC全員が防御判定を捨てている場合(武装をみれば大体わかるはずだ)は、全エネミーを[4]で調整してしまってもかまわない。それが、PCの選択に対する妥当な結果というものだ。



【応用:エネミーの個性出し】

 ここまでは、命中・防御判定値を個別に調整するときの話。あとは、命中値・回避値・砲撃値・防壁値のバランスを調整する形で、エネミーの個性を出すことができる。


  ・ 砲撃値 > 命中値、接近すると有利になるエネミー(ディザスター級など)

  ・ 防壁値 > 回避値、遠隔攻撃での撃破が困難なエネミー(グラムメタル級など)

  ・ 防御判定 > 命中判定、《指揮能力》《バッドアゲイン》《遅滞2》などで間接的に脅威になるエネミー(電子兵装機など)


 もちろん、武装のダメージや射程、エネミー特技などもあり、エネミーのバリエーションは無限大だ。基本ルールブックの「奈落獣パッヘルベル」でも分かる通り、エネミーには極端なデータが許される。好き放題作ろう。



 今回はここまで。

 次回のタイトルは未定。書きあがったものから投稿する予定なので、お楽しみに。


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