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その3:エネミーにダイスを振らせるな

 感想・批判・反対意見などあれば、


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 お好きなほうでどうぞ。

 ここでは、タイトルの通り『エネミーにダイスを振らせるな』、すなわち「エネミーの判定やダメージを固定値にしよう」という話をする。

 既に、反発や反論が浮かんだ人もいるだろう。想定される反論への回答も後半で行うので、モヤモヤを抱えながら読み進めてほしい。逆に、「その主張、YESだね!」と確信をもって同意できる人は、今回の記事は読まなくていい。タイトルだけ見て、心に刻みなおしてもらえれば十分だ。


 さて、公式の『メタリックガーディアンRPG』では、<イベイジョン>を持ったエネミーは防御判定のダイスを振らない。これは、プレイヤー・GMをとても幸せにする特技なのである。

 どういうことか。以下の例で、ちょっと考えてみてほしい。


 PC:命中値14(クリティカル値9)  

 → エネミー:回避値13  ×対象3体


 さて、この状況を見て、「それぞれの出目がいくつのときに達成値操作特技を使い、出目がいくつのとき振り直し特技を使うか」、明確に判断できる人はいるだろうか? ちなみに私は無理だ。

 明確に判断できないということは、「プレイヤー間で判断が分かれる」ということであり、つまりダイスを振るたび「どうする?」と相談が要るということだ。上の場合は計4回。なかなかにしんどい。

 リアル時間の問題も深刻だ。1回の相談に2分かかるとすると、命中決定ステップが終わるのは8分後。単純に長いし、「ゲーム内の数秒が、リアル8分に伸びている」というテンポの阻害も深刻だ。オトナの事情を抱えたアニメじゃないんだからさ。


 一方、こちらならどうだろう。


 PC:命中値14  

 → エネミー:回避値20*<イベイジョン>  ×対象3体


 これなら、答えはほぼ1つしかない。「出目5-6なら<アドヴァイス>、出目4以下なら<リトライ>。2回目も4以下なら、他の特技に頼る」。相談1回でいいどころか、もう相談抜きで特技を使っていいレベルだろう。

 もっと聡いプレイヤーなら、敵のデータを見ただけで「こいつを殴るときは<アドヴァイス>がいるかもな。備えよう」というところまで思考が進むかもしれない。プレイヤーも楽だし、セッション時間も短くなる。いいことづくめだ!


 このように、判定が固定値というのはメリットがでかい。なので、私がGMをするときは、雑魚に<超イベイジョン>とかのオリジナル特技を持たせて、命中判定も固定にしてしまうことも多い。ぐっとセッションが速くなるので、おすすめだ。

 もちろん、全員に持たせてしまうと<死神の嘲笑><させんよ!>といった特技が無価値になるので、ボスを含めた2-3体は判定をしたほうがいいだろう。ただ、「エネミーに判定を振らせないことは卓へのメリットがでかい」ことは覚えていてほしい。


 ダメージロールも同じ理屈が適用される。


  [1] ビーム砲 <光>+130

  [2] ビーム砲 <光>+40   <攻撃強化23>


 このような事例だと、「事故率がどちらが高いか」という点で、[2]のほうがよろしくない。プレイヤーが危険度を見誤ったり、事実以上に危険だと感じたりする。

 理由は2つある。1つ、[2]は、「3.5 × 25 + 40」というヤヤコシイ計算をしないと、約何点来るかわからないこと。もうひとつ、「23Dの和が90を超える確率」は『約14%』だが、こんなもの知っている奴はそういないし(私も今初めて知った。意外と低いな)、知っていたとしても『14%の確率』を高いと思うか低いと思うかは個人差が激しい、ということである。

 結果、プレイヤーはビビるし、相談は手間だし、リアル時間もかかる、という羽目になる。そんなことにならぬよう、エネミーのダメージは[1]みたいな形にすることを強く勧める。

 まあ、大量にダイスを振るというのは『エネミーの強い感』を出すのには有効なのだが、ボスでそれをやるなら《トール》で十分だ。またオフセならともかく、ツールが自動計算してしまうオンセでは効果の薄い手法である。

 結論。「ダメージロールも、極力固定値に寄せよう」。ちなみに、「攻撃強化:固定90」といったオリジナル特技で、ダメージを固定上昇させるのは有効な小技である。


 さて、想定される反論について考えていく。パッと私が思いつくだけで4つくらい出る。


・ダイスの出目で一喜一憂する楽しみを損ねる

・TRPGのゲーム性を無にしてしまう

・GMだけが乱数に左右されないなんて、卑怯だ

・敵の命中・回避がいつも固定なんて、リアルじゃない


 ほかにも色々あるだろうが、2つ挙げることで返答としたい。


 ひとつめ。「GMのダイスでプレイヤーは喜ばない」。ちょっと考えてみてほしい。


「今日のセッション、PCの出目が良かったおかげで楽に勝てたわ!」

 こう嬉しそうに言っているプレイヤーは、セッション後の飲み会でもツイッターでもよく見るが(逆もだ)、


「今日のセッション、エネミーの出目がクソだったおかげで楽に勝てたわ!」

 こんなこと言ってるプレイヤー、見たことあるか? 私はない。


「エネミーのクリティカルのせいで全滅したわ」

 これなら見たことがある。ただし、ネガティブな感想としてだ。卓で転がっているのは同じ六面体ダイスなのに。


 結局のところ、プレイヤーは自分のダイスで運命を左右したいのであって、GMのダイス目なんて割とどうでもいいのだ。ゆえに「プレイヤーが喜ぶ卓」をやりたいなら、振らないほうが幸せだ、というのが私の主張である。ゲーム性の担保は、PCのダイスだけで十分だ、と私は考える。


 ふたつめ。「そもそも、GMは卑怯で非リアルだ」。

 GMは、レベルと使用ルルブを決めて、ガーディアンの強さを分かった上で戦闘を作っている。なんなら、戦闘能力値と特技と加護を全部知ってる、までありうる。この時点で、卑怯かつ非リアルだろう。ダイスにこだわったところで「何を今さら」という話なのだ。

 挙句、「GMもダイスは振ろう。ただ、PCの出目が悪くても勝てるよう、敵を弱めに……仮に出目が5だとすると……」とか考え始めると、もはや目標や正当性がどこにあるんだかわからなくなる。

 大体、TRPGはゲームで娯楽だ。ささやかな対等性やリアリティを求めた結果、できあがるのが「確率と掛け算の暗算大会」や「伸びきった尺」では、残念な話じゃないか。


(ちなみに、上の理屈は『メタリックガーディアンRPG』での話だ。ダイスによる偶然性が高くて面白いTRPGは存在するし、それらはメタガと判定や戦闘の性質が大きく異なる。が、長くなるので割愛)


 最後に、タイトルを繰り返す。「エネミーにダイスを振らせるな」。これは、私がメタガの戦闘を楽しくする、大きなノウハウのひとつである。


 今回のコラムは以上。

 次回は、「エネミーの命中・防御の数値設定」について。お楽しみに。


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