異世界転生に転生したいけど…②
「取り敢えず何をすればいい?」
結局考えても結論は出てこなかった。
でもただボーッとしているのも落ち着かない。
「そうね、あと三時間位で次の人がくるからそれまで自由にしてて良いわよ?」
「ご飯って食べる?」
ってそう言えば控え室にキッチンがあったな。
「あんまり、食べないかなぁ」
「えっ!?食べないの?」
「あんまり美味しいって思う物が無くてね」
うんざりした表情でユノが言っているが一体何を食べているんだろ?
「クッキー…食べたことある?」
「バカにしてます?あるわよそれぐらい!あれ美味しい?味しないわよ?」
味がしないクッキーとは?
「ちょっとまってて、作ってくる」
「食べないからね!」
軽くいじけたように声を上げる。
「はいはい、良いの俺が食べるから」
どんな物を食べたかは知らないけどそこまで言うなら出来てもクッキーはあげん!
……てか材料は?
「材料は頭に浮かべると出てくるわ」
「わかった…え?それすごくない?」
「ん?そうかしら?」
うーん、ここで俺は生活出来るかな?
クッキーを作る為に部屋に戻った。
「よし、簡単なのを作ろう」
※
まず、ホットケーキミックスを150g用意して、砂糖適量、卵黄1、サラダ油適量を入れて捏ねます。
(ホットケーキミックスは想像したのが市販の袋に入ってる奴だったせいか想像したままの姿で出来ました。)
(適当なのは本当に適当なので省略させていただきます。)
そのあと冷蔵庫に30~1時間置きます。
そのあと、好きな形に型どって
オーブントースター200wぐらいで少し焼いて完成。
※
よし、クッキーが出来た。
控え室の扉を開ける。
「何か甘い匂いがするわねっ!?それは何!?」
ユノは俺の作ったクッキーを凝視している。
「いやクッキーですけど」
「クッキーって味がしない…ドングリだったかしら?」
ドングリ!?いつの時代だ!?
「へ?ドングリ?まぁ食べてみなよ 」
「い、嫌よあまり良い思いで無いもの!」
まあドングリだもんなぁ……。
「騙されたと思って食べてみなって」
「嫌よ騙されたくないもの!」
駄々こねてるよこの人……。
「子供かよ!食わず嫌いするな!」
「子供よ!あれを好き好んで食べる人が大人なら子供で良いわ!!何か悪いのよ!」
涙目になって必死にもがいてる美女の姿を見てると何かイケないことを強要してようでゾクゾクしそうになる。
ドングリ一種のトラウマ植え付けてるじゃん。
ドングリ最強。
「んじゃ良いか、一人で食べるよ」
仕方ない、一人で食べよう。
無理に食べさせるのもあれだし。
振り替えって部屋のドアノブに手を掛けた。
「ちょっと待って!やっぱり一つ、一つだけちょうだい!」
多分今の俺の表情はものすごくニヤニヤして悪い顔をしているだろう。
なので振り替えるときにニコニコした表情に切り替える。
「良いよ?食べてみなっ!」
ユノは恐る恐る俺の作ったクッキーに手を伸ばしてそのまま口に運ぶ。
だがなかなか口にいれようとしない。
「美味しいのに勿体ないなぁ」
その横で俺はクッキーを摘まんで食べている。
「い、頂きます…はむ」
クッキーを口に入れたその時、ユノの目が見開いた。
「お、美味しい…」
続けてもう一つ、もう一つと消えていく。
勝った、俺の勝ちだ。
「このクッキー美味しいわね!おかわり!」
「いや無いよ、そんなに作ってなかったし」
「何でこんなに美味しいのかしら?」
「なんと言うか…不思議な粉を使いました」
なんか不思議な粉って危ない奴みたいだな。(不思議な粉はホットケーキミックスです。)
「不思議な粉?名前は!名前は何!」
必死過ぎかよ、何でこんなに必死になるのさ。
ユノはあーと唸った。
「実はね、あんまり味が着いた物は食べたこと無くてね」
「ほぇー」
文化レベル低いのかな?
てかいつのクッキーだよ本当に。
「まあ、俺がここにいる間は色々と作るよ」
「本当!ありがとう!」
まあキラキラした顔をなさって眩しいこと……。
はい、ドキドキしました心臓にわるいです。
「あの、すいません」
「「ん?」」
声のする方へ振り替えるとスーツを来たおじさんが椅子に座っている。
「目が覚めたらここに居たんですけど…」
時計を見ると三時間過ぎていた。
「あはは、ようこそ…案内所へ」
ユノと俺は苦笑いをしながら挨拶をした。