2話 この絵の形
前話の絵を思い出そうとする主人公の話ですm(_ _)m
数日経っても、あの絵を描きたいと思った。
けれど、どんな感じだったか思い出せない。
寝れば、良いことも悪いことも忘れてしまう僕の個性が裏目に出た瞬間だった。
いつも教科書に描くから、満足したら消してしまうんだ。
友達に貸した時に見られないように。
もしかしたら、描いた跡が教科書にうっすら残っているかもと期待を込めて開いても、最後の希望はなかった。
これで手掛かりはゼロだ。
いつもの僕なら、諦めていたところだろう。
しかし、うっすらと脳裏に張り付いている情報が僕の好奇心を描きたてる。
思い出そうとして思い出せないあのモヤモヤ感だ。
こういう頑張れば思い出せそうなんだけど….
みたいな時に、必死になって思い出そうとするのが僕である。
まぁ、大半は思い出せないまま、眠りについて、リセットされるんだけどね!
こうなったら、なんとくであの絵を描いてやる!
さっそく、先生の声を遮断し集中力を高める。
んーどんなんだったかな?
二足歩行の植物までは覚えてる。
足はテキトーだったはずだ。
手は、葉っぱにしたのか、葉っぱを持たせたのか、そんな感じだった。
顔は、
分からん!
コスモスをモチーフにはした。
コスモスってどんなんだっけ?
はなびらは十枚くらいだっけ?
なんか鋭そうなイメージがあるなぁ。
ってことでこんな感じか!
おぼろげな記憶を頼りに描いた絵は、似てるようで似てないようなビミョーな感じになった。
もういいや。
結局、諦めた。
それから、数日後、またあの時の植物が描きたいという衝動に駆られた。
あーもう!
モヤモヤする!
いっそのこと、僕でも忘れないような簡素な植物を描いてしまえ!
それだ!
勝手につまずいて、勝手に解決して、自由にシャーペンを滑らせて、
できた!
手と足のフォルムは同じ。
花は分かりやすいようにどこでも咲きそうな桜。
花びらの枚数は五枚。
花びらと花びらの間から、首を描く。
これなら、さすがの僕でも忘れることはないでしょう。
可愛さもカッコよさもない。
少し不気味である。
けれど、嫌いになれない魅力がある。
あの時ほどの感動はないけれど、これはこれでいいのでは?
気に入った!
気に入っちゃったのかー、それを気に入っちゃうかー(・・)