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労働哀歌  作者: 錫 蒔隆
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自宅待機の仕事 日給5000円

 繁忙期なのか、こんな仕事が紹介される。8時から12時まで、自宅で待機するだけで5000円。現場で欠員が出たとき、その現場に行ってもらう補充要員。現場に入る場合は、その現場の日当プラス3000円のボーナスがつく。ただしどんなに遠かろうと、現場入りの拒否権はない。

 なんてすばらしい。自宅待機しているだけで、5000円ももらえてしまう。まじめに働いているのがばかばかしくなる。この仕事が、毎回出ているわけではない。前日にぽつんと、紹介されたりする。土曜の休みのときにタイミングよくその紹介があれば、応募できる。私は待った。なかなかタイミングがあわない。仕事の待ち時間で、携帯をのぞきこむ。どうにかして釣りあげたい仕事である。そんな自宅待機の仕事ばかりなら、毎日でも応じたい。本業など辞めて。本気でそう思ったものである。

 そうしてようやく、自宅待機をつかみとる。よし。これで仕事がなければ最高だ。仮にどこかしらに入れられるとしても、3000円のボーナスはつく。仕事が入ったらあきらめざるを得ない。

 それにしても、と思う。ふつうは逆ではないだろうか。仕事がなければ3000円、仕事に入ったら5000円のボーナス。なんとも勤労意欲を削ぐような配分ではないか……そう思っていると、夜に派遣会社から電話が入る。「現場に入ってください」と。拒否権はない。

 落胆。働かずにもらえたはずの5000円が、ぱあ。働かないで5000円をもらえるなんて虫のいい話が、あるわけもない。5000円というのは撒き餌でしかなかった。補充要員なのに、夜に仕事が入るというのはどういうことなのか。やつらは最初からそのつもりで、自宅待機5000円などという幻想を演出しているのだ。

 3000円のボーナスで体験上、最悪の苦役に就かされることになった。それは次回で。


 働かず もらへる餌に 釣られたる 欲のかたまり あはれなる鯉 

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