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彼女の愛が重い

作者: 湖城マコト

 僕には素敵な彼女がいる。

 優しくて笑顔が可愛いくて、声も綺麗だ。

 僕が風邪をひいた時には夜通し看病してくれたし料理だって上手。

 ちょっとだけ嫉妬深くて、僕が他の女の子と話したりしているとやきもちを焼いてくることもあるけど、そんなところさえも愛おしく思える。


 初めて出会ったのは高校一年生の時で僕の一目惚れだった。友達からスタートしてその年の夏に人生初の告白。玉砕覚悟だったけど、彼女も僕のことが気になっていたらしく、晴れて僕達は恋人同士となった。

 早いもので付き合い始めてもう3年だ。たまに喧嘩をしたりもするけど、大学生となった今でも彼女とは良好に交際を続けている。

 

 僕は彼女のことが大好きだ。ずっと一緒にいたいと思ってるし、将来的には結婚だって視野に入れている。

 だけど、そんな彼女にも一つだけ困ったところがあって……





「今日は楽しかったね」

「うん、僕も凄く楽しかった」


 映画デートの帰り、僕は彼女を家まで送っている途中だった。

 

「ねえ、いつものあれやって」

「いいよ」


 彼女はよく僕にあることをねだってくる。それは高校生の頃から変わない、僕達にとってはお馴染みの愛情表現みたいなものだ。


「いつでも乗って」


 僕は身を屈めて、彼女に背中を差し出した。

 彼女が望むことそれはおんぶだ。子供の頃から父親におぶられるのが大好きだったそうで、時折僕にもそれをねだってくる。何とも可愛らしいことだ。


「ありがとう」

「よいしょ」


 彼女を背中におぶり僕は立ち上がった。人一人を背負うのは大変だけど、彼女が喜んでくれるならお安い御用だ。


「大好きだよ」

「僕も好きだよ」


 もっと喜ばせてあげたくて、僕は彼女を背負ったまま駆け出した。風を切る感覚を、彼女も子供のように楽しんでくれている。




「それじゃあ、また明日ね」


 彼女をマンションまで送り届け、僕は自宅の方向に向かって歩き始めた。

 さっきまで彼女を背負って走っていたせいか少し膝にきている。

 彼女を喜ばせるためとはいえ、無理は禁物かもしれない。

 

 昔の彼女はスリムで、背負っていても大して負担は感じなかった。

 でも大学に進学して一人暮らしを始めたことで食生活が乱れてしまったのか、最近の彼女はちょっと……いや、けっこうぽっちゃりとしている。

 昔のスリムな彼女も、最近のぽっちゃりとした彼女も、僕はどちらも好きだけど、彼女を背負った時の膝や腰への負担だけは考え物だ。


「ちょっとだけ、あいにダイエットを進めてみようか」

 

 彼女をおんぶすることは僕も好きだけど、膝や腰を壊したらそれも出来なくなってしまう。


「それにしても、愛のやつ何時の間にあんなにぽっちゃりとしちゃったんだろ?」


 体系の変化は意外と分かり難いなと僕は思った。

 ちょっと前までは、軽々とおぶっていたはずなのに。


 どうにも最近彼女の愛が重い。

 


 





 重いのは彼女の愛情では無く、主人公の彼女である愛さんの体重でした。

 タイトルも嘘はついていません。


 ふと、この引っかけ? を思い付き、その後は勢いで書き上げました。

 



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― 新着の感想 ―
[一言] 嘘はついていないが、実にへびーな話
2016/05/19 13:58 退会済み
管理
[一言] そっちか!ってなりました。オチが面白かったです。
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