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入学からカオス!?

第八話です。

 

 この世界の学校では、十歳から十八歳の間はほとんど学校で過ごす。


 ただ、十二ヶ月のうち四月、八月、十二月の最後の週だけは休校して子供を家に帰すのだ。


 ちなみにこの世界も一年は三百六十五日である。


 そして 学校には五つの教科がある。


 国語科、数学科、化学科、歴史科、魔法科の五つである。


 そのうちの一つ、魔法科は魔法を実際に使う実技と、魔法の知識を試す筆記の二つで採点する。




 


「あの~、ホントにこれだけでいいの?」


 千優はそう言いながら自分の胸元につけてあるバッジをいじっていた。


 千優がこの世界に来た次の日、シモーネは千優にバッジを渡した。


 このバッジが学生の証で、バッジさえ付けていれば服装は自由なのだとシモーネは言った。


 そこで、千優の今の格好は無難な黒のトップスに白シャツと黒ジャケット、そして六芒星が書いてある白いバッジを付けただけである。


「制服とかないの?」と千優が聞いた時は、「セイフク?なにそれおいしいの?」という答えが返ってきた。

 

 この世界の学校には制服という物がないのだろう。


 シモーネが感心したように言った。


「お~、意外と似合うものじゃな。君は顔だけはいいからなぁ」


「顔だけってひどくないですか!?」


 ――中身も良いですよ!と言いそうになったが、ナルシストと思われたくないのでやめた。


 シモーネは千優の肩を叩いて言った。

 

「ま、とにかく気楽になれ。君の事についてはワシからすでに説明しておる。学力もチェックしたが、魔法科と歴史科以外全く問題ない」


 ――というか、数学科と化学科が満点なんだが……とシモーネは呟く。


 ちなみに、この世界の住人でない千優が魔法を使えるのか?という疑問があるだろう。


 結論から言うと使うことが出来たのだ。


 シモーネの杖を貸して貰って小石程度しか浮かばせることが出来なかったが、千優は確かに魔法が使えたのだ。


 さらに、この世界の文字など見たことも聞いたこともないのに読むことが出来た。


 おそらくだが魔法とこの世界の言語は、世界の穴を通った時の副産物なのではないかと千優は考察している。


 しかし、千優にとってそんなことは今はどうだって良い。 


 それよりも千優にとって大事なことは、ちゃんと生徒たちに馴染められるかどうかである。


そのことをシモーネに打ち明けると、「ア、ウン、ミンナイイヒトダヨー」とあからさまに棒読みすることが千優の不安をさらに煽った。


 もしやとんでもない不良校なのでは!?とも思った。


 あんな馬鹿校長の学校なのだ。まともな奴などいないに違いない!


 むしろ普通の奴がいた方がおかしいのだ!だってあんな馬鹿校長なのだから!


「あれ?なんか侮辱された気がするんじゃが?」


「キノセイデス」


 そんな感じで二人は学校へ向かった。





 二人は今、国立アジアス学校の前にいた。


「どうじゃ?この世界の学校を見た感想は?」


「すごく……、大きいです……」


 決してホモォな内容ではない。


 この学校、本気(マジ)ででかいのだ。


 まず学生の人数が五万人というマンモス校である。


 そうなると教室だけで結構な面積になる。


 さらにこの学校は全寮制なのだ。


 五万人の生徒がここで生活するとなると、どれだけ巨大な学校になるか想像もできない。


 もはや城である。


「というか、僕のクラスはどこなんですか?」


 千優の質問にシモーネは言いづらそうに答えた。


「あー……一階の一番端じゃ。とりあえずついていてまいれ」


 そしてシモーネに付いて行っていると、様々な種族の生徒たちが千優を見て何やらざわざわしていた。


 ――やっぱり僕何かおかしかった!?


千優はそう思って彼らを見たが、別段違うところは見つからない。


そうやってモヤモヤしながら二人は千優のクラスにたどり着いた。


たどり着いたのだが……


「ねぇ、なんかおかしくないですか?」


 千優がクラスの周りを見て言った。


 所々修理した跡があるうえ、窓ガラスが割れていたり床が抜けていたりとひどい有様だった。


 シモーネは棒読みで「エーソンナコトナイヨー」と言った。


 ――明らかにそんな事あるよ!と心の中で叫んだ千優は、意を決してドアを開けようとした。


 開けようとしたのだが――


 ――その前に教室の中から何かが飛び出てドアを突き飛ばした。


 ドアを突き飛ばした何かはそのまま壁にぶつかって停止した。


 それは、いわば二足歩行の服を着た豚であった。


 ピンク色の肌に申し訳程度にちょこんと置いてある黒髪に勝気な黒目(と言っても今は腫れ上がっている)、そして突き出た腹。


 ――オークである。


「いっっってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 そのオークは自分の顔を覆って叫んだ。


 どうやら顔を殴られたようである。


「俺が何したっていうんだよ!ちょっと早飯しただけだろこん畜生!」


 オークの視線の先には一人の少年(少女?)がいた。


 いや、この子も正確には人ではない。


 というか、この種族に関しては生物ですらない。


 一応肌色の肌ではあるが、その皮膚はダイアモンドのように硬く、関節部分には明らかにロボットのような中身がチラチラと見えている。そしてその顔は整ってはいるが鉄仮面のように硬く冷たく(本当に硬く冷たい)、薄い水色のショートヘアとカメラレンズのような瞳からは、無機質さしか感じない。自律思考を持ったロボット。


 ――ゴーレムである。


「昼休み以外に学校での飲食は校則違反デス。そしてその罰則は――


 ――顔に殴打百回デス。」


 オークに言葉を返した、恐らくオークを殴ったのであろう張本人は悪びれもせずに追撃を加えようとする。


 しかし、その手を止める者がいた。


「おい、そこのオークがどうなっても我は知らんが、我の出席確認を邪魔するとは何事だ?」


 ドラゴニュート、ドラン・ヴァネルである。


 そして溜息を吐いて言った。


「まったく、十人中五人が欠席とは先が思いやられる。いや、新入生を合わせると十一人か。まぁ、我が担任となったからには、一週間もしたらこの我を崇めて全員出席するのだろうがな」


 そう言って、「やれやれ、困った生徒たちだ」といってオークを引きずっていった。


「「……」」


 千優とシモーネの間に沈黙が訪れる。


 それを最初に破ったのは千優である。


「あの……アレが僕のクラスメイト?」


「……うん、あそこしか空いてる席なかったの」


 千優は大きく息を吸って言った。


「ふっっざけんなくそっったれぇぇぇぇぇ!!!」



 


 

 


 


 


 

 


 


 


 

 




 


 

というわけで新種族オークとゴーレムが登場しました。

そしてロリコンが担任になりました。

ちなみにゴーレムの言っていた昼休み以外の飲食禁止は本当ですが、罰則はゴーレムが勝手に言ってるだけです。

本当は注意くらいしかしません。

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