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第6話「私は…私は…」

「淳一さんは何で毎日訓練しているんですが?」

2020年もそろそろ終わりを迎えようとしている12月29日のこと。

既にいつも通り化した淳一と歩音とノイリの三人が囲む食卓でノイリがふと一つの質問をした。

「なんで…か…」

食事を進める箸を止め淳一が考えはじめる。

「理由は特にないのかもな…徴兵制でならざる得ない状況だしな」

ヒュレインとの戦闘は日に日に激化していく一方。

人類もヒュレインも疲弊仕切っている。

「淳一さんたちはやっぱりヒュレインのことが嫌いですか」

ノイリはうつむきながら質問を変えてくる。

「確かに人類も大分殺されてるし憎まない理由がないんだけど…」

「仲良かった時期もあったんだしね。全てが悪い気がしないな」

淳一の言葉に歩音が続く。

「実はさ、昔ある人が言ってたんだ…『この宇宙にはきっと人間と同じように暮らし平和を愛する人達がいる』って。だからきっとヒュレインの人達にも同じような人はいるはずだと俺は今でも思っているよ」

「淳一さん…でも、私はヒュレインで作られたアンドロイドで私もヒュレインです」

「だからなんだよ」

「淳一さんたちはそう思っていてくれるかもしれませんが他の方々はそうは思わないでしょうし…」

「それなら俺がお前を守ってやるよ」

「え?」

「もうお前は俺達の仲間なんだよ。だから守ってやるよ」

「俺が、じゃなくて。俺達が、ね」

歩音がクスクスと笑いながら言葉を付け足す。

「だから、そんなこと考えるな。お前は笑ってる方が可愛いしな」

「…はいっ!!ありがとうございますっ!!」


「淳一も覚えてたんだ」

食事を終え後片付けをしながら小声で歩音が淳一に声をかけてくる。

「なにをだ?」

「あの人の言葉だよ」

「あぁ…なんかな妙に覚えてるよ」

七年前、淳一たちがまだ幼い頃にこの村に一人の女性が訪ねてきた。

白いワンピースに麦藁帽子、大きなトランクを手に持っていた美しい女性だ。

彼女は自分のことを「ソラ」と呼び、淳一たちと過ごした。

「ねぇ、淳一君は宇宙人っていると思う?」

「いるとおもうな」

「そうね。いると思うよね。宇宙はとても広くて端っこから端っこまでいくのなんて絶対にできないぐらいの広さだもんね」

「…?」

「この宇宙にはきっと人間と同じように暮らし平和を愛する人達もいる。だからもしこの地球に誰かが来たらちゃんと受け入れてくれるかな?」

「うんっ!!ちゃんといっしょにあそべるよっ!」

まだ幼い淳一には受け入れるという意味がよく分からなかったのかちょっと言い方が変わっていたが、その言葉を聞いたソラは嬉しそうにやさしい笑みを零した。

「結局何も言わずに出て行っちゃったよね」

ソラはそれから一週間後突然姿を眩ませた。

正体も何も分からなかったが彼女の言葉だけはいつまでも淳一の心に残っていた。



「ということで今年もとうとう明日一日だね」

朝いつものように学校で遊理香がみんなの前で話しを始める。

「なので、明日は年越しパーティーをしますっ!!」

おぉーと感嘆の声をあげる面々。

(いやちょっと待てよ。今週パーティー多すぎね?)

一人心でツッコミをいれる淳一だが声には出さなかった。

しかしそんな朝の賑やかな空気を壊すように唯依が神妙な面持ちで教室に入ってきた。

さすがに唯依の姿に何かを感じたのかそれぞれが自分の席につく。

「緊急事態だ。ヒュレインの大部隊が真っ直ぐこちらへ向かって来ている」

いつもとは違う冷淡な口調で告げる唯依の言葉に衝撃を隠せないでいる面々。

「待ってください。なんでこんな所に…何かの間違いじゃないんですか?」

淳一が代表して思ったことを質問する。

「間違いない、本部経由でヒュレインの目的も伝わって来ている」

「目的って…」

「あんたらが一番分かってるんじゃない?」

「……っ!?」

すぐに一つの可能性にたどり着く。

「何でノイリのことをっ!?」

「私が知らないとでも思ったかい?と、言っても私も本部の命令できたんだけどね」

そう言われて黙るしかできないでいると彩奏が変わって質問をする。

「ヒュレインの目的はどのようなものなのです?」

「ノイリを引き渡せとのことだ。それに敵は正面から堂々と来るそうだ…まぁあいつのしそうなことだな」

「もし引き渡さないのなら…」

「奪い取るそうだよ」

ヒュレインの大部隊がノイリを奪い取りに来る。

淳一たちにはまだちゃんと理解は出来ていなかった。

「やつらは今日の夜にはここに到着し、ご丁寧にも受け渡しの時間まで指定してきたよ」

「いつなんですか…」

「12月31日午前0時」

もう時間がない…その事実だけは把握できた。

「くそっ!!」

そういうと淳一は教室飛び出したいった。

「淳一っ!!」

歩音が咄嗟に声をかけるが淳一の耳にはその言葉は届いていなかった。



「ノイリッ!!」

淳一が向かった先は自宅―ノイリの所だった。

勢いよく玄関の戸を開け靴も脱がずにノイリのもとへと向かっていった。

ノイリはリビングでこたつに入りながらテレビを見ていた。

「淳一さん!?どうしたんですか?そんなに慌てて」

淳一の姿を見て驚くがいつものおっとりとした口調で尋ねてくる。

「ノイリ…ヒュレインが来るそうだ」

「えっ」

「お前を連れ返しに来るそうなんだ」

「そうなんですか…」

ノイリはうつむきながら答えるもどこかこの時が来るのを分かっていたようだった。

「なんとなく…なんとなくなんだが。ノイリは連れてかれるときっと何か酷い目に合わされると思うんだ…うまく言えないんだけど」

「そう…ですね」

「だから、ノイリ俺はっ!!」

「淳一さん」

淳一の言葉を止めるようにノイリが言葉を制する。

「私はこの一週間とても楽しかったです。淳一さんに会って、歩音さん、彩奏さん、遊理香さんにさよさん。公一さんに拓戸さん、唯依さん。みなさん私と仲良くしてくれました」

この一週間起きたことを思い出しながら話しを始めるノイリ。

「淳一さんが私のことを心配してくれたり、歩音さんの手料理を食べたり、みんなでパーティーをしたこと。どれも楽しかったです。だから…」

「………」

「だから、みなさんが傷つくのは嫌なんです。私のせいでみなさんが傷つくのが…」

「…だからなんなんだよ」

「えっ」

「だからなんなんだよ!!誰かのために戦う、それが昨日の質問の答えだっ!!」

「っ!」

「それに昨日言ったろ、俺がお前を守ってやるよって」

「淳一さん…」

ノイリは今にも目から涙がこぼれ落ちそうになっている。

「はぁ…だから『俺が』じゃなくて『俺達が』でしょ」

淳一が振り返ると呆れ顔の歩音がいた。

その後ろにはいつもの面子がいて、

「淳一飛び出して行くんだもん。追いつくの大変だったんだからね」

「だが淳一のしたいことは分かっていたがな」

「私たちはいつも一緒でしょ」

「これからもずっと」

「それにノイリちゃんもだぜ」

「……」ウンウン

全員の考えていることは一致していた。

「ノイリ、建前とかそんなのはもういい…お前の気持ちを話してくれ」

「私は…私は…」

今にもこぼれそうになっていた涙が流れ出す。

「私はこれからもずっとみなさんといたいですっ!!」

溢れ出す涙を抑えるように淳一は優しくノイリを抱きしめた。

こんばんわ、林原甲機です。

GWはいかがお過ごしでしょうか?

ってGWって正確に言えば木曜までだそうですね。

なのに金曜にGW追加宿題を渡されるのはなんなんでしょうか……


さて、今回の話から少し動きがありましたね。

風邪の時に書いていたので少しあやふやな文かな…一応見直しはしたけど。


今日はそれぞれのキャラについて書きます。

まずは…歩音から書きます。

幼馴染のリード型…と言うかなんというか主役のことを分かり切ってるというんでしょうか…

こう、主役の第一理解者みたいな娘が好きです(笑)

属性でもやっぱり幼馴染ってのはいいですよね。

ホントなんで幼馴染いないのかなぁ…と思う今日この頃です。


それでは、また次回。林原甲機でした。

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