鋼の対価:命を懸けた「材料集め」
ウサギを檻に閉じ込めたユウキは、勝利に浸る間もなく自分の腕を見つめた。
スライムの酸で焼かれ、ウサギに切り裂かれた右腕。これ以上、木の棒や石の斧では戦えない。
次に来る「悪魔」に立ち向かうには、本物の**『鉄』**が必要だった。
師匠の過酷な条件
ユウキは師匠の元へ向かい、頭を下げた。
「鉄の武器が欲しい。……俺を、鍛冶場に入れてくれ」
師匠は鼻で笑い、北の「鳴き砂の渓谷」を指差した。
「あそこには、昔の戦場から流れてきた良質な鉄屑が埋まっている。だが、そこはでかいうさぎ以上の化け物たちの餌場だ。……拾いに行けるか? レベル0の小僧が」
泥臭い採取行
ユウキは、休む間もなく渓谷へ向かった。
物理的な苦痛: 渓谷は風が強く、砂が傷口に染みて激痛が走る。
材料の重さ: 拾い集めた鉄屑は重く、非力なユウキの背中に食い込む。
恐怖の回避: 常に化け物の気配に怯え、息を潜め、泥を顔に塗って存在を消しながら、一つ、また一つと錆びた鉄を拾い集める。
努力の「結晶」
夕暮れ時、ユウキは這うようにして村へ戻った。
背負い袋の中には、血と汗と砂にまみれた、不格好な鉄の塊。
これこそが、この世界における「装備強化」のリアルだ。
「……これを、俺の武器にしてくれ」
師匠は、ユウキのボロボロになった足元と、必死に集めた鉄屑を見て、初めて小さく頷いた。
「……火を熾せ、小僧。自分の武器だ、自分で叩け」




