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理想の異世界と違いすぎる。神様、俺のチート能力と美少女はどこですか?  作者: 夢盧(ゆめの)


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7/9

敗北の積み荷と、壊れたブレーキ

「……5回だ」

ユウキは真っ暗な洞窟の隅で、震える手で壁に「正」の字を刻んだ。

5回戦って、5回とも無様に逃げ帰った。

今のユウキの体は、ひどい有様だ。全身はウサギの爪でズタズタに切り裂かれ、左耳の端は食いちぎられて欠けている。村に戻れば「また死に損ないが帰ってきた」と石を投げられる始末だ。

「はは……あははは……っ!」

暗闇に、乾いた笑い声が響く。

もう、プライドなんてどこにも残っていない。

アニメで見たような、かっこいい逆転劇を期待していた自分はもう死んだ。

あるのは、ただ一つ。

**「あいつらを、俺と同じ目に遭わせたい」**という、泥黒い執念だけだ。

勇者(笑)の終わり

ユウキは、折れた鉄杭と、スライムの死骸から集めた粘液の残り、そして森で拾い集めた「毒を持つ植物」を、執念深く石で磨り潰し始めた。

「勇者? 世界を救う? 笑わせんなよ……」

ユウキの目は、かつてのオタク少年のような輝きを失い、代わりに獲物を狙う獣のような鋭さが宿っていた。

5回負けて、学んだことがある。

あいつらは速い。あいつらは賢い。

なら、正面から戦うなんて馬鹿のすることだ。

レベル0の人間が、レベル1以上の化け物に勝つには、**「人間をやめる」**しかない。

逆襲の準備

ユウキは自分の腕に、あえて浅くナイフを入れた。

溢れ出す血。その匂いに誘われて、洞窟の入り口から「ギチギチ」と歯ぎしりの音が近づいてくる。

「……来いよ。今日は5回分の『お返し』をしてやるから」

ユウキは暗闇の中で、不敵に笑った。

その手には、自らの血とスライムの酸、そして猛毒を塗りたくった「えげつない罠」が握られている。

正義も、慈悲も、ここにはない。

あるのは、一人の男が「暇つぶし」を捨てて、「狂気」に身を投げた瞬間だけだった

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