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理想の異世界と違いすぎる。神様、俺のチート能力と美少女はどこですか?  作者: 夢盧(ゆめの)


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3/9

泥沼のリベンジ:知恵すら通じない現実

「よし……これならいけるはずだ」

ユウキは、村の鍛冶屋の裏からくすねてきた錆びた鉄の棒を、焚き火で熱して叩き伸ばした。

形は不格好だが、先端は凶器といえるほど鋭い。さらに、村の食堂から「掃除するから」と嘘をついて貰い受けた廃油を、古い布に染み込ませて巻き付けた。

即席の**『火炎発火槍』**だ。

「アニメの主人公なら聖剣を抜くところだけど、今の俺にはこれが精一杯の『魔剣』だよ」

ユウキは火傷の跡が残る右腕をさすりながら、再び森の奥へと足を踏み入れた。

目的はただ一つ。あの巨大スライムを焼き尽くすことだ。

遭遇:二度目の対峙

「……いた」

前より一回り大きくなったような気がする青い質量。

スライムは相変わらず、周囲の草を溶かしながら、ぶよぶよと蠢いている。

「食らえ……ッ!」

ユウキは槍の先に火を灯し、全力で突進した。

オレンジ色の炎が、スライムの体表を焦がす。シュウウッという嫌な音とともに、鼻を突く悪臭が漂った。

「効いてる……! いけるぞ!」

ユウキは確信した。現代の知識、火の力。これこそが攻略法だと。

しかし、その慢心が仇となった。

絶望:想定外の反撃

スライムは熱を嫌がり、体を激しく震わせた。

その瞬間、体内の粘液が**「全方位に噴射」**されたのだ。

「う、わあああっ?!」

火のついた槍は、飛んできた大量の粘液によって一瞬で鎮火。

それどころか、ユウキの全身に強酸の飛沫が降り注ぐ。

服が溶け、肌を焼くような激痛が走る。

「熱い、痛い……! なんだよ、火をつけたら爆発するとかじゃないのかよ!」

ユウキは必死に地面を転がり、火を消そうとしたが、スライムは逃がしてくれない。

巨大な体がユウキの上に覆い被さろうと、影が迫る。

「……っ、クソがぁ!!」

ユウキは武器を捨て、無我夢中で森の中を転がり落ちた。

背後で、木々がスライムに押し潰されるメキメキという音が響く。

敗北:レベル0の限界

再び川原に辿り着いたユウキは、ボロボロになった自分の姿を見て、笑いが込み上げてきた。

「……はは、武器作ってもダメかよ。俺、天才じゃないしな」

武器は折れ、油は使い切り、体は傷だらけ。

村に戻れば、また「あの無能がまた無様に逃げてきた」と嘲笑されるだろう。

知恵を絞れば勝てると思っていた。でも、今のユウキには、その知恵を形にする「技術」も、ピンチを切り抜ける「身体能力」も、圧倒的に足りていなかったのだ。

「……暇つぶしで勇者なんて、無理ゲーすぎるだろ……」

ユウキは、冷たい川の水を火傷した顔に浴びせながら、真っ赤な目で空を睨んだ。

悔しくて、涙が出る。

でも、その目にはまだ、「諦める」という文字は浮かんでいなかった。

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