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なんで魔術学園で剣で戦ってんだよ!

王立魔術学園の学園祭の一つで魔術の腕を競う大会が行われていた。

その中でも最も人気な魔術対戦競技がある。


白熱した競技上にて、ついに決勝の終止符が打たれた。


「言っただろう? 俺は魔術を斬るってな」


若さを象徴するような炎の獅子が少年の自信に満ちた笑みと共に真っ二つに両断される。

炎の獅子を作り上げた美しい少女は唖然として体を硬直させていた。


「俺の剣が勝つ」


少年が持つ剣が少女の首元に添えられる。


「参ったわ。降参よ」


フッと微笑む姿も敗北してもなお美しさを失わない。


『なんということでしょう! 前代未聞の事態です! 王国一の才女と謳われたオリビア・ファン・グリューネがこれまで全く無名であったアスタ・レイズに負けを認めました。 魔術対戦競技の優勝者はアスタ・レイズです。皆さん盛大な拍手を!!』


実況の席から観客の驚愕が代弁するように声を震わせている。

実況の促しと共に観客はワァと爆発するように歓声と拍手の声を会場一面に響かせる。


「ちょっと待てぇ!!!」


観客の声を押しのける程の大声が会場全体に響きまわる。

観客や選手も突然包みこんだ声に興奮の感情から驚愕の感情に置き換わる。


『あ、貴方はアスタ選手との初戦で敗北したライク選手。どうしましたか?』


本来なら乱入者は邪魔だ、消えろ、となるが、彼の本名はライク·ファン·ロインマトス。

ロインマトス公爵家直系に連なる大物である。

なので実況者も無視できずにいた。


「この優勝に異議を申し立てる!」


敗北の身ながらも堂々とした姿であるため、覇気が漏れ出している。

その覇気に誰もがゴクリと唾を飲み、逆らえずにおり視線をライクに集めていた。


『しかし、ライク選手。アスタ選手は自身の実力で優勝をもぎ取ったのですよ』


観客の心の声を実況者が代弁する。


「わかっている。彼は強い」


『ならば』


「最後まで聞け。俺は奴に負けたから、更に強くなるために、勝者を観察し吸収できる技術とかあるか観客席から見ていた」


公爵家なのに事実を潔く認める姿勢に観客達は少し意外だな、と思っていたりする。


「それで、動きとか吸収できる物がありそうだったから早速真似をしてみた」


真面目で即行動とという姿勢に観客も他の選手も学ぶところがあり、素晴らしい人だと思われる。


「で、気づいたんだ。アレ? あいつ、魔術使ったか? と」


「いや、ちゃんと使ってるよ。身体強化の魔術とか」


アスタも困惑ぎみの表情を浮かべ、一応事実を報告しておく。


「それと?」


「魔術の無効化」


「その剣は?」


「魔術の無効化と組み合わせた剣術。絶魔流を使うため」


「そこだよ。そこ。なんで魔術専用の競技に剣で戦ってるんだよ。つーか、ここは魔術を学ぶ魔術の学び舎。お前今まで剣しかつかってねーだろ」


ライクはアスタの強さの秘訣に気づいてしまった。

頭脳貧弱肉体系の魔術師が強靭肉体系のアスタに勝つは難しいだろうと。

しかも扱う剣術が、魔術特攻だし。


「いいか、この大会は純粋な魔術で戦闘技術を競い合う大会なんだ。なのにお前は基本的に剣術だ。故に優勝者として認められない」


「た、確かに」


アスタ自身も指を差すライクの異議に反論のしようが無かった。


「でも、剣を使っちゃいけないというルールも無かったわよ」


オリビアがアスタを庇護するように異議を唱える。


「そいつが例外すぎんだよ。なんで魔術の学校に剣士がいるんだよ。前提から違うだろ。剣を扱いたいなら騎士学校に行けよ。そっちなら、もっと良い環境があるから」


「そ、それでも、優勝は優勝よ」


「いいんだ。オリビア。俺が間違っていた。優勝者は君だ。おめでとう」


優勝者さを取り逃がして悔しそうだが、爽やかで清々しい表情をアスタは浮かべていた。

オリビアに向いた拍手がアスタの手から起き、続いてライクも拍手をすると、観客全員がオリビアを拍手する。


そして、選手の控える部屋にアスタ、オリビア、ライクの三人がいた。


「俺、騎士学校に行くよ」


アスタは決意が決まった気迫のある表情を放ちそういう。


「わかった。俺から推薦状を出しておこう」


「そんな、行かないで、アスタ」


オリビアの美しい相貌が涙と悲しむに歪む。


「俺、頑張るよ」


旅立つ男のアスタとそれを惜しむ女のオリビアが見つめ合う、物語の一シーンが生まれる。


「というか、なんでそもそもお前は魔術学園に入ってきたのだ?」


「えーっと、師匠が行けと。今思うと疑えば良かった。なにせ、こういった事は初めてだから、何が何らやらでわからなくてさ。流れについていくのが必死で」


保護者もいなく、なんか大事な書類を書かされ。

お金に関する重要な事も現れたため、とてもじゃないが、落ち着いて自分の状況を把握し判断できなかった。


「そうか、その師匠とやらはアホか責任感が薄いのだな。素敵な社会生活をさせるのなら、学園選びは将来を左右するというのに。全く」


「アハハ。もしかして師匠も自分に頼らず頑張る事を伝えたかったかもしれないな」



もちろん、魔術学園で剣を使ってもおもしろい物だと思います。

お読みいただいてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うん、確かに。魔術師殺しの技でもって、魔術師たちの試合に参加して、魔術師たちを倒して優勝した……うん、当然の結果ですね??? 納得! [気になる点] 騎士学校では、この魔術師殺しの技を、…
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