エピローグ 異世界へ転生
美咲は通学中にいつもの道を歩いていた。
しかし急に周りが明るくなり、突然美しい輝きが現れるのを目にした。
「これって、何なんだろう?」と不思議そうにつぶやきながら、その輝きに手を伸ばして触れると、まるで虹色の霧のように美しいその輝きは、美咲を包み込むようにして広がっていった。それは次第に形を変え、美咲の前に一つの門のようなものを作り出した。門は光り輝いていて、美咲の体は吸い込まれるようにして門の中へと吸い込まれていった。門の中には、まるで宇宙空間のような光景が広がっていた。美咲はその美しさに圧倒されながら、自分自身がどこか異なる世界へと飛ばされていくのを感じた。
目を開けると…そこには青々とした草原と、見たこともない透明な翼を持つ人々がいた。
「え、ここって、どこなの?私、どうなってるの?」
彼らは美咲に興味津々で、翼をフラップさせながら美咲の周りを飛び回り、翼を広げて浮遊しながら美咲を不思議そうに見下ろしていた。
美咲は、その光景にまるで夢の中にいるような気分になったが、次第に自分が異世界に転生してしまったことを悟り、言い様のない不安な気持ちを抱えながら辺りを見回した。
「えっと、どうしよう。とりあえず、このままじゃいられないし、何か行動を起こさないと…。」
そんな中、透明な翼を持つ種族たちが彼女に近づいてきた。
「大丈夫ですか?困っていることがあれば、お手伝いしますよ」と、翼人族の一人が優しく声をかけてきた。
美咲は、初めは戸惑いながらも、彼らの言葉に安心感を覚えた。少なくとも彼らが友好的であることに間違いはない。そして、翼人族たちとの会話を続けながら、彼らの言葉が理解できることに驚いていた。しかし、その理由は彼女自身にも分からず、美咲は、翼人族の一人に向かって尋ねてみた。
「すみません、私たちが話しているのは、この世界の言語なんですか?」
すると、翼人族の一人がそれに対してこう答えた。
「そうですよ。あなたは転生した際に、異世界の言語を理解する力を得たのです。」
美咲はその言葉に衝撃を覚えた。
「転生…そうなんですか…。ちょっと都合が良すぎる気もしますが…。でも、私はどうやってここに来たのか分からないし、どうすれば帰れるのかも分からないんです。」
翼人族たちは、美咲の話を真剣に聞き、考え込んでいた。そして、しばらくの沈黙の後、一人の翼人族が口を開いた。
「私たちは、あなたをここに連れてきたわけではありません。しかしながら、あなたがここにいるということは、何かしらの意味があるのかもしれません。私たちも、あなたを元の世界に送り返す方法は分かりませんが、私たちができることは、あなたを案内して、こちら側での生活をサポートすることです。」
美咲は、翼人族たちの優しさに感謝しながら、その提案を受け入れた。そして、彼女は翼人族たちと共に、異世界での生活をスタートさせることになった。
そして、翼人族たちは美咲をさらに蒼く濃密な草丈が広がる場所に案内した。
「あの、翼人族の皆さん。この場所って、ここがあなたたちの住む場所なんですか?」
美咲が翼人族に問いかけると、彼らは優しく微笑み返した。
「はい、その通りです。この場所は私たちにとって、自然そのままの美しさが広がる聖地といえるでしょう」
「ここは、私たちの故郷である『エルヴィンデール(Elvindale)』と呼ばれる場所です」と、翼人族の一人が語った。
美咲は、エルヴィンデールという響きがとても美しく、この場所が翼人族たちにとっていかに大切な場所であるかを感じた。広がる草原は、美しい緑色に染まっていた。風が草原を吹き抜け、草の穂先が揺れる音が心地よかった。