お空の色は綺麗だけど、思ってたのと違うよね
あ、この空もう終わる。
春が始まるとき。冬の澄んだ空気が熱せられる。
太陽のエネルギーを拾ってふわふわした大気がうまれる。
そういうとき、気のせいかもしれないけど、空に色がつく。青い、薄い群青。思っているよりもずっと薄く儚くて弱い色。
私の頭のなかにある強く放たれる青を投射する空はどこにあるのだろう?ない?この世には。
いつも本物の空を見たとき唖然とするんだ。
ペンキ。青を、適当に、そこらへんの蛇口から出た水で溶いて頭にかぶったほうが気分がいいかもしれない。馬鹿みたい。
小さな小さな、飛ぶ力もちいさな頼りない白の鈍いブロックみたいなヒコーキが、格納庫に入っていた。
格納庫のドアは開けっぱなしで、そのちいちゃい頼りないヒコーキが自由に出入りできるように開けてある、ペット用ドアみたいなもんだ。
屋根と壁のある外なんだ、こいつの家は。
大きく口をあけて、その巨大なドアはいまは虚空になって、死にそうな空をわたしに見せるために。
目の前に巨大なガラス窓があるみたいに感じた。
砕けるんだ、あの空みたいに……
いやきっと、砕けるのは私だ。
めまいがする。突如。海が足元に雪崩れ込んできたかのようにゆらゆらと。そして私の手は、びりびり震えて、言うことをちょっと聞かなくなるのだ。
その震える手で、いや、たまに働かなくなるモヤっとした頭でも良い。頭突きで、この巨大ガラスに一発入れたら、ガシャガシャンとわれて、私に透明の重い尖った薄い破片が降り注いで割れて、私も割れて、それでいい。もう、弱い群青を映して、違和感を覚えるのも飽きたんだよね。