ワクチン妖怪人間
高野山に正午の鐘が鳴り響いていた。
「兄貴、俺、弁当にする」
「ああ、いいよ」
「橋本じゃあ、ホームレスは、ワクチン打たないと、追い出されるらしいよ」
「そうか、ひどいなあ~~」
「ホームレスは、ワクチンで死んでくれってことだね」
「ホームレスも老人も、迷惑だから、死んでくれってことだな」
「テレビに騙されてる馬鹿も多いしねえ」
「馬鹿は脅すと、言うことをきくんだよ」
「だから、やたらと恐怖をあおっているんだ」
「そういうことだな」
「ひどい世の中になったものだねえ」
「まさに、悪魔の仕業だな」
「悪魔ねえ~~、そんなのがいるのかね~~?」
風間がやって来た。
アキラ
「こんちちわ、風間さん。よく会いますねえ」
「今日は、金剛峯寺の観光客の警護なんです」
「そうだったんですか」
「はい」
「風間さん、悪魔っているんですかねえ?」
「悪魔のワクチンの犯人のことですね?」
「ええ」
「いるのかも知れませんねえ」
「宇宙人ですか?」
「と言うよりも、宇宙人が作った地球人」
「宇宙人が作った地球人?」
「宇宙人にワクチンを打たれ、悪魔に改造された地球人」
「ワクチン悪魔人間?」
「そうだと思います。ワクチン妖怪人間、かな?」
「ワクチン妖怪人間!」
「世界中の政治家は、同じようなことばかり言ってるでしょう」
「はい」
「ワクチンで、宇宙人に改造されているんですよ」
「でも、どうやってワクチンを?」
「宇宙船に連れていかれて、そして、記憶を消されて」
「なあるほどねえ~~」
「職務があるので、じゃあ、これで!」
風間は、軽く敬礼すると、去って行った。
アキラは、よう子の隣に座ると、弁当を食べ始めた。
「よう子ちゃんの歌を聴きながら、食べると美味しいんだよな~~」
枯れ葉が、風に踊っていた。




