針を隠すのは針の中
「兄貴、俺も行ってくるよ!」
「何しに行くんだよ?」
「動画を撮って、動画サイトにアップするんだよ」
「おっ、それはいいねえ~~」
「じゃあ行って来る!お二人で頑張ってね~~」
「お前も頑張れよ~~!」
「頑張ってね~~~!」
・・
「じゃあ、よう子ちゃん戻ろうか」
「そうですね」
「さっきのローキック、凄かったねえ~~」
「そうですか?」
「僕にもやってくれる?」
「大スターの、年上のショーケンさんにはできませんよ~~」
「どんな感じかな~~と思ってね」
「じゃあ、軽く・・」
「ありがとう!」
「お二人とも、マゾですか?」
「そんなんじゃないよ。ただの好奇心」
「じゃあ、軽く行きますよ~~」
ショーケンは身構えた。よう子は軽く蹴ったので、ショーケンは倒れなかった。
「なるほど、なかなか、いい感じだね。」
「いい感じ、ですか?」
「強く蹴ってたら、きっと倒れてたよ。さすが」
「どういたしまして」
「これ、気分がシャキーとしてきて、刺激になっていいかも知れないなあ」
「変な人達ですねえ」
「さっき、彼のこと、教団長のこと、宇宙人とか言ってたねえ」
「そうなんです。地球人じゃない匂いがしたんです」
「匂い?」
「なんというか、体感というか、インスピレーションみたいなものが」
「ふ~~~ん、宇宙人ねえ、いったいどこにいるんだろうねえ?」
「ひょっとしたら、どこかに隠れているのではなく、身近にいるのではないでしょうか」
「彼のように?」
「ええ、そうです」
「ふ~~~ん、なるほどねえ」
「いちばん見つからない方法じゃないかと」
「そうだねえ、針を隠すのは針の中って言うしねえ」
ショーケンは、妙に納得していた。秋風が、冬の冷たい風に変わろうとしていた。二人は襟を立てて、ドームハウスに向かって歩き始めた。