水・金・地・火・木・土・天・海・冥
三人がバス停で待っていると、白装束の5人の集団がやって来た。
手持ち太鼓を打ち鳴らし、「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」と唱えながら。
よう子「噂をすれば、幻魔教団だわ」
アキラ「水金地火木土天海冥、だって。古いねえ~~」
呼び止めた。
「君たち、もう冥王星は使わなくなったんだよ。それは古いよ」
集団のトップらしい男
「知っています。でも、これが、幻魔教団の決まりなのです」
「へ~~~え」
「海王星で止めるよりも、こっちのほうが言いやすいです」
「それ、何なの?お経?」
「お経と言うか、まじないですね」
「まじない?変な、まじないだねえ」
「太陽系の平和を願う、まじないです」
「誰が考えたの?」
「教団長の毬藻様です」
「毬藻っていうんだ?」
「はい」
「俺の名前はアキラ、君の名前は?」
「山田太郎です。全員、山田太郎です」
「あっ、そう。まあいいや」
ショーケン
「その教団長の毬藻って方に会いたいんだけど、どうすれば会えるのかな?」
「教団長だったら、後から来ます。先頭の方です」
「あっ、そう。どうも、ありがとう!」
次の集団がやってきた。今度は十人ほどだった。ショーケンは、先頭の男に声をかけた。
「すみません。教団長の毬藻さんですか?」
「はい、そうです。何か?」
「実は、お願いがありまして・・」
「はて、どのような?」
ショーケンは、簡単に説明した。
「それは、ひどいはなしだな~~」
「やっていただけますか?」
「同じ日本人として、気の毒な人を放っておくわけにはいきません。喜んで協力いたしましょう」
「では、前金十万ということで?」
「そんなもの要りませんよ。成功した時の20万で結構です」
「えっ、それっぽっちで?」
「はい!義理と人情の、この世界~~♪義理が~すたれば~~この世は闇だ~~~♪それで十分です!」
「ヤクザの方で?」
「弱きを助け、強きをくじく。昔のヤクザは偉かったですね~~。清水次郎長、森の石松、いいですね~~~」
「はい」
「早速、今から交渉に行ってきます」
「今からですか?」
「はい!あなたたちは、高野山の名物です。ここで、いつものように歌って踊って、焼き芋を売っててください」
「じゃあ、これを。みなさんの交通費と食事代です」
「3万もいいですよ。じゃあ、遠慮なく2万いただきます」
「じゃあ、よろしく、おながいします!」
「なあに、三日で落としてきますよ」
「三日でですか?」
「太鼓を叩きながら、ワクチンで人殺し!ワクチンで人殺し!と叫びながら、町中を歩き回れば、三日もあれば、落ちますよ」
ショーケンは、頭を深々と下げた。
「よろしく、おねがいいたします!」
毬藻は「じゃあねえ~~~!」と言いながら、集団と一緒に去って行った。
アキラ「じゃあねえ~~、だって。あの人、軽いんだか何だか分からない人だねえ」
よう子は、去り行く毬藻を見ていた。
「よう子ちゃん、どうしたの、妙な顔して?」
「あの人、変!」
「何が変なの?」
「地球人の匂いがしなかったの」
「えっ?」
「宇宙人の匂いがしたの」
「えっ~~?」
「ほんと~~う?」
「錯覚かな~~?」
「きっと錯覚だよ」
「超能力者の犬丸さんだったら、きっと分かると思うわ!」
2羽のカラスが、通行人が落としたスナック菓子を食べていた。