同じ歳なんだ
よう子が、ギターを弾きながら歌い始めると、伊集院すみれが、祖母と一緒に、おもちゃのギターを持ってやって来た。
「焼き芋を、二つください」
アキラは、すみれが選んだ焼き芋を、2個渡すと、祖母から代金をもらった。
「とっても、おいしそうだわ~~」
すみれは、祖母に焼き芋を手渡すと、よう子が座ってる、ベンチの横に座った。
「わたしも歌っていいかしら?」
「いいわよ、何歌う?」
「吉田拓郎の歌」
「この前、歌ってた、吉田拓郎の、愚かなる独り言、ね?」
「そうです!」
月下美人のよう子と、妖精みたいなすみれが歌い出したので、観光客が足を止めて見ていた。
丘に登って 下界を見る~~と 小さな世界が そこにある~~ ♪
人は あくせく どこに行く 人は疲れた足取りで しかも人は急いでいた~~ ♪
アキラは、二人の後ろで、ワク打ち金槌人間を見張っていた。
11時を過ぎたころ、ジーンズ姿の、高野山忍者隊の宇宙刑事アニーがやって来た。
「皆さん、おはようございます」
ショーケンも挨拶した。
「おはようございます」
アキラも、アニーのほうを向いて挨拶した。
「おはようう、アニー」
よう子は、歌っていたので、挨拶できなかった。
ショーケン
「焼き芋、おいいしいですよ。いかかがですか?」
「今は勤務中なので、結構です。よう子さんに用があって来たんです」
アニーは、よう子とすみれの歌が終わるまで待っていた。
歌が終わった。
「よう子さん、お聞きしたいことがあるんですけど」
「何でしょうか?」
「ちょっといいですか?」
「はい」
よう子は立ち上がって、アニーのもとに行った。
すみれが言った。
「よう子お姉ちゃん、どこに行くの?」
「すぐ戻って来るから、一人で歌ってて」
「分かりました~~」
すみれは、一人で、滅茶苦茶な音でギターを弾きながら、歌いだした。同じ歌だったが、楽しそうに歌っていた。
祖母が、拍手をしながら、見守るように見ていた。アキラは、用心深く、ワク打ち金槌人間を見張っていた。
よう子
「アニーさん、何を話せばいいんでしょう?」
「痴漢に襲われたそうですけど、そのことで」
「ああ、そのことですか」
よう子は、詳しく話し出した。
「顔は見ていないんですね?」
「はい、忍者の恰好をして、顔を隠していたもので」
「分かりました」
アニーは帰って行った。
アキラは、去り行くアニーを見ていた。
よう子
「アキラさん、さっき、おはようう、アニー、って、ずいぶん気やすかったじゃない」
「同じ歳なもんで、つい」
「同じ歳なんだ」
「そうなんだよ」
「彼女を見てる視線、あやしかったわよ」
「そう?」
「なんか、恋人でも見てるような」
「そうかかなあ?」
アキラは、とぼけていた。
「おはようございま~~す」
今度は、きょん姉さんと、ロボット福之助が、セグウェイに乗ってやって来た。アキラは「おはよう、きょん姉さん」と返すと、見張りに戻った。
きょん姉さん「アキラさん、何やってるんですか?」
よう子「ワク打ち金槌人間の見張りです」
「すみれちゃんを守っているんですね」
「はい」
「恐い世の中になりましたねえ」
「きょん姉さんも気を付けたほうがいいですよ」
「そのヘルメット、いいですねえ」
「すみれちゃんのところで買ったんです」
「わたしも欲しいなあ~~」
よう子は、たんぽぽ工房の名刺を見せた。
「すみれちゃんの、お父さんが売っています。千円でロゴも書いてくれます。画家です」
「ヘルメットのお値段は?」
「白と黒があって、それぞれ千円です」
「わあ、安いですねえ。早速行ってみます」
「場所、分かります?」
「一条院の脇道を入ったところですね」
「はい」
きょん姉さんは、焼き芋を2個買うと、福之助と戻って行った。
すみれは、歌いながら、去り行くロボット福之助を、珍しそうに見ていた。
「アキラお兄ちゃん、あのロボット、どこにいるの?」
「僕ん家の近くに、住んでいるよ」
「会ってみたいわあ」
「じゃあ、僕ん家に遊びにおいで」
「どこ?」
「ドームハウスの8番」
「分かりました!」
すみれは喜んでいた。祖母が手拍子を打っていた。
すみれの歌が終わりそうにないので、よう子は、ショーケンと話し出した。耳元で、
「あなたあ~~」
「なんだよ、いきなり?」
「悪魔祓いの儀式、またやりましょうよ」
「じゃあ、明日でもいいよ」
「明日でいいの?」
「アキラがいなければな」
よう子は、喜んでいた。お尻を軽く当てると、戻って行った。




