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ロボットさん、ありがとう!

「ここは、皆さん、いい人ばっかりで、いいところですねえ」

老婆は、涙ぐんでいた。

「根占さん、どうしたんですか?」

「息子のことを思い出しましてね」

「何か?」

「糖尿病で、目が悪いんですよ」

「目が?」

「左目が見えなくって、右目は見えるんですけどね、かなり悪いらしくって・・」

「そうなんですか。息子さんに、奥さんは?」

「それが、まだいないんですよ」

「糖質制限は?」

「一生懸命にやってるみたいですよ。インターネットを見ながら」

「糖尿病だったら、食事に気を付けていれば、悪くなることはありませんよ。糖質を減らして血行が良くすれば、目も良くなりますよ」

「詳しいんですねえ」

「父が糖尿病だったもので」

福之助

「男だから、きっと元気に頑張っているよ」

「ロボットさん、ありがとう!」

きょん姉さん

「名前は、福之助って言うんですよ」

「福之助くん、ありがとう」

「福ちゃん、と呼んでください」

「福ちゃん、ありがとう」

「寒くないですか?」

「ぜんぜん。この家の中、けっこう温っかいんですねえ」

「そうですねえ」

「コンクリートですか?」

「いいえ、発泡スチロールだそうです」

「発泡スチロール?」

「よく段ボールに入ってる、軽いやつです」

「あの軽くて白いやつ?」

「はい」

「へ~~~~え?でも、燃えるんじゃないの?」

「燃えない塗料が、何重にも塗ってあるんだそうです」

「驚いたわ~~」

老婆は、窓際に行って、壁を叩いてみた。発泡スチロールの音がした。

「ほんとうだわ!これで大丈夫なの?」

「熊本の大地震のときも、大丈夫だったそうです。台風の時も、丸いから大丈夫だそうです」

「息子に教えてあげたいわ~~、きっと、びっくりするわあ」

「息子さん、パソコンやってるんですか?」

「はい、毎日」

「フェースブックとかやってます?」

「知りません。やってるんじゃないでしょうか」

「息子さんの名前、何でしたっけ?」

「根占洋一です」

部屋には、パソコンがあった。

「このパソコン、使えるのかしら?」

姉さんは、パソコンの電源を入れた。インターネットに繋がった。

自分のフェースブックのページを開いた。

「根占洋一・・」検索した。

「あっ、あったわ!」

姉さんは、老婆を呼んだ。

「この方ですか?」

「そうです!そうです!」

老婆は、びっくりしていた。

「最新の書き込みを読みますね」

「はい」

「昨夜、母が他界した。いったい、どこに行ってしまったんだろう?僕を置き去りにして、いったいどこに行ってしまったんだろう。探しても探しても、どこにもいない・・・ここには、もう、どこにも母はいない・・・あるがままで生きればいい!と教えてくれた、母は、もうここにはいない・・・また、どこかで会えたらいいよね・・・神さま、どうか、母を、よろしくおねがいいたします。。。」

老婆は泣き出した。

「洋一、ごめんね~~~!」

「何か書き込みますか?」

「とんでもない!わたしは、この世にはいないんですから」

「そうですね」

福之助

「死んだのに、ここで生きている。変ですねえ、理解不能」

姉さん

「あんたは単純だから、分かんねんだよ」

「さっぱりと分かりませんねえ」

「根占さんの肉体は複製なの。魂は元のままってこと。分かった?」

「つまり、データは元のままってことですか?」

「そういうこと」

「なあんだ!」

「根占さん、お風呂にでも入ります」

「今日はいいです」

「じゃあ、テレビでも見ますか?」

「テレビ?あるんですか?」

「このパソコン、テレビにもなるんです」

「氷川きよしが見たいけど、丸いのが無いから、いいわ」

「丸いの?DVDのことですか?」

「そうだったかな?」

「ネットでも観れますよ」

「ああ、そうなの?」

「検索してみましょうね」

「おねがいします」

「あったわ!」

「ほんと」

「何という曲がいいですか?」

「何でもいいわ」

氷川きよしの歌が始まると、老婆は上機嫌になった。

「じゃあ、わたしは、お風呂にでも入ろうかな」

福之助「わたしは?」

「あっ、そうだ。朝食に食べる物を、コンビニに行って、買ってきてくれ」時計を見ると、7時前5分だった。

「勝間屋、まだやってる時間だから、勝間屋でいいよ」

「分かりました。何でもいいんですね」

「ああ、いつも食べてるのでいいよ」

「了解しました!根占さんには?」

「根占さんに訊いてくれ」

「はい」

「ワク打ちゾンビには、気を付けろよ!」

「はい!」

・・

「根占さん、朝食は何を?」

「そうですねえ、味噌汁と目玉焼きと御飯でいいです」

「それだけですか?」

「はい、それだけで結構です」


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